
65歳は、年金や医療制度など、暮らしの仕組みが切り替わる節目です。とはいえ、「何から手をつければいいのか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、65歳になったら確認しておきたい主な手続きを、分かりやすく整理しました。
年金に関する手続き(老齢年金の請求・受け取り)
65歳から受給する老齢年金は、受給開始年齢になっても自動的には支払われません。ご自身で請求手続きを行うことで、初めて受け取る権利が発生します。
年金請求の流れ(まず確認→提出→振込)
年金請求書を確認
受給開始年齢に達する3ヶ月前に日本年金機構から「年金請求書」が届くので、記載された加入記録に誤りがないかまず確認しましょう。
請求書を提出
誕生日の前日以降に、必要事項を記入した請求書を年金事務所へ郵送または持参して提出します。一定の条件を満たせば、マイナポータルなどからの電子申請も可能です。提出から約1〜2ヶ月後に「年金証書」が届き、さらに1〜2ヶ月後に実際の振り込みが始まります。
受け取りのタイミング
年金は原則として偶数月の15日に、前2ヶ月分が指定口座へ振り込まれます。請求を忘れて5年を過ぎると、時効により受け取れなくなる恐れがあるため、案内が届いたら早めに手続きを済ませることが大切です。(※1)
繰下げ・繰上げの検討
老齢年金を受け取るタイミングは、ライフスタイルに合わせて前後させることが可能です。ご自身の就労状況や健康状態に合わせて、以下の2つの選択肢を検討してみましょう。
受給を早める「繰上げ受給」
60歳から65歳になるまでの間、1ヶ月単位で早めることができます。
・メリット:早期に安定した収入を得られる
・注意点:1ヶ月につき0.4%減額(昭和37年4月2日以降生まれの場合)され、その減額率は一生変わらない
受給を遅らせる「繰下げ受給」
66歳から75歳まで、1ヶ月単位で受取りを遅らせることができます。
・メリット:1ヶ月につき0.7%増額され、最大で84%増の年金を受け取れる
・注意点:昭和27年4月1日以前生まれの方は、繰下げできる上限が70歳までとなる(※2)
いつから受け取るのが正解かは、貯蓄の状況や「何歳まで現役でいたいか」という希望によって異なります。将来の収支をイメージしながら、自分に最適なタイミングを選択しましょう。
健康保険・医療費の確認(任意継続・国民健康保険・扶養)
65歳は現役時代の健康保険から、地域や年齢に応じた新たな仕組みへと移行する検討時期です。特に退職を機に働き方が変わる方は、保険料の負担額が大きく変わる可能性があります。
保険料が変わるタイミングと確認手順
健康保険の切り替えが必要か確認
会社の健康保険の「任意継続」が終わる場合、国民健康保険への加入や家族の扶養に入る手続きが必要です。
自治体によって保険料が異なるため、事前に窓口で「どちらの方が負担が少なくなるか」を試算してもらうのが賢明です。
高額療養費制度の内容を把握
65歳から69歳の方で一定の年収(単身で年収約156万〜370万円程度)がある一般所得者に該当する場合、ひと月の医療費が上限を超えた分が払い戻されます。
70歳になると外来診療の限度額がさらに下がるなど、年齢を重ねるごとに負担が抑えられる仕組みに切り替わります。まずは今の自分の所得区分を知っておくことが、将来への備えになります。
医療費控除に備えて領収書を保管
通院機会が増える時期だからこそ、1年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた際の確定申告に備え、領収書を一括管理する習慣をつけましょう。
元気なうちに制度を知っておくことが、いざという時の家計の安心につながります。
介護保険(65歳からの切り替え)
65歳になると、介護保険は第1号被保険者として扱われるため、保険料の通知や支払い方法の確認が必要になります。すぐに介護サービスを利用しない場合でも、制度の入口だけは押さえておくと安心です。
介護保険料の確認(通知・納付方法・切り替え)
介護保険料の通知・納付方法を確認
- 自治体から届く通知で、納付方法(年金天引き・納付書・口座振替など)を確認する
- 年金受給が始まる前後で、納付方法が切り替わることがあるため、案内に沿って手続きする
介護サービスを利用する場合の入口を知る
- 介護サービス利用には要介護認定の申請が必要
- 相談窓口として地域包括支援センターの連絡先を控えておく
暮らしの手続き・優待の確認(自治体制度・免許・各種割引)
65歳を過ぎると、行政や民間のサービスで「シニア割引」や「高齢者向け制度」の対象になるケースが急増します。 65歳を迎えたら、日常に関わる手続きも確認しておきましょう。
日常で損しないための確認ポイント(免許・自治体制度・割引)
運転免許の更新や高齢者講習
70歳からの高齢者講習に備え、今のうちから自身の運転技能を客観的に把握したり、免許返納後の移動手段をシミュレーションしたりしておきましょう。
自治体のシニア向け制度や優待
多くの自治体で、バスの乗車証交付や、敬老のお祝い、住宅改修の助成金などが用意されています。役所の高齢者福祉課などで「シニア向けガイド」を入手するのが一番の近道です。
各種会員サービスの年齢条件
映画館や宿泊施設、レジャー施設の多くが「65歳以上」を割引対象としています。身分証明書としてマイナンバーカードなどを用意しておくとスムーズです。
住んでいる自治体の情報を一度チェックしておくと、思いがけないメリットが見つかりますよ。
家族と共有しておきたいこと(緊急連絡先・通帳・重要書類)
各種手続きの内容や資産の状況は、自分一人で完結させず、家族へ共有しておくと安心です。万が一の事態が起きた際、家族が最も困るのは「どこに何があるか分からない」こと。制度の手続きとあわせて、家族との情報共有も大切です。
もしものときに困らない準備(家族の負担を減らす)
緊急時の連絡先
かかりつけの病院やケアマネジャー、親しい友人の連絡先を一覧にして冷蔵庫などに貼っておきましょう。
年金や保険の手続き状況
「どの保険会社から給付金が出るか」「年金の振込口座はどこか」を一覧にまとめておくだけで、家族の不安は解消されます。
通帳や書類の保管場所
印鑑や権利証、契約書の場所を共有します。ただし、防犯上の理由から、暗証番号そのものではなく「ヒント」を伝えるなどの工夫も有効です。
【65歳からのやることチェックリスト】
届いた「年金請求書」の内容を確認した
年金の受取時期(原則・繰上げ・繰下げ)を決めた
健康保険の切り替え先(任意継続・国保など)を検討した
自治体のシニア向けガイドを入手した
緊急連絡先や重要書類の場所を家族に伝えた
まとめ
65歳は、これからの暮らしを安心して楽しむための大切な節目です。
やるべきことが多く感じるかもしれませんが、まずは「チェックリスト」の項目を一つずつ確認することから始めてみてください。備えを万全にして、新しい生活を晴れやかな気持ちで迎えましょう。
(グッドライフシニア編集部)
◆参考
・日本年金機構「老齢年金の請求手続き」(※1)
・公益財団法人生命保険文化センター(※2)
