年齢を重ねるにつれ、筋力や運動機能、視力の衰え、病気などにより転倒しやすくなります。
厚生労働省の調査によると、高齢者の介護が必要となった原因のうち、「骨折・転倒」は上位4番目。事故による原因としては最も多いという結果になっています。
健やかでいきいきとした老後を送るためには、転倒防止の対策が非常に大切だといえます。シニアの転倒事故の多くは家庭内で起きているので、まずは自宅の環境を整えることからスタートするのがよいでしょう。
この記事ではシニアの転倒事故が起きやすい場所や対策など、くわしくご紹介します。
高齢者の転倒事故は家庭内が多い
内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者は、家庭内での事故発生率が高く、事故全体の約77%を占めます。また、同じく内閣府の「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境による意識調査結果」によると、自宅で転倒した経験がある男性は6.8%、女性は11.8%。
転倒事故は非常に身近な事故だといえるでしょう。
転倒の原因は、段差や滑りやすい床などの外的要因と、加齢や病気、薬の副作用といった内的要因があります。外的要因と内的要因が組み合わさることで、転倒リスクはより高くなるそうです。
若いころであれば軽いケガで済む転倒事故も、高齢者の場合は大ケガへとつながり、長期療養が必要になるケースも少なくありません。長期療養による筋力低下や運動機能の低下は、要介護や寝たきりといった状態を招く可能性があります。
もしそうなってしまえば、シニアライフに暗い影を落とすことになります。本人はもちろん、家族など周囲の負担も考えると、しっかり対策をしたいところです。
家庭内でも特に危険なポイント
先に挙げた内閣府の調査(「高齢者の生活環境」『平成27年版高齢社会白書(全体版)』)では、家庭内で事故が起きた場所とその割合は「居室」45.0%、「階段」18.7%、「台所・食堂」17.0%となっています。居室での転倒リスクが非常に高いことが分かります。
では、実際にこれらの場所でどのような転倒事故が起きているのでしょうか。場所別に代表的な事例をご紹介します。
居室
- 家電製品のコードにつまずく
- 敷居などのわずかな段差につまずく
- ベッドから転落して負傷
階段
- 階段を踏み外して転倒
- 階段の上り下りの際にスリッパが脱げて転倒
- 暗いなか階段を使用し足元が見えずに転倒
台所・食堂
- キッチンマットなどの敷物につまずく
- 高いところにあるものを取ろうとして転倒
その他の場所でも、浴室で滑って転倒したり、庭の手入れ中に脚立から落ちたりなど、多くの事故が起きています。転倒リスクとなるポイントが多数あるので、大事になる前にぜひ環境を見直しましょう。
家庭内での転倒対策
家庭内の事故には、対策をしておけば防げるものもたくさんあります。生活環境をチェックして高齢者にとって危険な箇所を減らすことで、転倒リスクは大幅に軽減できるといわれています。
代表的な対策としては、手すりやスロープをつけたり、段差をなくしたりなど自宅のリフォームが上げられますが、費用や時間の負担が多く、すぐには難しいかもしれません。
そこで、手軽にできるおすすめの対策をご紹介いたしますので、まずはできることから取り入れてみてください。今は便利な介護用品もたくさん出ているので、そちらを利用するのも良いでしょう。
居室
- 家電製品のコードが引っかからないように、導線を考えてレイアウトする
- フローリングなどの滑りやすい部分にウレタンマットを敷く
- タンスなどの転びそうな時に掴むことが多い家具は固定しておく
- 毛足の長いマットなど歩行の邪魔になる敷物は使わない
- カーペットなどの敷物はめくれないようにテープで固定する
- ベッドの周りに衝撃を吸収するマットを置く
階段
- 一歩ずつ慎重に降りる習慣をつける
- スリッパをはかない。もしくはかかとのついたスリッパをはく
- 足元灯や常夜灯を設置する
- 段差が分かりやすいように蛍光テープをはる
台所・食堂
- 足に引っかかりやすいキッチンマットを使わない
- キッチンマットはテープなどで固定する
- よく使うものは高い所に置かない
- 高い所のものを取るときは人にお願いする
浴室
- 床に小物などを置かずに広いスペースを確保する
- 浴室用の簡易な手すりを付ける
- 踏み台を使って浴槽に入る
- 風呂椅子・シャワーチェアと呼ばれる入浴用の椅子を使う
- 使用後は滑らないように、床のせっけんなどのぬめりを取り、良く乾かす
庭
- 一人で手入れをせずに複数人で行う
- 作業をする前に周囲にひと声かける
また、ご本人の身体の状態が転倒のしやすさと大きく関わるので、健康状態をチェックして、どのくらい転倒しやすいかを把握しておくことも重要です。
いつまでも充実したシニアライフを送るには、健康な身体をキープするのがポイントです。ぜひ、身の回りを見直して、転倒リスクの少ない生活環境を整えましょう。
(文:グッドライフシニア編集部 ライター川瀬 ゆう)
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