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【歯科医監修】シニアの虫歯急増!歯の数を減らさない7つのお口ケア

虫歯予防お口ケア1

大人になったら、歯周病は気になっても、虫歯のことはあまり考えなくなりませんか?でも実は、「70歳から大人の虫歯が急増する」のだそうです。そして虫歯で歯を失う危険性も。

なぜ高齢になると虫歯になるのか!?歯科医の坂口豊先生に原因や予防について教えてもらいました。
 

 

1.虫歯は歯垢の中の細菌が糖を材料に酸を作り、歯を溶かす

虫歯が多い、と言われていたのは、子どもの頃です。

虫歯は、歯垢の中の細菌が、糖を材料に酸を作るところから始まります。この酸が歯の表面を溶かして、歯髄(神経)へと進んでいきます。

乳歯が生え始める頃は、乳歯は酸に弱いので特に虫歯になりやすい時期です。また、永久歯に生え変わる頃も、注意が必要です。生えたばかりの永久歯は未成熟で酸に弱く、かみ合わせの溝が複雑で磨きにくく、虫歯になりやすいのです。

思い起こしてみても、幼稚園や保育園の年長さんの頃や小学校の頃は、歯医者さん通いが多かったのではないでしょうか。

ですが最近の子供たちは、保護者の関心が高く、子供たちの生活習慣の改善、フッ素入り歯磨きの普及などで小学校6年生の平均の虫歯数は1本以下。虫歯治療で学校を休む子供はほとんどいません。学校検診でも銀歯はずいぶん少なくなりました。
 

2.高齢者は歯茎が痩せて歯根が露出。ここが虫歯になる!

虫歯

その後は、成長と共にエナメル質が成熟し一般に虫歯リスクは低くなります。フッ素入り歯磨きのおかげで成人の歯は酸に強くなり、影響を受けにくなります。

けれど、高齢になると、また虫歯リスクが高まってきます。加齢によって歯のエナメル質がすり減ってきて酸が浸食しやすくなりますし、歯茎が下がってエナメル質に覆われていない歯根の部分が露出するので、ここが酸におかされて虫歯になりやすいのです。

また、治療した歯は、かぶせものがしっかりと合っていたのですが、古くなってくると歯とかぶせものとの間がだんだんあいてきて、虫歯の菌が入り込みやすくなります。

軽度の虫歯の場合、ほとんど痛みを感じないことがあります。また神経を抜いた歯は痛みを感じることがないので虫歯が進行しても気づきません。歯根の部分が弱くなって歯を失うことも考えられます。
 

3.薬の常用も虫歯の原因に!誤嚥性肺炎の危険性も高まる

高齢の方は、糖尿病や高血圧など、慢性の病気を抱えている人が多いのも、虫歯リスクを高めます。

こうした慢性的な病気の薬には唾液の分泌を抑えるものが多いため、唾液が出にくくなります。唾液には抗菌作用があるのですが、それが発揮されないからなのです。

さらに口が乾くため、飴玉のだらだら食べなどの悪習癖で一気に口腔環境が悪化します。

虫歯の菌が口の中に蔓延していると、飲食物や唾液といっしょに虫歯の菌も誤嚥しやすいので、誤嚥性肺炎の原因にもなるのです。

高齢になったら、お口のケアを十分にして、歯周病とともに、虫歯予防もしっかりしないといけませんね。
 

 

4.虫歯にならないための7つのとっておきケア

虫歯予防


さて、では実際にはどんなケアをすればいいでしょうか。具体的に示しましょう。

①ダラダラ食べをしない

口の中にひっきりなしに食べ物が入ってくると、それだけ口の中が菌におかされやすくなり、清潔に保ちにくくなります。 朝昼晩と3時のおやつ以外の時間は何も食べず、水分をしっかりとって口の中を潤すなどして、菌から歯を守りましょう。飲み物は甘くない飲み物を飲むこと。水やお茶がよいでしょう。

②甘い物を食べたら早めにお茶を飲む

甘い食べ物は口の中で酸化しやすいので、歯にはよくありません。食べたら歯を磨くか、それが不可能な場合は水やお茶をすぐに飲み、口の中の酸化を少しでも防ぎます。

③しっかり歯磨き!

酸化して歯を傷めるヌルヌル歯垢は、ていねいなブラッシングで取り除きましょう。歯間はブラシやデンタルフロスも使い、細かい隙間の汚れをしっかり落とします。歯科医は、自らのブラッシングに20分かける人もいるのです。歯垢はひとかき1億の細菌の塊です。

④汚れやすいところを知っておく

特に歯茎と歯の境目、前歯の裏、奥歯のかみ合わせの凸凹が多い部分、奥歯の一番うしろの歯茎と接している部分などは、ヌルヌル汚れがたまりやすいのでよく磨きます。

虫歯予防ブラッシングごしごし力を入れると細かい部分がよく磨けないので、ブラシ部分が小さめの歯ブラシで小さく動かして磨くのがコツです。

⑤舌も舌ブラシで丁寧に磨く

舌には古い細胞の死骸や細菌がくっつきやすいもの。舌がよく触る上顎も同様です。舌用のやわらかいブラシなどで汚れをよく落としましょう。

⑥フッ素を塗る

フッ素には歯の質を強くし、細菌の働きを弱める働きがあります。フッ素配合歯みがき剤を使ったり、フッ素洗口剤で口をゆすぐのを習慣化し、ときどき歯科医院でフッ素を塗布してもらうと、虫歯をある程度防ぐことができます。

⑦年に3回は歯科医で点検

虫歯や歯周病も早めに知っておけば、歯を失うリスクがグンと減ります。歯医者さんには、「歯が痛くなった」「歯がぐらぐらする」などと症状が現われてから行くのではなく、症状が出る前に点検してもらうのが原則。年に3回程度は診てもらいたいですね。

坂口 豊先生監修:坂口 豊先生 
JR.西千葉駅近くの坂口歯科医院院長。日本老年歯科学会認定医、日本口腔インプラント学会専修医、認知症ケア上級専門士。ケアマネジャーの資格も持ち、介護や福祉関連の専門職とも交流が深い。医院で診療するほか、近隣の高齢者宅に訪問歯科診療を行っている。優しく明るい人柄が患者さんに安心感を与えると評判。坂口歯科医院

三輪取材・文:三輪 泉(みわいずみ)(ライター)
編集・ライター、社会福祉士。介護・医療関連、教育、子育てなどのテーマでの執筆多数。社会福祉士会に所属し、成年後見人としても活動している。

 

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