
年齢や性別を問わず、多くの人が悩まされている便秘。厚生労働省の調査によると、人口1,000人あたりの便秘有訴者数は37.8人とされ、日本では多くの人が便秘に悩んでいます。
便秘に悩む人を年代別にみると、60代前半までは女性に多い傾向がありますが、その後は男性も増え、75歳以降では男性の割合が高くなっています。
高齢になると、食事量や水分摂取量の減少、筋力低下、運動不足などにより、便秘が起こりやすくなります。毎日の生活習慣や腸内環境を整えることが、便秘対策では大切です。
この記事では、高齢者に便秘が増える原因や、食事・水分・運動・腸活など、毎日の暮らしの中でできる便秘対策についてご紹介します。
高齢者に便秘が増える原因とは?
便秘は、「3日以上排便がない状態」だけでなく、毎日排便があっても残便感や膨満感がある場合も含まれます。
高齢になると、便意そのものを感じにくくなることもあるため、「毎日出ているから大丈夫」とは限りません。
高齢者に便秘が増える主な原因は以下のようなものがあります。
- 食事量(食物繊維摂取量)の減少
- 水分摂取量の減少
- 筋力や腸の働きの低下
- 便意を感じにくくなる
- 姿勢の悪化
年齢を重ねるとともに食事量が減って、便のかさが減り排出しにくくなります。また食事量が少なくなることで食物繊維の摂取量もダウンします。
食物繊維は腸内環境を整える善玉菌のエサになる働きや、便のかさとなり腸内をお掃除する働きもあるので、摂取量が減ると便秘につながります。
高齢になるにつれて、のどの渇きを感じる機能が低下したり、トイレが近くなるのを気にして水分摂取を控えたりと、水分不足になりやすい傾向にあります。そうすると便に含まれる水分量も減少して便が硬くなり、排便に苦労することも。
加齢や運動不足に伴う筋肉量の低下で、便を出す力も弱まります。また、腸の働きが鈍くなると便が腸内にとどまる時間も長くなり、便から必要以上に水分が減ってしまうため、便が硬くなってしまい出にくくなります。
高齢になると直腸の知覚が低下してしまい、便が肛門近くに到達していても便意を感じず、排便の機会を逃してしまうということが起こります。
姿勢の悪化で骨盤の位置が変化したり、腰痛になったりすることで、思うように腹圧をかけられなくなり、便秘になることがあります。
便秘は「回数」だけではない
週1回の排便でも不快感なく生活している人もいれば、毎日排便があっても残便感に悩まされている人もいます。そこで重要になるのは、自分が便秘かどうかを正しく認識することです。
便秘というと、「便が出にくい」「トイレに行く回数が少ない」などのイメージがありますが、実は「便は毎日出るけど量が少ない」「排便後スッキリ感がない」といったことも便秘症状のひとつ!
