人はどのくらいの睡眠が必要?
あなたは質の良い睡眠がとれていますか?睡眠をとることは、心も体も健康に暮らすためにとても大切なこと。睡眠は脳や身体に休養を与え、疲労を回復し、明日への活力を養う大切な時間です。
健康な成人は1日に7〜9時間の睡眠が必要といわれています。とはいえ、人それぞれ年齢や体質、生活環境も異なるため、必要な睡眠時間に個人差があります。
このページでは睡眠に関するいくつかの研究結果を元に、なぜ睡眠が大切なのか、年代別の推奨される睡眠時間、快適な睡眠へと導く方法などを中高年にスポットを当ててご紹介いたします。
もっとも長生きする睡眠時間は?
米国で6年間100万人を超える成人(30〜102歳)を対象に行われた「睡眠習慣」の調査結果によると、睡眠時間が7時間の人が最も長寿と報告されています。
この調査結果で注目したいのが、8時間を超える睡眠時間の高齢者は、6〜7時間寝る人よりも死亡リスクが上昇すると報告されていることです。
「え!?長く寝るのは健康によくないの?」とびっくりされる方もいるのではないでしょうか。
さらに、アルツハイマー&認知症ジャーナルが7,500人の女性を対象とした研究結果では、8時間以上眠ると認知症のリスクが35%増加するという研究結果が出ています。
8時間以上寝ると認知症のリスクも上がるとは…。たくさん寝ると健康に良いと思っていましたが、どうやら、中高年の場合は睡眠時間は長ければ良いという訳ではないようです。
年代別の推奨睡眠時間は?
次に、アメリカの国立睡眠財団や睡眠医学会のレポートを調べてみると、推奨される睡眠時間は年代別に以下の通り。
年代 | 睡眠時間 | |
---|---|---|
新生児 | 0~3か月 | 14~17時間 |
幼児 | 1~2歳 | 11~14時間(昼寝を含む) |
新生児 | 0~3か月 | 14~17時間 |
学齢期 | 6~12歳 | 9~12時間 |
ティーン | 13~18歳 | 8~10時間 |
成人 | 18~64歳 | 7~9時間 |
シニア | 65歳以上 | 7~8時間 |
若いほど睡眠時間が長く、年齢とともに概して睡眠時間が短くなり、睡眠と年齢の影響は大きいことが分かります。
中には睡眠時間が4時間でもパワフルに活動しているショートスリーパーの方や、8時間寝ても寝足りない人など、体質によりさまざまですが、このデータから見ても、中高年は7時間くらいの睡眠が望ましいようです。
実際の日本人の睡眠時間は?
では実際に日本人がどのくらい睡眠時間をとっているのか、厚生労働省のデータを見てみると、10歳代で8~10時間、成人以降50歳代までは、6.5~7.5時間、60歳代以上で平均6時間弱です。高齢になるほど概して睡眠時間が短くなることが報告されています。
前述したように、アメリカでの60歳代の推奨睡眠時間は7時間とされているので、6時間だと日本人の睡眠時間は少し短いかもしれません。
快適な睡眠のための7箇条
睡眠不足や睡眠障害は、疲労感をもたらし情緒を不安定にして、適切な判断力を鈍らせるなど、生活の質にも影響を与えます。
「うつ」などの一症状として睡眠障害があらわれることが多く、無呼吸を伴う睡眠の問題は高血圧、心臓病、脳卒中の悪化要因とされているため注意が必要です。
質の良い睡眠をとるために以下のようなポイントを心がけましょう。
①適度な運動習慣
快適な睡眠を取ることは、健康的な生活や事故防止につながります。熟睡をもたらすため定期的な運動習慣を心がけましょう。
食事をとってから胃腸の働きがひと段落するまで、約3時間かかるため夕食は遅くても就寝の3時間前までに済ませましょう。
②日中の元気がバロメーター
睡眠時間や睡眠パターンは人それぞれで個人差があります。睡眠不足だからと言って無理に眠ろうとすると、かえって睡眠の質を低下させることもあり、また、寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減ることがあります。
「快適に睡眠を確保できているか」判断する方法として、しっかり目覚めて、日中に眠気を感じずに元気に過ごせているかを目安にしましょう。
③寝る前のカフェインやアルコールに注意
カフェインは眠りを妨げる傾向があり、摂ってから30分~1時間後に血中濃度がピークとなり、半減期は約3~6時間程度です。そのため就寝の4時間くらい前からは、カフェインを摂取しないようにしましょう。
また、「睡眠薬代わりの寝酒」は、眠りが浅くなったり、アルコールに慣れが生じ、酒量が増していくこともあるので注意してください。
④自分なりのリラックス法を!
