高齢者のための健康に関するニュース
「日本人の食事摂取基準」の報告による高齢者の低栄養、栄養欠乏に警鐘
2015(平成27)年版の、エネルギーや栄養素の摂取量の目安を示す「日本人の食事摂取基準」の報告によると、高齢者の低栄養や栄養欠乏に警鐘を鳴らす内容となりました。
中高年では食べ過ぎによる過剰栄養に注意が向けられがちですが、高齢者では、反対に適切な栄養が取れていないケースが健康問題の原因となるそうです。
なんでも好きなものを食べられる、この飽食の時代に高齢者の低栄養、栄養欠乏というのは、どんな理由が潜んでいるのでしょう?
一つは、「加齢とともに若い頃のように食べられなくなった」と思う人が多いこと。「もう年だから肉は食べなくてもいい」と言う人も結構いるそうです。そして、高齢者に多いワンパターンの食事で栄養が偏りがちになってしまうのです。
若い人でも一人分作るのが面倒で手抜きになりがちですよね。高齢の一人暮らしでは、なおさらそうなる可能性があります。
女子栄養大学栄養生理学研究室の上西一弘教授は、「肉や魚などタンパク源となるものをしっかり食べないと筋肉が減ってしまう。高齢者で体重が減ってきている人は栄養が足りていない可能性があり、注意が必要だ」と指摘します。
また、『介護されたくないなら粗食はやめなさい』(講談社)の著者で、人間総合科学大学健康栄養学科の熊谷修教授は、高齢者の食生活を改善するため、ご飯など主食は別にし、食品を、肉、卵、牛乳、油脂、魚介、大豆、緑黄色野菜、いも、果物、海藻の10食品群に分類、満遍なく食べるよう呼び掛けています。
最近、野菜に栄養素が少なくなった。という記事も目にします。見栄え重視、促成栽培、野菜の旬を無視した農法などにより、昔と違い野菜そのものに栄養素が少なくなっているそうです。そういえば、ニンジンもトマトもピーマンも昔の味と比べて、味が薄くクセも無いので食べやすくなった気がします。
食べたものから体に必要な栄養素が十分に摂取できなくなっていることも、高齢者の栄養不足の原因の一つとして考えられるのではないでしょうか。
季節を問わず好きな野菜が食べられるのはいいことですが、そんな中、栄養価の高いのが旬の野菜です。肉や魚、季節の野菜などバランスの良い食事を心がけ、適度な運動で筋肉を作り健康な毎日を過ごしましょう!
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(グッドライフシニア編集部)
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