「糖質制限」という言葉を聞いたことがありますか?体重や血糖値が気になる方は、一度は耳にしたことがあるかもしれません。若い世代を中心に広がっている糖質制限ですが、シニア世代が実践するときは注意すべきポイントがあります。
今回はシニアが知っておきたい糖質制限の知識について解説します。
1.糖質制限とは
糖質制限とは、食べ物に含まれる糖質の量をコントロール(制限)する食事法です。米やパン、麺、芋類などの糖質の多い食べ物を減らし、肉や魚などのおかず、野菜をたっぷり食べる、というものです。
糖質制限をすることで、ダイエットや血糖コントロールなどへの効果が期待されています。
糖質制限についての詳しい記事はこちらをご覧ください。
■糖質制限の効果と注意点|ダイエットにおすすめの食べ物やNG食材は?
2.シニアが糖質制限をするとどうなる?
シニア世代は、極端な糖質制限ではなく、適切な範囲でゆるやかな糖質制限を心がけましょう。極端な制限によるデメリットと、ゆるやかな制限によるメリットをご紹介します。
シニアの糖質制限デメリット
デメリット①筋肉量が減り将来の寝たきりリスクに繋がる
糖質をほとんど摂らないなど、極端な糖質制限は筋肉量を減らす危険性があります。歩くための筋肉が減ってしまうと将来的に歩行困難に繋がり、寝たきりリスクが高まる恐れがあります。
「筋肉の材料となるたんぱく質をしっかり摂っていれば良いのでは?」と考えるかもしれません。ですが実は、糖質も筋肉量維持に大切な働きをするのです。
糖質が不足すると、たんぱく質が身体を動かすためのエネルギーとして使われてしまい、筋肉の材料として使われません。またエネルギー源が不足すると、筋肉を分解してエネルギー源としてしまうため、筋肉量を減らしてしまう恐れもあります。
筋肉量をキープするためにも極端な制限はせず、適度に糖質を摂りましょう。
デメリット②体力が低下し、病気にかかりやすくなる
極端な糖質制限によりエネルギー不足の状態が続くと、体力低下に繋がり、病気にかかりやすくなるなどのリスクも考えられます。
シニア世代は、たとえば感染症にかかると重症化する場合もあるため、しっかりと体力はつけておきたいもの。ふらふらになってしまうような極端な糖質制限は避けましょう。
シニアの糖質制限メリット
メリット①肥満の方はダイエットになる
糖質制限はカロリーコントロールしやすいこともあり、肥満のある方は適正体重に近づきやすくなります。
糖質制限と言うと米やパンなどの主食を減らすイメージが強いかもしれませんが、主食以外にも、せんべいやクッキー、チョコレートなどの菓子類や、ビールやワイン、日本酒などのお酒も糖質が含まれています。
これらの嗜好品を糖質が少ないものに減らすことでも、糖質の量を適正にできカロリーコントロールに役立ちますよ。
メリット②血糖値が気になる方に役立つ
糖質の摂りすぎは血糖値を高めてしまうため、糖質の量を控えることで、血糖値のコントロールに役立ちます。
先ほども伝えたように、菓子類やお酒などの嗜好品から見直すと、糖質の量をコントロールしやすくなります。
ただし、すでに通院治療している方(糖尿病以外にも、高血圧、腎臓病など)は、自己流のやり方では健康を損ねてしまう恐れも。必ず医師や管理栄養士に相談し、あなたに最適な食事療法を行うようにしてください。
3.適切に糖質制限を行うポイント
寝たきり予防や病気予防のためにも、シニア世代の糖質制限は正しく行うことがとても大切です。適切に糖質制限を行うためのポイントを知っておきましょう。
ポイント①主食を減らしすぎない
米やパン、麺類などの主食は適度に食べましょう。減らしすぎることで糖質が大きく不足してしまうほか、食物繊維が不足して便秘になってしまったり、空腹感から間食が増えてしまったりすることもあります。
たとえばご飯(米)であれば、少なくとも毎食小盛り1杯程度は食べるようにするなどし、全く食べないのは避けましょう。
ポイント②菓子類やお酒などの嗜好品を見直す
繰り返しになりますが、菓子類やお酒には糖質が多いものがたくさんあります。糖質制限を考えるなら、まずはこれらを見直すことが大切です。
後ほど、糖質が少ない菓子類やお酒の種類をご紹介します。
ポイント③薄味を心がける
糖質制限では、野菜などのおかずをたっぷり食べることが多くなります。気をつけたいのは、おかずをたっぷり食べると塩分の摂りすぎに繋がりやすい点です。
塩分の摂りすぎは高血圧の原因になりますので、薄味を心がけましょう。
4.糖質制限中の食べ物の選び方
糖質制限をするときに、気をつけたい食べ物や飲み物、また取り入れたいものを以下の表にまとめています。
△気をつけたい食べ物・飲み物 | ◎取り入れたい食べ物・飲み物 | |
---|---|---|
主食 | 白米、食パン、うどんなど | 玄米、雑穀米、全粒粉パン、ライ麦パン、蕎麦 |
主菜 | 加工肉(ソーセージ、ハム、ウインナー)、加工食品(かまぼこ、ちくわなど練り製品)など | 魚類(さば、さんま、あじ、ぶり、鮭など)、大豆製品(豆腐、納豆など)、卵、鶏肉、豚肉、牛肉など |
野菜 | じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、さといもなど | ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、白菜、トマトなど |
果物 | バナナ、柿、ぶどう、マンゴーなど | アボカド、オレンジ、いちご、スイカ、りんごなど |
間食 | せんべい、まんじゅう、クッキー、チョコレート、アイスクリームなど | ナッツ(アーモンド、くるみなど)、ヨーグルト、チーズなど |
酒類 | ビール、ワイン、日本酒、梅酒、チューハイなど | 焼酎、ウイスキー、ブランデーなど |
飲み物 | 果物ジュース、野菜ジュース、炭酸ジュース、砂糖入りコーヒーなど | 水、お茶、無糖コーヒーなど |
参考・参照:文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
「気をつけたい食べ物・飲み物」は絶対に食べてはいけないものではありませんが、量や頻度に気をつけることで、糖質の量を抑えられやすくなりますよ。
シニア世代が糖質制限をするなら、ゆるやかに行うようにしましょう。厳しい制限は健康を損ねる恐れがあるだけでなく、食べる楽しみも減らしてしまうものです。
身体も心も健康になれる、自身にあった食事法を行ってくださいね。
管理栄養士。保健センターや病院に勤務し、生活習慣病予防や低栄養予防など、中高年から高齢者の栄養サポートに従事する。
現在はフリーランスとして独立し、食や栄養に関するコラム執筆や、身近にある材料でおいしく健康になれるレシピ作成などの活動を行っている。
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