
高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、放置すると脳卒中や心筋梗塞、心不全など命にかかわる病気につながる恐れがあります。
とくに高齢者は、加齢による血管の変化で高血圧になりやすく、早朝高血圧や夜間高血圧など、高齢者特有の注意点も少なくありません。
この記事では、高血圧の基礎知識から高齢者に多い特徴、日常生活で気を付けたいポイントまで分かりやすく解説します。
1.高血圧(高血圧症)とは
血圧には上と下の2種類の数値があります。上の血圧は心臓が収縮して血液を送り出す際の数値で「収縮期血圧」、下の血圧は心臓が拡張したときの数値で「拡張期血圧」と言います。
収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上になると「高血圧症」と診断されます。
高血圧になる主な原因は、塩分の摂り過ぎや肥満、喫煙、ストレスなどですが、高齢者では高血圧の人が多く、65歳以上では約3人に2人が高血圧とされています。知らず知らずのうちに患っていることも少なくありません。
血圧は時間帯や体調によって変動するため、一度の測定だけでは診断されません。家庭でも朝・夜の決まった時間に測定し、記録を続けることが早期発見や適切な治療につながります。
2.高齢者の高血圧の特徴と対策
高齢者の高血圧は、若い世代とは異なる特徴があり、治療や日常生活で注意したいポイントも変わってきます。ここでは、高齢者に多くみられる特徴について解説します。
収縮期血圧(上の血圧)が高くなりやすい
高齢者は血管の弾力性が低下し血流が悪くなることから、血管壁にかかる圧力(収縮期血圧)が高くなる傾向があります。
基準値の140mmHgを大きく上回る数値を見ると驚いてしまいますが、薬で急激に血圧を下げることは返って危険な場合も多く、塩分摂取や飲酒・喫煙などの生活習慣の見直しから治療を行うケースが多いです。
自己判断で薬を中止・変更せず、医師と相談しながら生活習慣の改善と適切な治療を続けることが大切です。
血圧降下剤でめまいを起こすことがある
本来、脳は血圧の影響をあまり受けずに一定の血液量を保つ機能を持っています。
しかし高齢になるとこの機能が低下するため、脳に血液を送るためにある程度の血圧を維持する必要が出てきます。
そんなときに血圧降下剤を飲んでしまうと脳の血流量が減ってしまい、めまいや立ちくらみによる転倒や、脳への血流低下を招くことがあるため注意が必要です。
本人だけでなく周囲の方も注意して観察し、症状がある場合には医師に相談するようにして下さい。
血圧のリズムが乱れやすい
血圧は一般的に、日中は高く、睡眠中は低くなる傾向があります。しかし高齢者では、夜間も血圧が下がりにくかったり、朝方に大きく上昇したりすることがあります。
夜間も血圧が高い「夜間高血圧」や、朝方に急激に血圧が上がる「早朝高血圧」を知らずに放置していると、心臓や血管に負担がかかり、脳卒中や心臓病のリスクが高まります。
日本高血圧学会の家庭血圧測定の推奨では、朝は起床後1時間以内(排尿後・朝食前・服薬前、1~2分安静後)、夜は就寝前(1~2分安静後)に測定することが勧められています。
家庭でも朝と夜に血圧を測定し、日々の変化を記録しておきましょう。
白衣高血圧の方も多い
家庭で測定すると正常なのに、診察室で測ると高血圧になるといった症状を「白衣高血圧」と言います。
高数値が持続する通常の高血圧に比べ良性と思われがちですが、臓器障害や循環器病が起こりやすいという報告もあり、注意が必要です。
このような傾向が見られる場合は、家庭血圧の記録を持参し、医師に相談しましょう。
3.高血圧の高齢者が日常生活で気を付けたいこと
高血圧の高齢者は、普段のちょっとしたことを引き金に脳卒中や心臓病を起こしやすいので注意が必要。予防のために日常生活で気を付けるポイントを確認しておきましょう。
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塩分を控える
高血圧の方は、塩分の摂りすぎに注意が必要です。塩分は血圧を上げる要因の一つとされています。日本高血圧学会では、高血圧の方は1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。
加工食品や加工肉、スナック菓子などに多く含まれる塩分を避けるよう心掛けましょう。代わりにハーブやスパイスを使ったり、塩分の代わりにレモン汁や酢を使って調味することで、食事の味を楽しむことができます。
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急激な温度変化を避ける
冬場の入浴やトイレなど、急激な温度変化があると血圧も激しく上下し、体に負担がかかります。
ヒートショックを防ぐためにも、脱衣所や浴室、トイレなどは暖房器具で事前に暖めておき、浴槽につかる前にはかけ湯をして体を慣らしましょう。
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こまめに水分を取る
脱水症状も発病の引き金になることがあります。高齢者の方は喉の渇きに気付きにくいため、こまめに水分を取るのがベスト。
特に高血圧の方は、就寝前や起床時に加え、のどが渇く前からこまめに水分を補給しましょう。
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ゆっくり動き、ストレスをためない
血圧の上がり始める朝には急激な動きを避け、ストレッチなどをしてゆっくりと体の活動準備を整えて下さい。
また、怒りやイライラは血圧上昇の要因になりますので、穏やかな気持ちを保つことも大切な高血圧予防。十分な睡眠や適度な運動、趣味などでストレスをため込まないことも血圧管理につながります。
血圧の基礎知識や高血圧・低血圧が健康に与える影響をわかりやすく整理し、それぞれの原因・予防・対処法についての記事はこちらから。
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筆者:熊戸まこ(くまど・まこ)学習院大学法学部政治学科卒業。IT企業に3年間勤め、退職後はライターとして高齢者の介護や福祉、健康分野の記事を執筆しています。福祉分野の専門性を高めるため、社会福祉士の国家試験を取得しています。
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