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「古い実家を処分したい…」相続問題・空き家問題をどう解決する?

古い実家

実に悩ましく、ときには遺恨を残すケースもあるのが相続の問題です。

相続に関する法的なことは専門家にお任せするとして、今回の記事ではご両親がいなくなった後に残った古い実家をどうするかに焦点をあてて考えていきましょう。「遺された実家」の問題と、空き家にならないためできることをご紹介します。

 

1.処分に困る「古い実家」が遺されたとき

親が亡くなったあとに「思っていた以上に大変だった」というのが実家の処分です。

特に悩ましいのが実家は地方、子世帯は別のところに在住しているケースです。都心部の家は資産価値があることが多く(それはそれで相続問題にもなりがちではありますが)、売却が可能であれば現金化し、兄弟姉妹などで分配することもできるでしょう。

しかし田舎の実家には次のような問題がよくあります。
 

地方/田舎における実家処分のよくある問題
・田舎の過疎地だと売却したくても買い手がいない。
・老朽化した家は価値がない上に更地にするにもお金がかかる。
・再建築不可(道路付けが悪い/間口が2メートルないなど)の地にある家は建て替えができないため売れない、住むにも住めない。
・空き家の期間が長引くほど処分が難しくなる「空き家問題」。
・そもそも自分の家があるので実家をもらっても困る。

 
家を相続したものの、住むつもりがないのであれば「管理や税金」といった出費がかさみ、逆に「お荷物」となってしまうことも

では、古い実家が遺された場合どうしたらいいのでしょうか?
 

2.遺された古い家の対応方法3つ

  1. まずは不動産会社に相談する
  2. 寄付を検討する
  3. 土地の活用法を探す

①まずは不動産会社に相談する

たとえ実家が老朽化していても、あるいは辺鄙な土地に建っていたとしても、まずは不動産会社に相談しましょう。こうした物件の取扱いが得意な不動産会社もあります。また、違う条件であれば売れる可能性があるなど、具体的なアドバイスをくれることも。ひとつではなく、いくつかの不動産屋さんに相談してみるのがコツです。
 

②寄付を検討する

家(土地)を寄付するのは、なかなか難しいのが現実です。寄付とは違いますが、隣家がある場合には買い取ってくれる可能性は多少なりともあるので、検討してみる価値はあります。自治体への寄付は、よほど土地に活用性がないと受け付けてもらえません。とはいえ、活用できるかどうかは個人では判断できません。一度、自治体に相談してみるといいでしょう。
 

③土地の活用法を探す

建て替えが難しくとも、たとえば場所によっては駐車場や倉庫として活用できるかもしれません。田舎では可能性が低いかもしれませんが、土地活用や空き家ビジネスを検討する方法もないわけではありません。しかし、基本的に売れないような土地はそもそも活用方法もあまりないので、期待しすぎずにひとつの案として検討するのがよさそうです。また不用意にこうしたビジネスの話にのらないように注意が必要です。

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3.相続しない選択肢もある

相続では財産があるゆえに争いがおきるだけでなく、負の財産で揉めることもあります。古くなった実家は、時には残された家族にとって重荷となる場合も……。

そのため、相続放棄という方法もあります。相続放棄は期限があり、相続開始があると知った日から3ヶ月以内、となっています。が「相続開始があると知った日ってどういうこと?」みたいな、素人にはわかりづらい点も多いですね。また、相続放棄は「家はいらない、でも預貯金はください」と選べるわけではありません。

相続した家が500万円で売れるとしても、更地にする費用などの必要な出費を考えると相続しないほうが良い場合もあります。遺された資産のプラスマイナスを素人が判断するのは難しいこともありますから、専門家に相談したほうが安心ですね。

遺言書も含め、相続に関わることは最終的には専門家に相談するのが一番です。そのためにも、早くから「子どもたちに家や財産をどう残すのか」は考えておきたいもの

あるいは子世帯から親に「将来的に実家をどのようにしたいのか、子どもたちに望むことは何か」と少し遠回しに意思を確認しながら、ご両親に必要な準備をしてもらえるよう進めていきたいところです。
 

4.実家をどうするか早めに話し合っておきたい

家族の話し合い

親にとっては長年住み慣れた家であり、家は財産という考えがあるので、なかなか手放すことは考えられません。簡単には処分できないものだからこそ、遺されたときに問題になりやすい面があるのです。

ご両親が亡くなられた後に家を処分しようにも、まずは家の中を整理しなくてはならず、この時点で兄弟姉妹がいると「誰がやるのか」が問題になりがちです。

経済的な余裕がある兄妹は「すべて業者に任せてみんなで費用は出し合えばいい」と言い、「わざわざお金を払うなんて。みんなで集まって片付ければすむこと」と考える場合もあり、すでにここから諍いが生じることも珍しくありません。

できれば親が元気なうちに、子世帯、兄弟姉妹が揃った場でどのようにするかを話し合えるといいですね。

 
普段はなかなか話しづらいものですが、親の資産状況(財産、借金など)を把握することは大切です。

資産を把握するとよけいに「相続争いの種になりそう」と思いがちです。しかし親が元気なうちであれば親の意思を尊重し、あるいは親が専門家と相談の上、しっかりと相続の準備ができます。親が70歳をすぎたら、結論を出すというよりも「そろそろ、これからのことをどうしたいのか話し合ってみよう」というスタンスで、それぞれの意見を出し合ってみてはいかがでしょうか。
 

5.老後のライフプランから相続まで「そのうちに」ではなく今から始めよう

家が老朽化する前に、親自身が(子世帯にも手伝ってもらって)処分するのもひとつの選択肢です。空き家になって時間がたてばたつほど、処分が難しくなります。それよりも、売れるときに売って、コンパクトで住みやすく、さらに支援サービスのある高齢者向け賃貸住宅に住み替えるのは、悪い方法ではありません。

大きな決断ではありますが、老後を見据えて「身の回りをシンプルに」片付けていくのは、いざ行ってみると自身も身軽な気持ちになれるメリットもあります。

こうしたことも踏まえて、子どもたちから親に提案してみるのもいいかもしれません。

今や日本では「空き家トラブル」は社会的な問題ともされています。「いつかそのうちに」ではなく、今から考え、余裕をもってゆっくりと親子・兄弟姉妹間で準備しておくことをおすすめします。
 

大橋 礼筆者:大橋 礼
主に教育・ライフスタイルを中心に執筆するフリーライター。自身の介護経験と親世代・子世代両方の視点から取材を行いリアルな声を届ける。サードエイジ世代の新しい暮らしと50代からの豊かな人生を求めて模索中。


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