
冬はこんな病気にご注意ください
2025年の冬も、寒暖差の大きい日が続いています。寒さが厳しくなるこの季節は、シニアにとって健康リスクが増える時期でもあります。
万病のもとと言われる「冷え」や気温差による体調不良、冬特有の感染症に加え、体の動きが鈍ることで新たな不調が起こることも少なくありません。
特に高齢者は、自身の体調変化に気づきにくいことがあるため、家族や介助者が早めに気を配ることが大切です。さらに、冬季うつやノロウイルスなど、晩秋から春先にかけて流行のピークを迎える病気もあります。
この記事では、高齢者が冬に特に気をつけたい10の病気や感染症について、原因・症状・予防法をわかりやすくまとめました。健康管理の参考にして、寒い季節を元気に乗り切りましょう。
≫1.低体温症(冷え性とは異なる危険な兆候)
≫2.寒暖差アレルギー(風邪でもないのに鼻水が止まらない)
≫3.冬季うつ(冬になると気分が落ち込む)
≫4.ノロウイルス(11~3月がピーク)
≫5.関節痛(膝・腰・肩の痛み)
≫6.ヒートショック(冬の入浴やトイレが時として死に至る)
≫7.かくれ脱水(冬も注意が必要)
≫8.ADLの低下(運動不足)
≫9.低栄養(体力の衰えや免疫力の低下)
≫10.しもやけ(凍瘡)
1.低体温症(冷え性とは異なる危険な兆候)
直腸の温度(直腸温)が35℃以下になった状態を「低体温症」と言います。
登山や川遊びなど、アウトドアの活動時に注意喚起されることが多い症状ですが、実は冬の屋内でも発症し得る、非常に身近な存在です。
身体の震えや思考力の低下から始まり、最悪の場合、呼吸停止や致死性不整脈などを引き起こすことも。この低体温症は、筋肉量や食欲が低下する高齢者にとって、日ごろの生活習慣が反映しやすく、特に注意が必要だと言われています。
低体温症を疑うべき身体の変化や体温の正しい計り方、予防策についてご紹介します。
詳しい記事はこちら→ 冬の低体温症は注意が必要!冷え性とは異なる危険な兆候とは
2.寒暖差アレルギー(風邪でも花粉症でもないのに鼻水が止まらない)
「風邪でも花粉症でもないのに鼻水が止まらない・・・」そんな症状にお困りの方はいらっしゃいませんか?
その症状、もしかしたら冬の時期に多い「寒暖差アレルギー」かもしれません。
寒暖差アレルギーとは、急激な気温変化が刺激となって、鼻の粘膜が傷ついて起こる鼻炎症状です。季節の変わり目の自律神経の乱れによって引き起こされると言われているこの症状。
今回は高齢者に知っておいてもらいたいセルフケアの方法と、市販薬を使うときの注意点についてご紹介します。
詳しい記事はこちら→ 風邪でも花粉症でもないのに鼻水が止まらない!この時期に多い寒暖差アレルギー
3.冬季うつ(冬になると気分が落ち込む)
最近耳にすることが多くなった「冬季うつ」。晩秋から冬にかけて気持ちが落ち込み、活動意欲や興味が下がってしまうタイプのうつ病のことです。
過食や過眠の症状が出るのが特徴で、冬の日照不足による「セロトニン」の減少が、このうつ病の原因だと言われています。セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させる働きを担っています。
冬季うつを予防するには、セロトニンの分泌量の低下を食い止めることが重要です。今回はセロトニンの分泌量を増やし、冬季うつを防ぐための生活習慣や食事療法についてご紹介します。
高齢者の場合、鬱の症状が他の健康問題や加齢によるものと混同されやすいため、身近にいる人が変化に気づいてあげることが大切です。
詳しい記事はこちら→ 冬になると気分が落ち込む「冬季うつ」その症状や対策法とは?
