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高齢者に多い誤嚥性肺炎、その原因・症状・予防法を知っておこう!

誤飲性肺炎

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)という言葉をご存じですか?

この病気は、私たちが生きていくうえで欠かせない「食事」に密接に関係し、日本人の死因第7位に入るほど身近にひそむ病気です。

加齢に伴い発症リスクが高くなりますので、高齢者の方は特に注意しておく必要があります。

このページでは、誤嚥性肺炎の症状や日々の生活で予防できる生活習慣の見直し、食事の際の姿勢、食べ物の工夫、ワクチン接種などについて分かりやすく説明します。
 

 

1.誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは?

食べ物や飲み物、唾液などを飲み込むことを嚥下(えんげ)と言います。私たちののどは、食事の際には食べ物の通り道(食道)、呼吸の際には空気の通り道(気道)となっており、健康な人が嚥下すると食道を通るようになっています。

しかし、この嚥下機能に障害が発生すると、食べ物などが誤って気道に入ってしまいます。これを誤嚥(ごえん)と呼びます。

高齢者が気を付けたい誤嚥性肺炎2誤嚥性肺炎は、誤嚥した食べ物や唾液などと一緒に細菌が気道に侵入し、気管支や肺に入ることで発症する病気です

脳梗塞後遺症、パーキンソン病などの神経疾患や寝たきり状態の方に多く発生するほか、嚥下機能の低下した高齢者の方も発症リスクが高くなります。

ご本人だけでなく、周りの方も注意して見てあげてください。
 

2.誤嚥性肺炎の兆候と症状

では具体的に、どのようなサインが見られたら誤嚥性肺炎を疑うべきなのでしょうか。原因となる嚥下障害や、発症した際の症状について見ていきましょう。

以下のような嚥下障害(えんげしょうがい)の症状が見られる場合には、誤嚥性肺炎を起こしやすい状態と言えるので注意が必要です。
 

気を付けるべき兆候

食べ物が飲み込みにくくなったという自覚(嚥下困難)

食べ物を飲み込むのが辛い、飲み込みにくくなったという自覚はないか、ご本人に確認してみましょう。

また、ご本人からの訴えがない場合にも食事の際の状態で判断することができますので、観察してみて下さい。固いものやパサついたもの、固形物と水物が混合したものなどは飲み込みにくく、食事に時間がかかるようになります。

食事の際のむせ(誤嚥)

食事中にたびたびむせてしまう、食後によく痰が出るなどの症状がある場合、誤嚥が起こっている可能性があります。

むせのない誤嚥にも注意(不顕性誤嚥)

高齢者が気を付けたい誤嚥性肺炎1気道を守るための反射(気道防御反射)が低下している場合には、誤嚥をしていてもむせないことがあるので要注意

不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)と呼ばれ、食事以外にも夜間や睡眠時に唾液の誤嚥を引き起こすことがあり、誤嚥性肺炎の原因の多くを占めると言われています。

嚥下困難やむせといった明らかな嚥下障害が見られなくとも、念のため医師に相談し、検査しておくと良いでしょう。
 

誤嚥性肺炎の症状

肺炎の典型的な症状には発熱、咳、膿のような痰が挙げられますが、高齢者の誤嚥性肺炎ではこれらの症状が表れにくく、下記のような非特異的な症状のみが見られることも多いです。
 

普段より元気がない
ぼんやりしている
食欲がない
のどがゴロゴロとなる

 
これらの症状に当てはまる場合には、すでに誤嚥性肺炎を発症している可能性がありますので、できるだけ早く医師に診てもらうようにしてください。
 

3.誤嚥性肺炎を予防するには?

誤嚥性肺炎のリスクには、脳梗塞などの脳血管障害が挙げられます。原因となる高血圧症や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病がある場合には改善に取り組み、リスクを減らしていきましょう。

誤嚥性肺炎の発症・再発予防には、日頃のケアがとても大切です。生活習慣の見直しをしましょう。
 

食事の際の姿勢

食事中の姿勢の悪さも、誤嚥を起こす原因となります。ご本人が起き上がって食事をする場合には、猫背になっていないか、テーブルの高さは適切か、足元が安定しているかなどをチェックします。

頸部が伸びた状態(アゴを上向きにした状態)は誤嚥しやすいため、クッションなどを活用し、頸部・背部の安定感を確保しておきましょう。

また、介助が必要な場合には、被介助者と目線の高さを合わせるようにして下さい。スプーンの入る角度が良くアゴが上がらないので、より安全に食事を摂ることができますよ。
 

食べ物の工夫

食べ物の形態やとろみを食べやすく工夫することも大切です。嚥下機能のレベルに合わせて推奨されるポイントが異なりますので、詳しくは医師に相談するようにして下さい。
 

歯磨きなどの口腔ケア

誤嚥性肺炎の原因となる細菌数を減らすため、口腔内を清潔に保つことも大切な予防策です。

個人的に行うブラッシングなどでは除去しきれないものもありますので、現在の状態や今後のケア方法について、歯科医師に相談してみましょう。
 

ワクチン接種

誤嚥性肺炎の原因菌の一つとして肺炎球菌が関与しているため、ワクチンの接種も効果的。自治体によっては補助がありますので、活用していきましょう。
 

禁煙

喫煙は肺の防御力を弱めてしまうほか、嚥下機能の低下にもつながります。気道の粘膜に付着する細菌を増加させてしまう可能性もあるため、喫煙習慣のある方は積極的に禁煙にチャレンジしていきましょう。
 

ストレッチ

嚥下機能の維持・向上には、食事前のストレッチが有効です。首や肩などの筋肉をほぐし、嚥下を行いやすくしましょう。

具体的なストレッチのやり方については、「嚥下体操」「嚥下 ストレッチ」などで検索すると、イラストや写真付きの解説が見つけられます。わかりやすく実践しやすいと感じるものを参考に、ぜひトライしてみて下さいね。
 
毎日の食事を安全に、そして健やかに楽しむためにも、誤嚥性肺炎について知り理解を深めておきましょう。
 
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筆者:熊戸まこ(くまど・まこ)
学習院大学法学部政治学科卒業。IT企業に3年間勤め、退職後はライターとして高齢者の介護や福祉、健康分野の記事を執筆しています。福祉分野の専門性を高めるため、現在は社会福祉士の国家試験を取得しています。 

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