眠ろうとする意気込みが、かえって頭をさえさせ寝付きを悪くすることもあります。音楽を聴いたり、アロマなどの香りを楽しんだり、読書やストレッチなど、自分にあった方法でリラックスしましょう。温めの入浴は寝付きを良くしてくれます。
⑤日光で体内時計をオン
日光を浴びると「セロトニン」の分泌が促され、体内時計を刺激し一日の行動に適した生活リズムを作ります。
早起きすることが早寝に通じることはもちろんですが、目が覚めたら適度な日光を浴びるようにすることが快適な睡眠につながります。休日に遅くまで寝床で過ごすと、翌日の朝が辛くなるのでご注意ください。
⑥短い昼寝でリフレッシュ!
寝不足だからと2時間も3時間も昼寝をして、かえって夜眠れなくなり生活のリズムが崩れたことありませんか?長い昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼすので、昼寝をするなら午後3時前の20~30分くらいにしておきましょう。
⑦睡眠障害は専門家に相談を
寝付けない、眠っているのに熟睡感がない、早朝に目覚めてしまう、(充分眠っても)日中の眠気が強いことが続くような睡眠障害は、体や心の病気の症状として現れていることがあるので要注意。そのような症状が続く場合は医師に相談しましょう。
いびき
いびきがひどい時は睡眠の質が悪くなっています。予防として肥満の人は減量したり、就寝前の食べ過ぎやアルコール摂取を避けるなど、生活習慣に留意することが大切です。
ただし、睡眠中の激しいいびきは、睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れている可能性があます。足のむずむず感、歯ぎしりなどとともに、医師・歯科医師に早めに相談しましょう。
うつ
うつ病では早朝に目が覚めたり、熟睡感がないなど、特徴的な睡眠障害を示します。こうした症状を初期のうちに発見し適切に治療することにより、うつ病の悪化を予防することにもつながります。
心の不調には本人も気づきにくいものですが、早期に対応することが大切。こちらの記事では、うつ病の原因や治療、判断のポイント、従来のうつ病と新型うつ病の違いなど、分かりやすく解説しています。
■「うつ」とは?特徴的な症状に気づき治療につなげるポイント
睡眠の質を改善することは、睡眠のための良い習慣を身につけることが大切です。適度な運動を心がけたり、眠る環境を整えたりして、毎日を元気に過ごすために質の良い睡眠をとるように心がけましょう!
睡眠不足はさまざまな病気を引き起こす原因にもなりうるのでぜひ改善したいところです。睡眠の質を高めるための工夫について紹介、より健やかな生活のために、毎日の睡眠を少しでも改善しましょう。
■中高年の睡眠の質を高めるには?健康的な生活は睡眠から
参照:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書」「良い睡眠の概要(案)」
Alzheimer’s & Dementia Journal
National Sleep Foundation「How Much Sleep Do We Really Need?」
centers for Disease control and pervention「How Much Sleep Do I Need?」
People who sleep for seven hours a night live longest – NCBI
学生時代より情報誌や雑誌で旅ライターを始め、国内・海外の取材歴8年。結婚と出産で休業。その後、オーガニック化粧品・食品の会報誌の編集を経てWEBに転身。介護、不動産、健康などの記事の執筆と高齢者向けサイト運営を16年。その間、自身も親の介護を経験しながら現在に至る。
関連記事
■60代〜70代の筋トレ事情!「筋活」で人生100年時代を健やかに過ごそう
■中高年のためのウォーキング術|無理なく楽しく歩いて健康に!
■糖尿病の種類や原因、その症状は?生活習慣を見直して予防しよう!
■お腹痩せ簡単ダイエット!「腹凹歩き」効果と方法
■足のむくみ解消!脚を閉じたり開いたり「足パカ体操」で簡単に下半身痩せ
■冬は高齢者にとって運動不足シーズン、ADLが低下しないための具体策は?