4.ノロウイルス(11~3月がピーク)
ノロウイルスとは、嘔吐や下痢などの症状を起こすウイルスのことです。食中毒のような症状から、食べ物が腐敗しやすい夏の病気のイメージがあるかもしれませんが、実は11月~3月に発生のピークを迎えます。
人から人、人から食品、食品から食品の3つの経路で感染するこのウイルスは、高齢者が罹患した場合には、救急搬送や入院といった重篤化する場合が多いと言われています。
加齢による体液量の減少や、食事の質・量の変化、水分や塩分量の不足などが、嘔吐や下痢をともなうこのウイルスにとって脱水症状を引き起こしやすくなるためです。
画期的な抗ウイルス剤がないノロウイルスは、まず感染しないことが一番です。今回はウイルスに感染したときの診断法や治療法にも触れながら、日常生活で身に着けられるノロウイルスの予防法についてご紹介します。
詳しい記事はこちら→ 11~3月がピークに!高齢者が気をつけたいノロウイルス
5.関節痛(膝・腰・肩の痛み)
冬になり寒い日が多くなると、膝・腰・肩といった関節の痛みをうったえる方が多くいらっしゃいます。
関節痛はいずれも、軟骨の減少にともなう老化が原因とされていますが、病院では「冷え」に対しても警鐘を鳴らしています。
「冷え」は血流不良や、交感神経の刺激による筋肉の硬直、運動量の減少を引き起こし、痛みの原因である発痛物質を活発化させてしまう厄介な存在です。
関節痛の悪化を防ぐには、寒さ対策を講じるのが一番。ここでは、「冷え」がもたらす悪循環についてご説明しながら、日々の生活で取り組める保温策などもご紹介しています。
詳しい記事はこちら→ 高齢者の関節痛は冬に悪化する!膝・腰・肩の関節痛対策とは
6.ヒートショック(冬の入浴やトイレが時として死に至る)
高齢者にとっての冬の大敵、それはヒートショックです。ヒートショックは、急激な温度変化で血圧が乱高下することで心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす病気です。
温かいリビングから冷えたトイレや浴室へ移動したとき、特に入浴中は注意が必要です。
ある調査によると、心肺停止などに関する入浴中の急死者数は、推定でおよそ19,000人。75歳以上の後期高齢者になるとその危険性が跳ね上がることも分かっています。
ここでは、高齢者の命にかかわるヒートショックを予防する4つの対策方法をご紹介します。
詳しい記事はこちら→ 高齢者は冬の入浴やトイレが時として死に至る原因は?
7.かくれ脱水(冬も注意が必要)
本人の自覚がないうちに体内の水分が減少し、脱水症の一歩手前まで症状が進行してしまう「かくれ脱水」。汗をたくさんかく夏だけではなく、冬も注意が必要です。
特に高齢者は腎臓機能の低下や食事量の減少、感覚機能の鈍化などにより、水分摂取の低下に気づきにくくなります。身体の水分不足に気づかずに放置してしまえば、頭痛や目まいのほか、脳梗塞、心筋梗塞のリスクも高まると言われています。
今回は脱水による症状のチェックリストをもとに、かくれ脱水にならないための食事法などをご紹介いたします。
詳しい記事はこちら→「かくれ脱水」にご注意!脱水症の予防と水分補給のポイント
8.ADLの低下(運動不足)
立ち上がったり座ったり、そのほか食事や更衣、排せつなど、人が日常生活を送るうえでの必要最低限の動作のことをADL(Activities of Daily Living)と言います。
冬の寒い時期は外出頻度の減少などから運動不足が加速し、シニアのADLの低下が危惧されることも少なくありません。
ここでは、冬の運動不足を予防するアイディアや、自宅で簡単にできるトレーニングについてご紹介します。
詳しい記事はこちら→冬は高齢者にとって運動不足シーズン、ADLが低下しないための具体策は?
9.低栄養(体力の衰えや免疫力の低下)
ちゃんと食べているつもりなのに、体力の衰えや免疫力の低下を感じる。それはひょっとすると気づかないうちに低栄養に陥っているかもしれません。
低栄養は、フレイルの発症や骨粗鬆症など様々なリスクがあることが知られており、ときに高齢者にとっては要介護状態を引き起こすリスクをはらんでいます。
管理栄養士ライターが、自分でも気づける体重の変化などをもとに、低栄養を防ぐ食生活のポイントについて解説します。
詳しい記事はこちら→ちゃんと食べているから大丈夫?高齢者の低栄養(痩せ)に要注意!
10.しもやけ(凍瘡)
冬になると手足の指が赤く腫れてかゆくなる「しもやけ」。
子ども時代によくなった思い出あることから、発症しても温かい時期がくれば自然に治るだろうと考えてしまいますよね。
ところがある種の病気の中にはしもやけに似た症状を持つものがあり、自己判断で放置しておくとなかなか完治せず、やっかいな状態になってしまうことも。
ここでは具体的な症状・病気、体験談に触れながら、病院に行くか判断する際のポイントなどについてご紹介します。
詳しい記事はこちら→足指の「しもやけ(凍瘡)」原因と症状|実は別の病気が隠れているリスクも
本日は、高齢者が気をつけたい冬の病気の中から、かくれ脱水・寒暖差アレルギー・冬季うつ・ノロウイルス・関節痛・ヒートショック・低体温症・ADLの低下・低栄養・しもやけについてご紹介しました。
これから寒さも厳しくなりますが、日ごろから体調管理に気をつけて、冬を乗り切りましょう!
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