イチイのシニア住まい&健康情報

グッドライフシニア
 

11~3月がピークに!高齢者が気をつけたいノロウイルス|症状・検査・予防法を解説

ノロウイルス症状や対策

ノロウイルスは食中毒の原因としても多く、毎年冬場(11月頃〜)に流行しやすい感染症です。

特に高齢者が感染すると、脱水症状や誤嚥性肺炎につながることがあり、救急搬送や入院となるケースも少なくありません。

この記事では、高齢者が注意すべき理由と、家族が今日からできる予防法をわかりやすく解説します。(2025年12月25日 更新)


1.ノロウイルスとは?発生数や感染経路

ノロウイルスとは、嘔吐や下痢などの症状を起こすウイルスで、手指や食品などを介して口から感染し、腸管で増殖します。感染力が強く、学校や施設などで集団発生を起こすこともあります。

潜伏期間(感染から発症までの時間)は概ね24~48時間(1~2日)。主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱はあっても軽度のことが多いとされています。通常は1~2日ほどで回復するケースが多い一方、感染しても発症しない場合や、軽い症状で済む場合もあります。

ただし、体力が落ちている方(シニア世代を含む)は、嘔吐・下痢で脱水を起こしたり体力を消耗したりしやすいため、早めの水分補給や体調変化への注意が必要です。
ノロウイルスは一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。

感染経路は大きく分けて3つです。
「人から人(手指・接触など)」「人から食品(調理中の汚染など)」「食品から人(汚染された食品の摂取など)」。

いずれも口から入る“経口感染”が基本なので、手洗いと食品の衛生管理が重要になります。
 

2.検査は基本的に自費、保険適用になる人は?

ノロウイルスは、嘔吐や下痢の経過、周囲の流行状況、食事内容などから判断されることが多く、必ずしも検査が必要とは限りません。迅速検査(抗原検査)は医師が必要と判断した場合に行われますが、保険で検査できる対象が決まっており、対象外は自費になることがあります。

職場や施設、飲食店などで「念のため検査」を求められるケースもあるため、自費になる可能性がある点は知っておくと安心です。一方、重症化リスクが高い方など条件に当てはまる場合は、保険診療として検査を受けられることがあります。

保険診療で検査ができる人

保険診療で検査ができる人
3歳未満
65歳以上
悪性腫瘍の診断が確定している患者
臓器移植後の患者
抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤、または免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者

 
検査には、便を使って調べる迅速検査(抗原検査)などがあります。短時間で結果が出る一方で、発症からの時間や検体の状態によっては、陰性でも感染を否定しきれないことがあります。必要に応じて、症状や経過も含めて総合的に判断されます。

ワクチンや抗ウイルス剤はない

現在、ノロウイルスにはワクチンがなく、効果的な抗ウイルス剤もありません

そのため治療は、症状をやわらげて回復を待つ「対症療法」が中心になります。嘔吐や下痢が続いて脱水が強い場合は、医療機関で点滴などの処置が行われることもあります。
 

3.高齢者が重症化しやすい理由

ノロウイルスは多くの場合、数日で回復しますが、シニアは脱水を起こしやすいため注意が必要です。

加齢とともに体内の水分量(体液量)は少しずつ減り、食事量や水分摂取量も低下しやすくなります。のどの渇きを感じにくくなることもあり、水分・塩分が不足しがちです。

この状態でノロウイルスに感染して嘔吐や下痢をくり返すと、水分や電解質が失われやすく、脱水が進行しやすくなります。体力の消耗につながることもあるため、早めの水分補給と、つらい症状が続く場合は受診を検討しましょう。

 

4.高齢者のための予防と家庭での対策

ノロウイルス予防手洗い

①衛生面

手洗い・うがいを徹底することが大切です。帰宅後、調理の前後、食事の前、トイレの後などは、こまめに行いましょう。

手洗いの際はハンドソープを使い、手の甲・指の間・爪の中・手首まで意識して丁寧に洗うのがポイントです。
また、ふきん・まな板などの調理器具は、塩素系漂白剤を薄めた液で消毒すると安心です。

②飲食面

生の魚介類や加熱が不十分な肉類、生卵は控えるようにしましょう。食べる場合は、しっかり加熱することが大切です。

魚介類を調理する際は、「生食用」と表示のないものは中心まで十分に火を通してください。目安として、中心温度85〜90℃で90秒以上の加熱が推奨されています。

また、牡蠣やアサリ・シジミなどの二枚貝は感染源となる可能性があるため、体調や状況に応じて避ける判断も必要です。

詳しい細菌やウイルスの撃退法については、こちらの記事を参考にしてください。
食中毒も注意!細菌・ウイルス撃退法でしっかり予防

③免疫力を高める食材を摂る

ノロウイルスを防ぐためには、ウイルスに対する抵抗力・免疫力を保つことも大切です。日々の食事で意識して取り入れたい食材として、以下のようなものがあります。

腸内環境を整える食材 ヨーグルト、オリゴ糖
抗菌作用がある食材 香りが強い野菜、ハーブ、薬味
解毒作用がある食材 玉ねぎ、梅干し

 

シニアは脱水などのリスクもあるため、ノロウイルスには特に注意したいところです。感染を未然に防ぐには、手洗い・うがいといった基本を徹底しつつ、食事や衛生面の工夫もあわせて意識していきましょう。

家庭でできる予防対策を習慣にして、健やかな生活につなげていきたいですね。

シニアが自宅で過ごす場合、感染症対策や日常の見守りなどで、ご家族の負担が大きくなることがあります。

衛生管理がしやすく、日中はスタッフの見守りも受けられる「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、安心して暮らすための選択肢のひとつです。

【毎日の食事サポートも魅力の賃貸】
グランドマスト積水ハウスの「グランドマストシリーズ」。お好きな時に利用できるレストランでは管理栄養士による栄養のバランスがとれたお食事が楽しめます。
積水ハウス「グランドマストシリーズ」その魅力とは?

参照:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
首相官邸:「ノロウイルス(感染性胃腸炎・食中毒)対策」
国立感染症研究所:ノロウイルス感染症とは

(グッドライフシニア編集部 小窓まどか)


【関連記事】

タグ: ,