また、健康的な便の中身は水分8割、固形物2割です。硬い便でも7割が水分と、水分比率が多いのも特徴。便秘で病院を受診する際には、回数以外の悩みも医師に伝えるようにしましょう。
【便秘のチェックポイント】
- 排便回数
- 便の硬さ
- 残便感
- 腹痛やお腹の張り
- 排便に時間がかかる
- 下剤や浣腸の使用状況
- 便秘が続いている期間
今日からできる高齢者の便秘対策
便秘の危険性がわかったら、次に大切なのは自分の生活習慣にあった“排便ルーティン”を作ること。
水分不足や腸の動きの低下に加えて、腸内環境の悪化も便秘の原因になるため、便秘対策として腸内環境を整えることも重要です。腸内環境を整える生活習慣を身につけ、自分なりの排便ルーティンを整えていきましょう。
毎日の朝食と食物繊維を意識する
朝起きて水を飲む、朝食を食べるなどの腸への刺激は便意を促すきっかけになります。朝、家を出る前にトイレに行く時間を設けると排便習慣も同時に身につくでしょう。また、水溶性食物繊維は便をやわらかくしたり、有害物質を吸着する働きがあるため、意識して食べるのがおすすめです。
水溶性食物繊維を多く含む代表的な食品
ニンニク、らっきょう、ごぼう、山芋、オクラ、芽キャベツ、アボカド、インゲン豆・大豆などの豆類、きのこ類、さつまいも、大根など。
腸内環境を整えるには、毎日の食事も大切です。管理栄養士が考案した、便秘対策や腸活に役立つおすすめメニューもぜひ参考にしてみてください。
⇒ 腸内環境を整える「腸活レシピ」9選|管理栄養士の考案メニュー
水分をしっかり摂る
水分不足になると腸の内容物が腸内を通過しづらくなったり便が硬くなります。便のおよそ8割は水分。こまめに水分を摂ることで便の状態が整います。
特に高齢者は、のどの渇きを感じにくくなるため、意識してこまめに水分を摂ることが大切です。
おなかまわりのトレーニング
腸を動かすためにおなかの筋肉はとても大切です。おなか周りには、横隔膜・腹横筋・腹斜筋・腹直筋があり、これらを動かすことで腸のぜん動運動は促されます。また体幹も鍛えられ、姿勢改善にもおすすめです。
詳しい運動法はビオフェルミン製薬の腸活情報サイト「腸活ナビ」で公開中
https://www.biofermin.co.jp/chokatsu_navi/article/training-003.php
腸の5点押しマッサージ

腹筋を鍛えたり、おなかをマッサージすることにより、腸に刺激が与えられて排便が促されます。屋外に出づらいときは、屋内で腸を意識したトレーニングやマッサージを行うことで、便を押し出す筋肉を鍛えることができます。
便秘対策に役立つ成分や食品
便秘対策では、食事・水分・運動とあわせて、腸内環境を整える食品を取り入れることも大切です。ここでは、毎日の食生活に取り入れやすい成分や食品をご紹介します。
乳酸菌
乳酸菌とは、糖を分解して乳酸をつくる細菌の総称です。腸内にすむ細菌のバランスを整えることは、便秘対策にもつながります。
発酵食品にも乳酸菌は多く含まれており、ヨーグルト、味噌、漬物、納豆などを日々の食事に取り入れるのもおすすめです。
また、乳酸菌のエサになる水溶性食物繊維や、オリゴ糖を含む食品(バナナや玉ねぎなど)と一緒に摂ることで、腸内環境を整える助けになります。
マグネシウム
マグネシウムは海水などに多く含まれるミネラルの一種であり、骨や歯の形成に必要な栄養素です。体内で吸収されにくく、腸内に水分を集めて便を軟らかくするため、便秘改善にも効果的。
穀類や豆類、海藻類、魚介類、くだものなどに多く含まれ、毎日の食事でバランスよく摂ることが大切です。
まとめ
便秘対策には、意識的な水分補給や運動などに加えて、腸内環境を整える生活習慣が大切です。それでも便秘に悩むときは自分に合った薬を選び、用法・用量に従って適切に服用してください。
たかが便秘、されど便秘。特に高齢者は注意が必要です。放置せず、ご自分の体をしっかりといたわってください。
詳しい排便コントロールや便秘薬の使い方については、こちらの記事でも解説しています。
⇒ 高齢者の便秘は他の病気の引き金に!? 排便コントロールのポイントを看護師が解説
善玉菌を増やす腸活記事はこちら。
⇒ 善玉菌を増やして腸内フローラを整えよう!美容と健康、ダイエット効果も
参考:ビオフェルミン製薬株式会社「70歳以上の男性で便秘が急増!高齢者にとって便秘は危険なサイン!?」
日本消化管学会「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」
日本老年医学会雑誌「高齢者の慢性便秘症の病態と治療」
(グッドライフシニア編集部 松尾)
