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体にやさしい入浴時間と湯温|入浴に注意が必要な場合とは?

体にやさしい入浴時間と湯温

入浴は、湯温や時間の調整しだいで健康効果が大きく変わります。特に60歳を過ぎると、熱すぎるお湯や長風呂が体に負担となることもあります。

本記事では、「体にやさしい湯温と入浴時間の目安」や「入浴を控えたほうがよいケース」を、専門家の見解を交えてわかりやすく解説します。日々のお風呂時間を、安心して続けられる“健康習慣”に変えていきましょう。
 

体にやさしい入浴時間と湯温

お風呂は、入り方次第で「健康効果」にも「体への負担」にもなります。ここでは、体にやさしい入浴時間と湯温の目安を紹介します。無理のない習慣を意識して、安心して毎日のお風呂を楽しみましょう。

入浴時間

個人の好みや体調によって異なりますが、一般的にシニア世代が湯船につかる時間は10分から15分程度が適切とされています。全身浴であれば10分〜15分、半身浴(みぞおちの高さまで)であれば20分〜30分を目安とし、この時間を意識することで、体への負担を軽減できます。体調に合わせて入浴時間も調整することが大切です。

長時間の入浴は避けるべき理由

  • 脱水症状のリスク増大
  • 長湯は体から水分と電解質を過度に失わせ、めまいや立ちくらみ、熱中症のような症状を引き起こす危険性があります。特に湯温が高い場合は、発汗量も増えるため注意が必要です。入浴前後の水分補給を必ず行ってください。

  • 体力の消耗と疲労
  • 湯船に浸かっているだけでも体力は消耗します。必要以上に長い入浴は、入浴後に強い疲労感をもたらし、かえって睡眠の質を下げてしまうこともあります。

  • 皮膚の乾燥の悪化
  • 長すぎる入浴は皮膚の保湿成分を奪い、乾燥肌やかゆみを悪化させる原因になります。

お湯の温度

入浴に適した温度は、個人の好みや体調によって異なりますが、心臓や循環器系への負担が比較的少なく、快適に入浴できる温度は38~40度の間が推奨されます。

40℃程度のぬるめの温度をすすめる理由

  • 副交感神経が優位になる
  • 40℃以下のぬるいお湯は、リラックスを促す神経である副交感神経を刺激し、リラックスモードに入ります。これにより、血圧がゆるやかに下がり、入浴後のスムーズな入眠にもつながります。

  • ヒートショック予防
  • 消費者庁や自治体の広報でも注意喚起されていますが、42度のお湯で10分入浴すると、体温が38度近くに達し、高体温などによる意識障害を起こす危険が高まるとされています。熱いお湯は、血管を急激に収縮させ、その後急激に拡張させるため、血圧が大きく乱高下します。これはシニア世代にとって非常に危険なヒートショックの原因になります。

熱めのお湯が好きでも42℃以上にはしないようにしましょう。高温のお湯は心臓や血管に大きな負担をかけるため、体調に合わせてぬるめに調整し、ゆったりと浸かることをおすすめします。

免疫が上がりやすいベストな入浴法

お風呂を医学的に研究している第一人者 早坂信哉先生によると、免疫が上がりやすい入浴法は「熱すぎない40℃のお風呂に肩まで全身浴で10~15分入るのが基本。毎日入ることで良い睡眠にもつながり疲労も回復する」とのことです。
 

入浴時に注意が必要な場合とは?

入浴は健康に良い反面、体への負担がかかることもあります。特に以下のような方は、入浴のタイミングや方法に注意が必要です。

  • 高血圧や心臓疾患がある方
  • 熱いお湯は血圧を急上昇させる原因になります。ぬるめのお湯で短時間を意識するよう、国立研究開発法人 国立循環器病研究センターでも推奨しています。入浴前後の水分補給も忘れずに。

  • 食後すぐや飲酒後の入浴
  • 食後すぐの入浴は、高齢者に多い食後低血圧による失神やめまいの危険があるため、避けてください。飲酒後も、アルコールによる血圧低下が起こります。お酒が抜けるまでは入浴しないようにしましょう。

  • 持病がある・服薬中の方
  • 医師の指導がある場合は、入浴の時間帯や方法に制限があることも。定期的な診察時に「入浴しても大丈夫か」を確認しましょう。

シニアの入浴中の事故で最も危険なのが、急激な温度変化によるヒートショックです。暖かいリビングから寒い脱衣所へ移動し、急に熱い湯船に浸かることで、血圧が激しく変動します。

対策のポイント
冬場は、入浴前に脱衣所や浴室を暖房器具で暖めておく、またはシャワーで浴槽にお湯をためて浴室を蒸気で暖めるなど、温度差をなくす工夫をしましょう。

冬の入浴やトイレが時として死に至る…ヒートショックを予防するには?

60代からの入浴習慣について、健康効果から湯温・入浴時の注意点まで、大切なポイントを詳しく解説してきました。

湯船に浸かる習慣は、ただ体を温めるだけでなく、血流を促し、免疫力を支える心強い健康法です。

特に、高齢になると体への負担が増すため、無理のない温度で、短時間入浴を意識するといった「賢い入り方」が重要になります。

また、入浴前後の体調変化にも注意を払いましょう。入浴後はしっかりと水分を補給し、急に体を冷やさないようにすることが大切です。季節や体調によって湯温や入浴時間を少しずつ調整するなど、自分に合った“無理のない習慣”を続けることが健康維持につながります。

シニア世代が湯船に浸かることで得られる心身のメリットについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→「入浴がもたらす健康効果とは?|60代から見直したい“お風呂習慣”

ご自身の体の声に耳を傾け、毎日気持ちよく、そして安全にお風呂の時間を楽しんでください。

(グッドライフシニア編集部)

参考:
・消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」
・国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「高血圧」

 

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