トマトの栄養と効能は？健康＆美容にぴったりの理由を管理栄養士が解説

「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれるほど栄養価の高いトマト。元気にイキイキと過ごしたい場合や、美容への効能を期待したい場合に、ぜひ取り入れたい野菜です。

また手軽にとれるトマトジュースは、生のトマトとどう違うのでしょうか？今回はトマトの栄養やトマトジュースとの違い、効果的な取り入れ方を解説します。
 

トマトの栄養素と期待できる効能

トマトの栄養価が高いといわれるのは、リコピンやβ-カロテンが豊富に含まれることが理由の一つです。ほかにも、カリウムやビタミンCなど、長く元気に過ごすために、欠かせない栄養素や成分がたっぷり含まれています。

具体的にどのような効能が期待できるのか、詳しく見てみましょう。

リコピン・β-カロテン

トマトに含まれるリコピン・β-カロテンは、トマトの赤い色素成分です。

抗酸化作用があり、動脈硬化やがんの予防、免疫機能の維持、老化防止など、生活習慣や加齢によるさまざまな影響から体を守ってくれます。

カリウム

カリウムはむくみ解消や高血圧予防に役立つ栄養素です。カリウムは、むくみや高血圧の原因となる、余分なナトリウム（塩分）を排出してくれる働きがあります。

特に高血圧は、20歳以上の日本人の二人に一人といわれるほど身近な病気です。血圧が高い状態が続くと、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞、認知症などのリスクとなることが知られており、健康寿命を縮める原因となる恐れがあります。

長く元気で過ごすためにも、減塩を心がけるとともに、トマトのようなカリウムを含む野菜類をたっぷり取り入れるようにしましょう。

ビタミンC

ビタミンCは免疫機能の維持や、肌を健やかに保つために欠かせない役割があります。ビタミンCは水溶性の栄養素で、たくさん摂っても排出されてしまうため、毎日欠かさずに補給することが大切です。切るだけで食べられるトマトなら、手軽に毎日取り入れやすいでしょう。
 

トマトジュースはリコピンやカリウムが豊富

トマトジュースは生のトマトに比べ、リコピンやカリウムの含有量が多いことがわかっています。またトマトには、高めの血圧を下げる機能が期待されているGABA（ギャバ）という成分が含まれており、トマトをたっぷり使って作るトマトジュースから効率的に補給できます。

反対に生のトマトは、ビタミンCや食物繊維、β-カロテンの含有量が優れています。

トマトの旬である夏は安価に手に入る生のトマトを、トマトが高価な季節はトマトジュースを活用してみる、といった使い分け方もよいでしょう。
 

トマトは加熱＆油と調理がおすすめ

トマトの栄養素や成分を効率的に摂るなら、加熱して油と一緒に調理するのがおすすめです。リコピンとβ-カロテンは脂溶性であり、油と一緒に摂ることで吸収がよくなります。またリコピンは加熱することで吸収されやすくなることがわかっています。

加熱するとカサが減り、量をたっぷりと食べられるのもうれしいポイントです。その分栄養素もたくさん摂れます。

トマトは健康づくりや美容にうれしい効能が期待される栄養素をたっぷりと含んでいることがわかりました。トマトジュースでも効率的に栄養補給できますが、しっかり噛んで食べることも大切なので、生のトマトやほかの野菜も取り入れるようにしましょう。バランスのよい食事も心がけながら、上手にトマトを活用してみてください。

参考：文部科学省「日本食品標準成分表（八訂）増補2023年」

筆者：広田千尋
管理栄養士。保健センターや病院に勤務し、生活習慣病予防や低栄養予防など、中高年から高齢者の栄養サポートに従事する。現在はフリーランスとして独立し、食や栄養に関するコラム執筆や、身近にある材料でおいしく健康になれるレシピ作成などの活動を行っている。