みなさんは、どんな老後を過ごしたいとお考えでしょうか。
「夫婦でおいしいものをたくさん食べたい」「南の島でゆっくりしたい」……。
仕事や子育てで忙しくて叶えられなかったこれらの夢も、時間の増える老後なら実現させられるかもしれません。
そこで必要になるのが老後資金です。
生命保険文化センターによる老後に関する調査によると、自分の老後に「不安感がある」と考える人の割合は8割を超え、公的年金や退職金、企業年金だけでは不十分と考えています。
今回は、投資初心者向けの制度であり、老後資金作りの方法として注目されているつみたて投資「iDeco(イデコ)」と「つみたてNISA(ニーサ)」についてご説明します。
iDecoとつみたてNISAは、国が老後資金作りを後押しするためにつくられた制度であり、節税効果が高いとされています。
これらの主な特徴と違いを理解し、あなたの老後計画を実現させる方法を考えていきましょう。
1.節税効果と老後資金づくり重視ならiDeco
iDecoの加入対象者は?
iDeCoに加入できるのは、20歳以上60歳未満(2022年5月以降は、国民年金の加入者である65歳未満まで延長予定)の人です。
2020年12月時点での加入者数は約182万人となっています。
最も大きなメリットは節税
iDecoの最大の特徴は、税制の優遇にあります。これはiDecoが、老後資金づくりを支援するために、国がつくった制度だからです。
具体的にいうと、3つの節税効果があります。
1, 積み立てた全額が所得控除の対象に
月々5000円から積み立てることが可能。そして積み立てるだけで、支払う所得税や住民税が少なくなる仕組みになっています。私たちが支払う所得税や住民税は、所得の金額で決まります。所得が減ればその分、所得税と住民税が安くなるというわけです。
iDeco公式サイトの「かんたん税制優遇シミュレーション」で試算してみました。例えば、年収300万円の会社員が月1万円を積み立てた場合、年間1万8000円程の税負担が軽減されます。
2, 運用した利息や運用益が非課税
通常は、預貯金の利息や株などの運用で得た利益には約20%の税金を支払わなければなりません。これがiDecoの場合は、非課税です。つまり、元本に運用で得た利益をまるまるプラスでき、さらに資産を増やすことが可能なのです。
3, 受取時にも税が優遇される
受取時には公的年金と同等の控除を受けられる優遇策がとられています。
iDecoで積み立てられる商品とは
iDecoで積み立てられる商品には、元本(預けたお金)が減るリスクのない元本確保型の「定期預貯金」や「保険」、元本が減るリスクのある元本変動型の「投資信託」の3種類があります。投資信託とは、資産運用のプロがあなたに代わって投資・運用する商品のことです。
預貯金に半分、残り半分は投資信託といった組み合わせもできますし、途中で投資対象を変えることもできます。投資に不安がある人は、金融機関ごとに異なる手数料を認識したうえで、元本確保型を検討しても良いでしょう。超低金利の今、運用益は期待できませんが、節税メリットというiDecoの恩恵は受けられます。
iDecoのデメリット(中途解約・引き出しができない)
iDecoは、初期の一時期を除いて、60歳までの間、途中で解約して引き出すことができません。
預貯金と違って柔軟性がないのがデメリット。反対に言えば、60歳まで強制的に引き出せないので、がっつり老後資金作りを目指す人には適しているといえるでしょう。
NISAは、節税効果は小さいが柔軟性が魅力のつみたてです。
■次のページでNISAについてご紹介します。