ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、高齢者だけでなく40代から発症の可能性があると言われており、進行すると寝たきり・要介護になる危険性が高くなるため早期発見・予防が大切です。
今回は、ロコモとは何か・原因とロコモチェックリストと予防法とあわせてご説明していきます。
ロコモティブシンドロームとは?
ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは“運動器症候群”のことであり、運動器の障害が原因で移動機能が低下した状態のことをさします。
運動器とは、身体を動かす骨・関節・筋肉・神経などの総称です。ロコモが進行し、運動器の機能がどんどん低下すると、日常生活に支障をきたします。
進行すると寝たきり・要介護になる危険性が高くなる
ロコモが進行すると、寝たきりになってしまったり、要介護になってしまう危険性が高くなります。
平成25年厚生労働省国民生活基礎調査の結果をみると、寝たきり・要介護になった原因は、骨折・転倒・間接の痛みなどの運動器の障害によるものが第一位でした。
出典:『国民生活基礎調査 平成25年度』(厚生労働省)
要介護や要支援になる原因は、認知症や脳の疾患が原因と思われがちです。しかし、図を見ると実は“運動器の障害”によるものが全体の4分の1を占めていることがわかります。
日本は高齢化社会を迎えており、平均寿命は約80歳に達しています。運動器の障害によって、日常生活に支障をきたすほか、介護が必要になる人が増える状況はますます進行していくでしょう。平均寿命が延びているぶんだけ、運動器を良い状態に保ち続ける必要があります。そのため、ロコモ予防をするための運動習慣が推奨されているのです。
ロコモに陥る要因3つ
1.バランス感覚の低下
バランスをとるためには、視覚・三半規管・筋力が必要です。
視覚が衰えると、明暗がわかりづらくなったり物の形がぼやけてしまったり、対象物との距離感が掴みづらくなってしまいます。三半規管が衰えてしまうと、ふらついてしまい、結果バランスが保てなくなってしまいます。
2.筋力の低下
加齢とともに、運動量が不足して筋力も衰えていきます。なかでも、高齢者は下半身の筋肉の委縮が起こりやすい傾向にあります。そうすると、つまづいたり重い物を持つことが出来なくなったり、足で体を支えることが難しくなってしまいます。
3.骨・関節の病気
骨粗鬆症、変形性膝関節症、脊椎管狭窄症など、これらの病気がロコモに繋がる要因となる場合があります。
40代でも発症!ロコモ可能性チェック
ロコモは高齢者だけでなく、40代でも発症するケースがあります。これは、ロコチェックと呼ばれているもので、骨や関節、筋肉などの運動器が衰えているかどうかをチェックするテストです。
1つでも当てはまればロコモの可能性があると考えられます。事前にチェックをして早めの対策を行いましょう。
~ロコチェック~
片足立ちで靴下が履けない
家の中でつまずいたりすべったりする
階段を上るのに手すりが必要である
家のやや重い仕事が困難である
2kg程度(1Lの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが困難である
片足立ちで靴下が履けない
15分くらい続けて歩くことができない
階段を上るのに手すりが必要である
横断歩道を青信号で渡り切れない
(日本整形外科学会より)
運動+食事でロコモ予防
ロコモ予防で大切なのは、毎日運動する習慣をつけ、バランスの良い食生活をすることです。
特に、足腰の筋肉を保つこと・タンパク質とカルシウムを摂取することが重要になってきます。
運動では、エスカレーターではなく階段を使ったりラジオ体操をしたりと、簡単な運動で構いません。ストレッチで体の筋肉をほぐすのも効果的です。まずは1日10分程度を目安に簡単な運動を始めてみましょう。
食事では、1日3食バランスの良い食事を基本として、骨や筋肉を強くしてくれるカルシウム・たんぱく質・ビタミンD・ビタミンKを積極的に摂取することが大切です。
骨や筋肉を強くする食事 | カルシウム | 肉類・魚介類・大豆製品・乳製品 |
---|---|
タンパク質 | 大豆製品・乳製品・野菜・海藻類・魚介類(小魚) |
ビタミンD | きのこ類(干ししいたけなど)・魚介類(いわし・かつお・鮭・ぶりなど) |
ビタミンK | 緑黄色野菜・緑茶類・海藻類・大豆製品 |
まとめ
ロコモティブシンドロームは、運動器の機能が低下して、将来寝たきりや要介護に繋がってしまう要素を持っています。早期発見・予防が非常に重要で、日々の簡単な食事・運動で対策ができます。
事前にチェックを行い、可能性がある方は早めの対策を行って骨と筋肉を整えていきましょう。
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(文:グッドライフシニア編集部 小窓まどか)
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