
加齢や運動不足などによって筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」。そこに体脂肪の増加が重なった状態が「サルコペニア肥満」です。
サルコペニア肥満は、体重や見た目だけでは気づきにくく、筋力や身体機能の低下につながる可能性があります。特に、加齢とともに筋肉量が減少しやすくなる中高年は注意が必要です。
この記事では、サルコペニア肥満とはどのような状態なのか、原因やチェックポイント、食事・運動による予防と対策についてわかりやすく解説します。
1.サルコペニアとは?
サルコペニアとは、加齢などに伴って筋肉量や筋力が低下する状態です。運動不足や低栄養、疾患なども筋肉量・筋力の低下に関係します。サルコペニアになると、転倒や要介護状態などのリスクが高まることが知られています。
そこに肥満が重なった状態が、「サルコペニア肥満」です。
サルコペニア肥満では、筋肉量や筋力が低下している一方で、体脂肪が多い状態となります。体重や見た目だけでは気づきにくいこともあるため、「太っていないから大丈夫」とは限りません。
2024年には、日本サルコペニア・フレイル学会と日本肥満学会の合同ワーキンググループから、日本におけるサルコペニア肥満の診断基準が発表されました。肥満とサルコペニアの両面から、体脂肪や筋肉量、筋力、身体機能などを評価して診断する考え方が示されています。
サルコペニア肥満の主な原因
サルコペニアの大きな要因は加齢ですが、運動不足や活動量の低下、低栄養、疾患なども筋肉量や筋力の低下に関係します。
さらに、筋肉量が減ると日常生活で消費するエネルギーも減りやすくなります。摂取するエネルギーが消費するエネルギーを上回る状態が続くと、体脂肪が増加し、サルコペニア肥満につながる可能性があります。
若い世代も筋肉量の低下に注意
サルコペニアは主に高齢期にみられる状態ですが、筋肉量の低下は若い頃から少しずつ進むとされています。
極端な食事制限や無理なダイエット、運動不足などが続くと、必要な栄養素が不足したり、筋肉量が減少したりする可能性があります。
年齢にかかわらず、筋肉を維持するために適度な運動とバランスのよい食事を心がけることが大切です。
2.あなたは大丈夫?サルコペニア肥満のチェックポイント
サルコペニア肥満は、体重や見た目だけでは気づきにくいことがあります。まずは、日頃の生活や身体の変化についてチェックしてみましょう。
以下はサルコペニア肥満を診断するためのものではありません。気になる項目がある場合は、筋力や身体機能、体組成などを確認してみることをおすすめします。
~サルコペニア肥満セルフチェック~
階段を上るのがきつくなった
つまずいたり、転んだりすることが増えた
椅子から立ち上がるのが大変になった
以前より歩く速度が遅くなった
握力が弱くなったと感じる
お腹まわりの脂肪が気になる
運動する機会が少ない
食事制限やダイエットで食事量を減らしている
チェック項目に当てはまるからといって、サルコペニア肥満とは限りません。ただし、筋力や歩行などに変化を感じている場合は、運動習慣や食事内容を見直すきっかけにしましょう。
サルコペニア肥満はどこで調べられる?
サルコペニア肥満は、見た目や体重だけで判断することはできません。
2024年に発表された日本の診断基準では、肥満についてはBMIやウエスト周囲径などを用いてスクリーニングを行い、サルコペニアについては筋力や身体機能、筋肉量などを評価します。
具体的には、握力や椅子から立ち上がる動作、筋肉量、体脂肪などを組み合わせて評価します。
一般的な健康診断では、身長・体重・BMI・腹囲などは確認できますが、筋肉量や筋力まで測定しない場合もあります。
気になる場合は、かかりつけ医や医療機関に相談し、必要に応じて筋力や筋肉量、体組成などを調べてもらうとよいでしょう。
3.サルコペニア肥満の予防・対策

サルコペニア肥満の予防・対策では、筋肉を維持するための運動と、必要な栄養をしっかり摂りながら、適正な体重や体脂肪を保つことが大切です。
運動で筋肉を維持する
筋肉量や筋力の低下を防ぐためには、筋力トレーニングを取り入れましょう。スクワットや椅子からの立ち座りなど、自宅でできる簡単な運動から始めるのもおすすめです。
また、ウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせることで、日常の身体活動量を増やすことにもつながります。無理をせず、自分の体力に合わせて継続することがポイントです。
詳しい運動方法については、こちらの記事もご覧ください。
⇒ 60代〜70代の筋トレ事情!「筋活」で人生100年時代を健やかに過ごそう
⇒ 高齢者も筋肉が大切!おすすめのトレーニング法と効果を高めるポイント
食事で筋肉と体脂肪を管理する
食事では、筋肉の材料となるタンパク質を毎日の食事に取り入れることが大切です。
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを取り入れ、野菜や主食と組み合わせてバランスよく食べましょう。
一方で、体脂肪の増加を防ぐためには食べ過ぎにも注意が必要です。必要なエネルギーや栄養素を確保しながら、バランスのよい食事を心がけましょう。
タンパク質を含む主な食品
| 肉類 | 鶏ささみ、鶏むね肉、牛もも肉、豚もも肉など |
|---|---|
| 魚介類 | いわし、鮭、さば、まぐろ、かつおなど |
| 卵類 | 鶏卵、うずら卵など |
| 大豆製品 | 納豆、豆腐、厚揚げ、豆乳、きな粉など |
| 乳製品 | 牛乳、ヨーグルト、チーズなど |
タンパク質は一度に偏らせるのではなく、朝・昼・夕の食事に分けて摂ることも意識しましょう。
食事の詳しいポイントについては、こちらの記事もご覧ください。
⇒ 高齢者もタンパク質が大切!サルコペニアを予防する食事のポイントを管理栄養士が解説
4.サルコペニア肥満を予防するために、今日からできること
サルコペニア肥満を予防するには、筋肉を維持するための運動と、バランスのよい食事を続けることが大切です。
食事では、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などからタンパク質を摂り、野菜や主食などと組み合わせてバランスよく食べましょう。
運動は、いきなり激しいトレーニングをする必要はありません。まずは散歩やウォーキングなど、無理なく続けられる運動から始めるのがおすすめです。スクワットや椅子からの立ち座りなどの筋力トレーニングも取り入れてみましょう。
体重や見た目に大きな変化がなくても、筋肉量や筋力が低下していることがあります。「太っていないから大丈夫」と考えず、食事と運動の両面から筋肉と体脂肪を意識することが、サルコペニア肥満の予防につながります。
無理なくできることから少しずつ生活習慣を見直し、いつまでも自分らしく動ける身体を目指しましょう。
また、毎日の食事や運動を無理なく続けるには、健康を意識した生活環境を整えることも大切です。食事や生活面でのサポートが受けられるシニア向けの住まいを選択肢の一つとして検討してみるのもよいでしょう。
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参考サイト:日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア肥満の診断基準」
日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア肥満の定義と診断基準」
厚生労働省 e-ヘルスネット「サルコペニア」
(グッドライフシニア編集部)
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