骨粗しょう症は骨折や腰痛を引き起こし、将来的な寝たきりの原因にもなる病気です。骨粗しょう症を予防するには、牛乳や乳製品からカルシウムを摂る以外にも、気をつけたいポイントがいくつかあります。
今回は、骨粗しょう症を予防するために知っておきたい食事や運動のポイントについて、管理栄養士が解説します。
1.骨粗しょう症予防で大切なポイント
骨粗しょう症とは骨量が減り、骨がもろくなった状態です。
骨がもろくなることで骨折しやすくなり、腰痛を引き起こしたり、将来の寝たきりの原因となったりします。
長く元気で生き生き過ごすためにも、早いうちから対策しておくことが大切です。
骨粗しょう症予防には、骨の材料となるカルシウムの摂取が大切です。ほかにも、ビタミンDやビタミンKの摂取、さらには適度な運動も欠かせません。正しい知識を身に付けて実践し、骨粗しょう症を予防しましょう。
2.骨粗しょう症予防にとりたい食べ物
骨粗しょう症予防にとりたい食べ物について、詳しくご紹介します。
カルシウムを含む食べ物
カルシウムは骨の形成に欠かせない栄養素です。カルシウムの摂取が不足すると血中のカルシウム濃度が下がってしまい、濃度を維持しようとして骨のカルシウムが取り出されてしまい、骨密度を下げてしまいます。
カルシウムは牛乳や乳製品以外にも、大豆製品や色の濃い野菜にも含まれます。毎日さまざまな食べ物からカルシウムを摂りましょう。
カルシウムを含む食べ物一覧
乳類 | 牛乳、スキムミルク、ヨーグルト、チーズ |
豆類 | 大豆、豆腐、納豆、がんもどき、厚揚げ、きなこ |
野菜類 | だいこんの葉、かぶの葉、水菜、小松菜、モロヘイヤ、ほうれんそう、春菊、切干大根 |
海藻類 | ひじき、わかめ、昆布 |
魚介類 | 煮干し、干しえび、しらす干し、ししゃも、小あじ |
ビタミンDを含む食べ物
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する作用があります。軽度に不足した場合でも低カルシウム血症のリスクとなることが知られているため、欠かさずに摂りたい栄養素です。
ビタミンDは野菜や果物には含まれず、きのこ類や魚介類から補う必要があります。
【ビタミンDを含む食べ物】
きのこ類 | きくらげ、まいたけ、しいたけ、エリンギ |
魚介類 | しらす干し、いわし、鮭、かじき、かつお |
卵類 | 鶏卵 |
ビタミンKを含む食べ物
ビタミンKは骨の形成に必要な栄養素です。通常の食生活で不足することはほとんどありませんが、慢性的に不足すると、骨粗しょう症や骨折のリスクとなることが知られています。
ビタミンKは納豆や色の濃い野菜に含まれているため、意識して取り入れましょう。
【ビタミンKを含む食べ物】
豆類 | 納豆 |
野菜類 | モロヘイヤ、ほうれんそう、春菊、ブロッコリー、かぶの葉、だいこんの葉、小松菜、豆苗 |
3.骨粗しょう症予防のために避けたい食べ物や飲み物
骨粗しょう症予防のために、絶対に食べてはいけないものはありませんが、以下のものは過剰摂取を避けましょう。
リンを含むもの
リンの過剰摂取はカルシウムの排泄を促してしまい、骨量減少に繋がります。
リンは肉や乳製品などさまざまな食べ物に含まれていますが、食品添加物として加工食品に多く含まれます。たとえばハムやソーセージ、インスタントラーメンやカップラーメンなどの加工食品や、清涼飲料水をよくとる方は、過剰摂取の恐れがあるため、注意しましょう。
お酒
アルコールのとりすぎにより、カルシウムの吸収を妨げたり排泄を促したりしてしまいます。
お酒の適量は、日本酒換算で1合程度が目安です。ビールなら500mL、チューハイ(7%)なら350mL程度の量です。女性はさらに少なく、この1/2~2/3程度の量が勧められます。
お酒の飲みすぎは骨粗しょう症のほかにも、肝臓に影響したり、がんや高血圧、脳出血などのリスクとなったりします。ほどほどに楽しむようにしましょう。
カフェインを含む飲料
カフェインはカルシウムの排出を増やすため、カフェインを多く含むコーヒー、緑茶、紅茶などの飲料をたくさん飲むのは控えましょう。
カフェインの過剰摂取は、骨粗しょう症以外にも不眠やめまいなどを引き起こす恐れがあります。
とくにコーヒーはカフェインが多いため1日3杯程度までが良いとされています。緑茶や紅茶もあわせて飲む場合は、コーヒー1~2杯以下にするなどし、カフェインを摂りすぎないよう気をつけましょう。
食塩
食塩(塩分)の摂りすぎもカルシウムの吸収を妨げてしまいます。味付けは薄味を心がけ、食塩の摂りすぎに繋がりやすい漬物や佃煮は量や頻度を控え、ラーメンやうどんなどの麺類は汁を残すなどし、減塩を心がけましょう。
4.骨を強くするおすすめの運動
運動は骨密度を高めることが知られており、適度な運動が勧められています。
ジャンプなど骨に負荷のかかる運動が良いとされていますが、軽いウォーキングでも腰椎、大腿骨頚部の骨密度上昇が期待されています。
また運動により筋力アップすると転びにくくなるなどのメリットや、血糖値や血圧の改善も期待できるため、長く元気でいられるためにも運動は欠かせません。
ウォーキングは1日1万歩が理想と言われますが、まずは1000歩(約10分程度の歩行)プラスできるよう、運動する時間を増やしましょう。
カルシウムやビタミンK、ビタミンDを取り入れたバランスの良い食事、適度な運動は骨粗しょう症予防にとても大切です。早いうちから食事や運動に気をつけて、いつまでも元気に過ごしましょう。
管理栄養士。保健センターや病院に勤務し、生活習慣病予防や低栄養予防など、中高年から高齢者の栄養サポートに従事する。
現在はフリーランスとして独立し、食や栄養に関するコラム執筆や、身近にある材料でおいしく健康になれるレシピ作成などの活動を行っている。
参考:文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
厚生労働省 健康日本21 身体活動・運動
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