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運動不足
冬の寒い時期は誰でも外に出たくなくなります。とくに、高齢者はその傾向が強く、冬になると運動不足から筋力が低下し、ADL(日常生活動作)が低下することもあるのです。

冬に高齢者の活動量が減少する理由、その対策についてお伝えします。

 

1.高齢者が冬に運動量が低下する理由は?

高齢だから冷えやすい理由がある

筋肉量は加齢に伴い、減少していきます。人の筋肉を増やし、維持するホルモンに成長ホルモン、男性ホルモンのテストステロンがありますが、これは年齢を重ねるほど減少してしまうのです。

ホルモンの減少に伴い、筋肉は30歳ごろをピークに減少し始め、減少は生涯続きます。筋肉は体内に熱を発生させる役割があるため、筋肉の減少はそのまま体温低下の原因にもなるのです。

一方、加齢に伴う血流の悪化も冷えの原因です。高齢になると、血管そのものが弾力性を失います。さらに、冷えの原因となる下肢静脈瘤に罹患する高齢者は、年齢が上がるほど増える傾向にあります。

デイサービスなどで冬の朝に利用者さんをお迎えすると、ほぼ全員の方の手足がひんやりしています。非接触の体温計で体温を測定するときは、おでこなどの体表が冷えすぎて測定できない方もいるほどです。

体が冷えた高齢者は、暖房のきいた室内でも冷えが回復しにくく、寒さがつらくて体操に参加したくないという方もいるのです。

役割が少ないため、外に出る機会がない

現役世代は仕事・子育て・買い出し・地域の役員など社会の中で役割が多いもの。また、仕事や子育てを通して友人との交流などで人と接し、必然的に外に出る機会があるものです。

しかし、高齢になると地域社会や組織で担う役割は少なくなり、外部との関わりが減少し、外出の機会も減ってしまいます。 外出が減れば体を動かす機会も減り、必然的に一日の運動量が減ってしまうのです。
 

2.高齢者が活動量を増やすための対策

ウォーキング

気温の高い時間にウォーキングを促す

病院で高齢者の生活リズムなどを伺うと、多くは、「いつも決まった時間に散歩する」など、生活リズムを決めている方は多いものです。

日頃「朝に散歩する」というリズムがある方が、冬に気温が低下してもリズムを変えないでいると、寒さを理由に散歩など運動習慣を中止しがちです。

季節によって散歩の時間を気温の高い昼間に変えるなど、気温に合わせた生活リズムの変更をすすめましょう。

介護保険サービスを利用

機会がないと一人で外出というのは難しいものです。要介護認定を受けている方は、ケアマネさんに頼み、デイサービスを介護計画に組み込んでもらう、要支援者・自立者は地域交流センターの体操に参加するなど介護保険サービスを活用しましょう。

地域の自治会役員の参加を促すなど、地域での役割を見つけることも外出の機会になります。

家族が外に連れ出す

脚の筋力が低下し、外出がままならない高齢者は、家族が外出の付き添いをするかと思います。高齢者を乗せて買い出しや受診で車の送迎があるとき、駐車場では少し遠くの場所に停車させましょう。数百メートルでも長い距離を歩ける機会にするのです。本人が歩く機会を作れないときは、周囲の方が歩く歩数を増やす工夫をする必要があります。

可能であれば、公共交通機関を使ったほうがバス停までの距離、駅構内での歩行など運動の機会は増えます。移動では、楽であるほど運動量は減り、少し不便な方が歩数は稼げるのです。
 

3.高齢者にもおすすめ自宅でできるトレーニング

座ってできる筋トレ

座ってできる筋トレ立ち上がるのがおっくうな方は、座ってできる下肢の筋トレがおすすめです。座面が硬めのダイニングの椅子に脚を床につけて座ります。(ソファなどお尻が沈む椅子では筋トレ効果が低くなるので)

座った状態で背中を背もたれにつけ、片方ずつ膝を伸ばし、つま先を前に出します。

10秒維持し、反対側の足を上げましょう。10回ずつで1セットとし、朝晩行います。この運動では、立ち上がりに必要な大腿四頭筋の筋肉が鍛えられるのです。

その場で足ふみ

その場で足ふみ外の気温が低く、家族が進めてもなかなか外出できない高齢者もいるでしょう。その場合は、室内で動くだけでも筋肉量の減少が防げます。例えば、その場での足踏み。

転倒予防のためにダイニングの椅子に手を添え、膝を曲げて太ももを高く、片足ずつ上げます。下肢の筋力使用はウォーキングと同じ役割があるのです。

足踏みの辛い場合、一日座っているよりも、ただ立っているだけでも効果はあります。これは、立位になることで、足底部・母指球への刺激になるためです。足底部、脚の母指球へ刺激があると、人の脳はバランスを保とうとする力が働くのです。

椅子につかまって行う筋トレ

つま先立ちダイニングの椅子につかまって立って行うトレーニングもおすすめです。

自分の前に椅子を置き、背もたれに手を添えましょう。次に、かかとを上げてつま先立ちを5秒維持します。そのご、踵を下ろすまでを1セットとし、10回行います。

この運動では、歩行時に地面をけり返すときに使うふくらはぎや太ももの裏側が鍛えられます。

スクワットも効果的です。椅子の背もたれにつかまり、一度膝を曲げ、腰を落としてから膝を伸ばします。腰を落とすときは膝の頭がつま先よりも前に出ないようにして行います。スクワットは、下肢全体の筋肉を鍛えるのに効果的です。

立つだけのトレーニング

家族が声かけをしても外出を嫌がる、運動もなかなかしてくれない高齢者には、立つだけトレーニングをしましょう。

テレビを見るときなどに、5分でも10分でも立つだけです。このとき、ダイニングの椅子や壁などに手を添えると安全です。

人の足の裏には感覚受容器があり、母指球や踵に体重の重みという刺激があることで、脳へ「バランスをとって立たなければ」という刺激になります。ただ立つというだけでも、下肢全体の筋肉も使えるのです。
 

4.まとめ

冬場はどの方も動きたくなくなるものですが、高齢者は冷えやすさ、社会的役割の少なさが原因で活動量が減少しやすくなります。活動量の減少により筋力が低下すると、ADL低下の原因に。

少しの運動の機会も見逃さず周囲が運動を促す、介護サービスを利用するなどして少しでもADL低下を予防しましょう。

島谷柚希(しまたに・ゆずき)島谷柚希
医療・健康ライター。看護師、介護支援専門員。整形外科などの医療機関や介護施設などで20年以上働いてきた経験を生かし、介護予防や健康に関する情報を発信。2021年10月には「看護師歴20年の私が伝える健康法  自分観察で疲れにくい体になる! 」(Kindle本)を出版。 

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