1.減築とは?
「減築」とは、住まいの一部を解体し、家全体をコンパクトにするリフォーム方法です。
一般的に知られている「増築」(部屋を増やす・拡張する工事)とは対照的に、階段の上り下りが大変になったり、部屋数を減らしたいと考えるシニア世代に、新しい選択肢として注目を集めています。
実際、広い家を持て余している場合や、使わなくなったスペースを効率良く減らしたいときに適しており、老後の暮らしに合わせて住環境をシンプルに整える方法としても有効です。
減築のメリット
- 家の維持コストを大幅に削減
- コンパクトな動線が確保
- >耐震性や断熱性などの見直し
空き部屋や使わないスペースを取り壊すことで、固定資産税や光熱費、清掃費用など家全体の維持コストを大幅に削減。
日常生活の動線が短縮され、家の中での移動が大幅に楽になります。特に、階段を使用する必要がなくなったり、リビング・キッチン・寝室といった主要な空間が近くなることで移動にかかる時間や体力を軽減。
家の一部を取り壊す際に建物全体の構造を見直す機会が得られるため、耐震性や断熱工事を同時に行うことが可能です。
減築のデメリット
- 費用が高額になる場合がある
- 工事期間中は一部の部屋が使えない
- 資産価値が下がる場合も
減築工事には解体費用や構造変更費用が含まれるため、コストが予想以上に高額になる可能性があります。
工事期間中は騒音や振動が発生し、一部の生活空間が使用できなくなったり、仮住まいが必要になる場合も。
減築によって建物の床面積が小さくなると、不動産評価額が下がる可能性があります。将来的に家を売却する予定がある場合は、*資産価値への影響を事前に確認しておく必要があります。
2.減築が向いているケースと費用の目安
減築は、以下のような方に向いています
- 家に愛着があり、ずっと住み続けたい
- 管理が大変だけど引っ越したくない
- 2階を使っていない
長年住み慣れた家には、思い出や愛着が詰まっています。減築なら、住まいの雰囲気や外観を保ちながら、使いやすいサイズに調整できます。
長年、住み慣れた土地を離れるのは大きな決断です。これまで築いてきた近所付き合いを手放したくないと感じる方も多いでしょう。家をコンパクトにしつつ同じ場所に住むことができます。
年齢とともに階段の上り下りが負担になることもあり、2階にはめったに上がらない高齢者の方も多くいます。減築により2階を取り壊し、ワンフロアの住まいにすることができます。
減築の費用は工事内容や建物の規模によって異なります。あくまで目安ですが、部分的な減築は50~200万円程度、2階全体を撤去して平屋にする場合は300~600万円程度です。さらに耐震補強や断熱リフォームを加えると1,000万円以上になることもあります。
減築の具体例
2階を撤去したAさん
60代のAさんは、30年以上住み続けている2階建ての一軒家に愛着を持っています。しかし、夫を亡くして以降、ほとんど2階を使わなくなり、階段の上り下りが負担に感じるようになりました。また、空き部屋の掃除や維持管理に手間をかけたくないと考え「2階を撤去して平屋にする減築」を選択しました。
減築の具体的な方法
2階部分を完全撤去し、1階部分だけを残して平屋にリフォーム。
1階には、リビング、キッチン、浴室、寝室を配置し、生活動線を最小限に抑えました。リビングには和室もあるため、来客時は泊まることもできます。
リビングと寝室を隣接させることで、夜間の移動も楽になっています。
減築と同時に、老後に備えてバリアフリー化を実施。全室の段差をなくし、玄関にはスロープを設置。トイレや浴室には手すりを取り付け、安全性を向上させました。建物全体の耐震補強を行い、費用は800万円ほど。
3.減築ではない他の選択肢は?
使っていないお部屋をただ減らすのではなく、有効活用する方法を検討してみるのはいかがでしょうか?
例えば以下のような代替案も考えられます。
- 家族と同居してスペースを有効活用
- 賃貸などに住み替えを検討
- 空き部屋を活用して収益を得る
空き部屋を家族と共有することで、スペースを有効に活用できます。例えば、子ども世帯や親世帯と同居することで、生活費を分担したり、介護や子育てのサポートをし合うことが可能です。
広すぎる家の問題も解決できる、段差のないバリアフリー設計や断熱効果の高い賃貸物件に住み替えを検討。シニアの方が安心して暮らせる環境を提供します。
減築ではなく、家を丸ごと賃貸として貸し出す。もしくは、使っていない空き部屋を賃貸として貸し出す方法もあります。特に都市部や観光地では需要が高く、定期的な収入を得る手段として活用できます。
これらの選択肢も視野に入れることで、より快適で効率的な生活が実現する可能性があります。
まとめ
減築は、住まいを効率的に整える方法として注目されています。広い家に住む必要がなくなったり、使わなくなった部屋を効率良く減らしたい場合に適した方法ですが、工事費用がかかるうえ、一度壊した部分を元に戻すことが難しいというリスクもあるため、慎重な検討が必要です。
住まいの見直しをする際は、減築だけでなく、さまざまな選択肢を比較検討することが重要です。将来のライフスタイルに合った住まいを選ぶために、自分に合った方法をじっくりと考えてみてください。
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(グッドライフシニア編集部 松尾)
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