若い世代・中高年に増えているうつ
日本人の100人に6人が経験していると言われ、年々増加傾向にある「うつ」。若い世代も中高年世代も、現代人にとって「いつ誰がなってもおかしくない」ほど、身近な病気です。
心の不調には、なかなか本人も気づきにくいものですが、早期に対応することが大切です。
今回は、うつ病の原因・治療・判断のポイント、従来のうつ病と新型うつ病の違いなど、分かりやすくお伝えします。
1.うつ病とは?
2.うつ、非定型うつ(新型うつ)症状の違い
3.治療はどのように行われるか、何科に行けばいいの?
4.うつかな?と思ったときの判断ポイント
5.家族がかかったら(一人暮らしの場合、傷病手当金、休職のこと)
6.まとめ
1.うつ病とは?
うつ病は脳のエネルギー不足、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内のバランスを保つ物質不足による気分障害の一つです。
日常生活・社会生活に支障が出るほどの精神症状が出る病気であり、気分の落ち込みのほか、眠れないなどの精神症状、疲れやすいなどの身体症状が現れます。
厚生労働省によると、日本人は100人に6人がうつ病を経験し、男性に比べて女性の方が1.6倍多いことが分かっています。
10代後半から30代に発症することが多いのですが、小児期を含む全ての年代でも発症します。
未治療では6ヶ月以上の症状が続き、中には2年以上症状が続くケースもあります。治療によって軽快しても、生涯に何度か再発する方もいます。
うつ病の原因
うつ病の原因といえるものは、解明されておらず不明です。ただし、うつになりやすい素因や、きっかけとなる出来事はあります。
遺伝的素因は、脳内の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの機能のバランスが何かのきっかけで崩れやすいこと。
きっかけとなる出来事には、過度のストレスや疲労、近親者の死、引っ越し、昇進、結婚などがあります。
しかし、とくにきっかけが無く発症するケースもあるのです。また、幼少期の生育環境や人種、文化と発症の頻度は無関係であるといわれています。
女性の場合は生理前や産後にうつになる方もおり、また、甲状腺機能低下症などホルモンの影響を受けて症状が出る事もあります。
2.うつ、非定型うつ(新型うつ)症状の違い
うつ病は、従来の「うつ病」と、「非定型うつ病(新型うつ病)」があります。若い人の間で、今までのような典型的な症状ではないうつ病が増えており、それを、非定型うつ病と呼んでいます。
従来のうつ病と非定型うつ病(新型うつ病)とでは症状に違いがあるのでご注意ください。
うつ病の症状
うつ病では、精神症状として初期には気分の落ち込み、今まで楽しいと思えたことが楽しめなくなる、やる気の低下が現れます。
喜びや楽しさ、悲しみといった感情を持てなくなり、無関心、無感情となり自分の価値が失われたように感じます。こうした症状が2週間以上続き、ほとんどの日で気分の落ち込みがある場合はうつ病の疑いがあります。
また、寝つきが悪く寝ている途中でも目が覚めるなどの睡眠障害や、食欲低下によって痩せてしまうなどの症状があります。
一方、身体症状としては腰や頭など体のあちこちが痛い、自分の衛生状態や身なりに気を配れなくなるなどの症状があります。
精神症状が重症化すると自己否定の感情が強く、絶望感を感じて自殺を図る危険性があるのです。中高年以降に多いのが特徴的です。
非定型うつ病(新型うつ病)の症状
最近では20~30代を中心の若い世代に発症するうつ病の「非定型うつ病」にかかる人が増えています。新型うつ病ともいわれており、中には中高生で発症するケースもあります。
定型のうつ病が自責の念が強いのに対し、非定型うつ病は「他人が悪い」と他者を責める感情を持ち、時に他者に攻撃的な感情を抱きます。症状は時によって変化し、トラブルの原因を他人のせいにするため、わがままだと取られる場合もあるのです。
また、治療に非協力的であることも多く、服用を嫌がるケースもあり、病状が長引きがちなのです。抑うつ感は強く、重症化すると自殺のリスクがあるのは、従来型のうつと同じです。
■次のページでは「治療はどのようにして行われるか、何科に行けばいいの?」「判断ポイント」に続きます。
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