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高齢者の便秘は他の病気の引き金に!? 排便コントロールのポイントを看護師が解説

高齢者の便秘

「高齢者の便秘は何日くらい様子をみて大丈夫?」「便が硬くて苦しそう。高齢者の便秘はどうしたらいい?」と悩む方も多いのではないでしょうか。

近年、便秘患者の死亡率は高いことが明らかにされています。たかが便秘と軽く捉えず、リスクを把握して排便コントロールを行うことが必要です。

この記事では、高齢者の便秘の原因やリスク、治療と排便コントロールの目標についてお伝えします。
 

 

1.そもそも便秘とは?定義と原因

そもそも便秘とはどういったものか、定義と原因を解説します。

便秘の定義

日本内科学会によると、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

便秘の原因

便秘は、原因によって「器質性」と「機能性」に分けられます。「器質性」は主に、腸の病気によります。「機能性」は、全身の病気や薬の影響、水分・腹圧不足などが原因で便秘になるものです。

詳しい分類は、以下の表にまとめています。
 
便秘

 

2.高齢者の便秘は他の病気の引き金になるリスクあり

近年、便秘の人の死亡率が高いことが明らかになっています。2010年米国の論文で、便秘の人は生存率が20%ほど低いと報告されました。高齢者の便秘によるリスクをみていきましょう。

血圧上昇によるリスク

排便時に血圧が上がることで、他の病気を引き起こすリスクがあります。心臓に関わるもの(心筋梗塞・動脈瘤破裂・解離)や脳卒中、くも膜下出血などです。

高齢者は動脈硬化があるため、排便時のいきみによって血圧が上がりやすい傾向にあります。血圧コントロールをしていても、排便時には280にもなるといわれるため、注意が必要です。

静脈血栓症のリスク

便秘の人は、静脈血栓症が多いとされています。小さな血液の塊が全身をめぐり、肺の血管につまると肺塞栓を引き起こします。脳の血管では脳塞栓、心臓の血管では心筋梗塞などの原因となるため、便秘だからといって軽く捉えないようにしましょう。

慢性腎臓病のリスク

便秘の人は、腎臓が悪くなり尿が出なくなる「慢性腎臓病」の発症率が高いという研究結果があります。

 

3.【経験談】高齢者の便秘にまつわるエピソード

実際に、私が循環器病棟で働いているときの経験談をご紹介します。
 

 
入院心疾患の患者さんから「お通じがしたい」とナースコールがあり、後輩ナースが車椅子で患者さんをトイレにお連れしました。数分しても、トイレからナースコールがありません。「遅いですね」と後輩ナースとともに患者さんを見に行くと、意識を失った患者さんが床に倒れています。すぐにベッドへ運び、医師の指示のもと処置を施し、一命を取りとめました。他のケースでは、呼吸状態が悪くなり、人工呼吸器を装着した方もいらっしゃいます。
 

 

循環器病棟では、排便後に意識を失ったり血圧が下がったりする患者さんをよく見かけました。排便時のいきみは、血圧が下がったり脈拍が少なくなったりする「迷走神経反射」を引き起こしやすいためです。

骨折や寝たきりの患者さんは、腹圧がかけられず便秘になりやすい傾向にあります。水分が吸収されてカチカチの便になってしまい、指でかき出す(摘便)お手伝いが必要になります。患者さんは痛い思いをしなければなりません。

 

4.高齢者の便秘の治療・予防策

高齢者は、便秘によって命に関わる病気を引き起こさないよう、治療や予防が大切です。ここでは、高齢者の便秘の治療や予防策をお伝えします。

便秘薬を使う

便秘の治療に最も使われる内服薬は、酸化マグネシウムです。血液中のマグネシウム濃度が上がりすぎないよう、定期的な血液検査が必要です。

プルセニドなど、センノシド系の内服薬は、酸化マグネシウムの常用でも排便がない場合、頓用として用いられます。

浣腸は習慣性があるため、あくまで困った時だけ使うようにしましょう。

生活習慣を見直す

便秘を予防するために、以下5つの生活習慣を見直しましょう。
 

  1. 決まった時間にトイレに行く
  2. 水分をとる
  3. 3食しっかり摂る
  4. 適度な運動をする
  5. 良質な睡眠をとる

 
便秘患者の6割は便意がないといわれています。まずは、毎日トイレに行く習慣をつけましょう。お腹に力をかけやすい前傾姿勢がおすすめです。

便秘の予防に水分摂取はおすすめですが、心不全がある方は注意しなければなりません。かかりつけの医師に、1日どの程度水分を取っていいのか確認しておきましょう。

食物繊維は便通をよくする効果が期待できますので、1日20グラム(キャベツなら1個分)を目安に摂取してみましょう。また、運動不足は腸の動きを悪くします。軽い散歩やストレッチなど、可能な範囲でからだを動かしましょう。

 
理想はバナナ状
高齢者の排便コントロールの目標は、排出された便の形状にあります。理想はバナナ状の便です。お腹に力が入りにくい方は、多少やわらかめが良いでしょう。

いくら毎日排便があっても、便が硬ければ一度に排出できず、腸の中に残ってしまいます。いきみによるショックを起こさないよう、便の回数だけでなく性状や排便時の快適さに目を向けてみましょう。

 

まとめ

高齢者の便秘は、他の病気の引き金になるリスクがあります。バナナ状の便になるよう、生活習慣の見直しや、下剤を使った排便コントロールが大切です。

便秘だと思っていても、大腸癌などの病気が隠れている可能性があります。便秘や下痢を繰り返す場合は、専門の検査をした方が良いでしょう。

便秘予防には、1日3食きちんと食べることが大切です。でも「一人分のご飯を作るのは手間がかかって大変」、そんな方におすすめしたいのが高齢者向けのお弁当の宅配サービスです。

 

高橋マキ筆者:髙橋マキ
正看護師歴26年。都内の総合病院(循環器内科・脳外科・ICU・CCUなど)や個人病院で勤務。出産と子育て・転居をきっかけにパート勤務へシフトし、在宅Webライターとして活動中。これまでの知識や経験を活かし、情報発信中。twitterポートフォリオ
 

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