年金にも所得税がかかる場合があります
「年金は若い頃真面目に働いて年金保険料を納付してきたご褒美」と考える人が多いのですが、年金にも税金、つまり所得税がかかる場合があります。年金は税法上は「雑所得」に当たるからです。
年金にかかる税金がどのようなしくみになっているのか、分かりやすくまとめました。
年金に所得税がかからない場合
まず、収入が公的年金のみの方。公的年金を受給する際の年齢が65歳未満の方は受給額が108万円、65歳以上の方は受給額が158万円以下の場合、所得税の支払いの必要はありません。
年金受給額から基礎控除と公的年金等控除を差し引くと、課税対象となる所得は0円になるからです。
例えば、国民年金の老齢基礎年金を満額受給していたとしても、年間受給額は77万9,300円となりますから(参考:平成29年度の国民年金の満額受給額)所得税はかかりません。
これは国民年金保険料を40年間全額納めた方の支給額になり、実際には満額受給できていない方も多いので、国民年金だけならばまず所得税は免除されます。
年金に所得税がかかる場合
65歳未満の方で受給額が108万円、65歳以上の方で受給額が158万円を超えた場合は所得税がかかり、源泉徴収が必要になります。源泉徴収なので、あらかじめ社会保険料に加えて所得税分が差し引かれた額が支給されます。
ここで必要なのが日本年金機構から送付される「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を必ず提出すること。この申告書が提出されていないと控除が受けられなかったり、所得税率が大幅に割増されたりというペナルティーが課されます。受け取ったら必ず提出するようにしましょう。年金にかかる所得税は年末調整で処理できませんので、確定申告が必要になります。
ただし、平成23年度分の所得税からから「確定申告不要制度」が導入され、一定の条件を満たしている人は確定申告が不要になり、負担が軽減されました。
出版社勤務後、フリーランスのライターに。「難しいお金のことをわかりやすく」を目指して日々勉強中。保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
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