高齢者の冬の大敵、それはヒートショック
冬の入浴や夜のトイレは要注意、ヒートショックを起こしやすいからです。ヒートショックとは、急な温度変化で血圧が上下することで体に与えるショックのことです。
家の浴室やトイレは家の北側にあることが多く、そうなると、あたたかいリビングとの温度差が大きくなります。
温かい場所から寒い場所に移動すると、熱を奪われないようにと、血管が縮み、血圧が上がり、ますます血圧が上がったり下がったりすることで心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中の引き金になりやすいのです。
急激な温度差と血管・血圧の変化
入浴中の急死者数はなんと推定年間19000人!
特に、浴室内でのヒートショックには注意したいもの。平成24年10月から平成25年3月までに3都県(東京都、山形県、佐賀県)において調査した結果を見てみましょう。
救急隊が入浴に関連した傷病と判断した患者で心肺停止に至った件数などを基に、人口比を用いて全国で起こった件数を推計した結果、病死なども含めた全国の入浴中の急死者数は年間約19,000人としています。
また、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水による死亡者数について年齢別に人口10万人当たりで見ると、年代が上がるにつれて増加しており、特に75歳以上の後期高齢者の死亡者数が増えていることが分かります。
浴槽で心筋梗塞や脳卒中を起こし、意識を失うと体が浴槽内に沈み込み、溺れて亡くなることが多いのです。
参照:厚生労働省平成21年度「不慮の事故死亡統計」の概況:不慮の事故による死亡の年次推移
高齢者にとって冬の入浴は、命にかかわるもの。特に、もともと心臓に疾患があったり、血圧が高い人などは、注意してほしいですね。
ヒートショックを予防するには?
では、どのように注意すればいいでしょうか。日々の生活の中で、高齢者が気をつけるべきポイントを3つご紹介します。
1.廊下に出るときは1枚羽織る、小型暖房機を使う
まず、居間から寒い廊下やトイレ、脱衣場に行くときには、めんどうでも1枚服を羽織ると安心です。足元も、暖かい室内履きを履くようにするとよいでしょう。
脱衣場には小型のすぐあたたまる暖房機を入れるとともに、浴室もあたたかくしておきたいもの。
浴槽に湯を貯めて湧かしたら、浴槽の蓋をあけて、湯気を浴室内に満たすと、浴室内があたたかくなります。これで、室温が上がり、血管の収縮をやわらげてくれそうです。
また、タイルなどの床は冷たいので、すのこかマットを敷くと体の熱を奪われずにすみます。
2.湯温はぬるめに、半身浴で早めに切り上げる
湯の温度は高すぎると血管が急にゆるみやすく危険なので、40度くらいのぬるめの温度に保ちましょう。
首までつかると心臓に負担がかかりやすいので、半身浴がベター。肩が冷たいと感じるなら、あたためた浴用タオルを肩にかけてもよいでしょう。
長湯をすると体が疲れ、また血流が早くなる状態が長く続いてしまうので、早めに切り上げ、暖かい脱衣所で服を着ましょう。
脱衣場の暖房器具は、入浴中もスイッチを入れたままにしておくと、浴室から出たあとの温度差を少なくすることができます。
3.入浴前のお酒は厳禁。入浴前後にコップ1杯の水を
入浴の前には、お酒を飲むのを控えましょう。お酒を飲むと血管が広がり、血圧が上下しやすいもの。飲酒後に入浴して、浴槽内で亡くなる方は、昔から多いのです。
飲酒をするとトイレに行く回数が増えたり、脱水しやすくなるのも問題です。
のどがかわいた状態で入浴すると、血液がドロドロになりやすいので、コップ1杯の常温の水を飲んでから入浴し、入浴後も1杯飲むようにするとよいでしょう。
■「かくれ脱水」にご注意!脱水症の予防と水分補給のポイント
入浴する時間帯にも気をつけましょう。入浴で1日の疲れを取ろう、ということで、夜入る人が多いですが、深夜に近くなるほど気温がグッと下がり、浴槽内とその他の場所の温度差が大きくなります。
入るなら、夕方の、あまり寒くない時間帯に入るといいでしょう。
朝一番のお風呂は、体がまだ起きていない状態ですし、気温も体温も低い状態なので、朝風呂をすることで心臓に負担をかけることになりかねません。日が昇ってからの入浴をおすすめします。
4.トイレにも小型暖房機を。「ヒートショック予報」もチェック
トイレには、小型の暖房機を入れましょう。スイッチを入れてからなかなかあたたまらないと意味がないので、さっとあたたまるタイプの暖房機を使います。
また、冷たい便座にすわるのも危険です。冬は昼夜を問わず、便座は保温しておきましょう。
日本気象協会では、気象予測情報にもとづく家の中でのヒートショックのリスクの目安とした「ヒートショック予報」を日々出しています。
住まいの構造や設備、体調によって、健康への影響は異なりますが、警戒の心構えはできるでしょう。警戒の情報が出ていたら、部屋ごとの温度差を少なくして過ごしましょう。
参考資料:消費者庁「冬期に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください」
■脳血管疾患(脳卒中)の症状や原因を知って予防を心がけよう
■ 放っておくと危ない!高齢者の高血圧(その症状や対策)
■LDL(悪玉)コレステロールは何が「悪」?体への影響を知って動脈硬化を予防しよう
■「グランドマストシリーズ」その魅力とは?
■「グランドマスト・シリーズ」物件一覧2022年9月16日
■高齢になっても住み慣れた家に安全に住み続けるには?
■シニアが気をつけたい室内での事故|転倒対策を万全に
■特殊詐欺の被害にあわないために|詐欺の手口と対処法
■高齢ドライバーの事故を防ぐ|家族が知っておきたい3つ(原因や認知対策)
■高齢者に骨折事故が多発!路線バスでの転倒にご注意
■高齢者が住みやすい家にするには?現在の問題点に迫る!
■これからの寒い季節は要注意!高齢者が安心して住める家とは?
■脳血管疾患(脳卒中)のリハビリは急性期から始めることが大切
■おやつを食べて肥満予防!?健康なシニアがしている間食の摂り方
■善玉菌を増やして腸内フローラを整えよう!美容と健康、ダイエット効果も
■お腹痩せ簡単ダイエット!「腹凹歩き」効果と方法
■足のむくみ解消!脚を閉じたり開いたり「足パカ体操」で簡単に下半身痩せ
■中高年のためのウォーキング術|無理なく楽しく歩いて健康に!
■旭化成「ヘーベルVillage」、その魅力とは?
■首都圏の「ヘーベルVillage」一覧ページ2023年5月13日