高齢者の方は複数の病気を持っていることが多く、その分服用する薬も多くなりがちです。
そこで気を付けたいのが薬の「副作用」。「飲んだら眠くなった」という軽度のものから生死に関わるものまで様々な副作用が現れる場合があります。
薬との上手な付き合い方を知り、健やかな毎日につなげていきましょう。
1.高齢者の薬の副作用とは?
・加齢による身体機能の低下
・血液中のタンパク質が少ない
・多剤服用による相互作用(薬疹・食べ合わせ)
2.こんな症状があったら注意!!
3.薬との上手な付き合い方
4.まとめ
高齢者の薬の副作用とは?
副作用とは、期待している効き目以外の作用が表れることや、期待した効き目以上の強い作用が表れることを意味します。
今まで経験したことがないという方にも加齢や飲み合わせによって生じる可能性があるため、油断は禁物です。
高齢者は若者に比べて副作用が起こりやすい傾向にあり、それにはいくつかの理由があります。
加齢による身体機能の低下
薬の効き方は常に一定ではなく、加齢によって変化していきます。
例えば飲み薬の場合、口から飲んだ薬は胃で溶解されて小腸で吸収され、血液に乗って患部に到達し、効き目を発揮します。
そして肝臓で代謝(分解)されたり、腎臓から排泄されたりすることで効き目をなくしていきます。
ところが高齢者になると、この肝臓や腎臓の機能が低下してしまい、代謝や排泄に時間がかかるようになります。これにより、薬が効きすぎてしまうことがあるのです。
血液中のタンパク質が少ない
薬の多くは、血液中のタンパク質(アルブミン)に結合して運ばれます。結合の割合は薬によって異なりますが、アルブミンと結合したものは作用が一時止まるようになっています。
このアルブミンの量が少ないと結合できる薬も必然的に少なくなり、その分だけ薬の作用が強く表れてしまうのです。
多剤服用による相互作用
複数の薬を同時に服用した場合、薬と薬が互いに影響しあって効き目が変化し、思わぬ症状を引き起こすことがあります。これを相互作用といい、薬の種類が多くなればなるほどリスクも高まります。
特に高齢者の方は複数の病気を併せ持っていることが多く、服用する薬の種類も多くなりがち。
服用する薬が6つ以上になると副作用の発生率が高くなると言われています。
薬疹(やくしん)
なかでも薬疹は、ほぼすべての薬品が原因となりうるので要注意。特に解熱薬や睡眠薬、抗てんかん薬などによるものが多く、湿疹や水泡、じんましんなどさまざまな皮膚病変がみられます。入院が必要なほど重症化するケースもあるため、薬の服用を始めてから様子に変化がないか、よく観察することが大切です。
薬と食べ物の食べ合わせ
また、食べ物や飲み物でも、納豆やグレープフルーツ、牛乳などは薬との同時摂取に注意が必要です。
納豆はビタミンKを多く含む食品。心筋梗塞などの治療に使われる「ワーファリン」というビタミンK拮抗薬(ビタミンKのはたらきを抑える薬)と納豆を同時に摂取すると、薬の作用と逆にはたらいてしまい、効果を弱めてしまいます。
グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬として代表的なのは、高血圧や狭心症に用いるカルシウム拮抗薬です。グレープフルーツに含まれるフラボノイドという成分が、薬を代謝(分解)する力を弱めてしまうと考えられています。
牛乳は一部の抗生物質(テトラサイクリン系、ニューキノロン系)と相性が良くありません。牛乳に含まれるカルシウムと薬の成分が合わさることで体に吸収されにくくなり、効果が弱まる可能性があります。
一部の漢方薬や市販薬、健康食品の中にも相互作用を起こしやすいものがあるため服用を始める前に薬剤師に確認することが大切です。
こんな症状があったら注意!!
薬の副作用は誰にでも起こるわけではなく、アレルギー体質などの個人差や、飲んだときの体調なども影響してきます。
下記は副作用の一例になります。
催眠鎮静剤(寝つきを良くする薬)
歩行困難、尿失禁、記憶障害、視覚障害 など
糖尿病用薬(血糖を下げる薬)
空腹感、脱力感、冷や汗、ふるえ など
抗うつ剤(気分を落ち着かせる薬)
手足のふるえ、ふらつき、便秘 など
高脂血症用材(コレステロールを下げる薬)
発疹、かゆみ、筋肉痛 など
血圧降下剤(血圧を下げる薬)
ふらつき、転倒、顔面潮紅、頭痛 など
アレルギー用薬(アレルギーを抑える薬)
眠気、ふらつき、口渇、尿閉 など
上記のような症状にはくれぐれもお気をつけてください。
それでは次のページでは、薬との上手な付き合い方や服用に際し気をつけるべきポイントについてご説明します。
■次のページに続く
- 1
- 2