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【体験談】子どもの受験と親の介護が重なったとき|私が見つけた解決策

【体験談】受験と介護が重なった1

子どもの受験期と親の介護のタイミングが重なる、そんな家庭と介護の両立に悩む方は多いのではないでしょうか?

どちらも大切だからこそ、どのように両立させればよいのか悩む方も少なくありません。

今回は、子どもの受験を支えながら親の介護にも向き合い、さらに週4のパート勤めを続けた東京都在住の田中さん(仮名)の体験談をご紹介します。

似たような状況で悩んでいる方が、この経験を参考に新たな解決策を見つけていただければ幸いです。
 

子育てと介護の両立の難しさに直面

田中さん(47歳)は都内で中3と小5の女の子を子育て中。その傍ら週に4日、10時から14時までパート勤めをしています。

だいぶ子どもに手がかからなくなったとはいえ、長女が初めての高校受験を控え、想像以上に子どものサポートが必要なことを実感しています。

「娘のお弁当作り、塾の送迎、週末は高校の説明会や見学で私も子どももほぼ休みがない状態です。思っていたよりもずっと親が関わる場面が多いんですよね。さらに受験が近づくにつれてナーバスになる子どものメンタル面も気がかりでした」

さらに、気になるのが電車で1時間ほどの郊外に住む母親(78歳)の体調です。電話で話す限りは元気そうですが、体力の低下や防犯面など、ひとり暮らしで日常生活に対する不安を訴えることが増えてきたそうです。
 

長女の受験と母の介護のタイミングが重なった

【体験談】受験と介護が重なった2

「毎日、私が作ったお弁当を持って塾で夜の9時ごろまで勉強に励む長女。第一志望に受かることを家族で応援していました」。

そんなとき、母親が買い物の途中に自転車で転んで手を骨折したと連絡があったのです。利き手をケガしてしまったため、今まで自分でできていた洗濯や料理、買い物、入浴など身の回りのことが難しくなったといいます。

明るかった母がケガをきっかけに落ち込むように

幸い、手のケガ以外は問題なかったのですが、今までできていたことができなくなったという現実を受け止め切れず、すっかり落ち込んでしまったそう。

「特に母が得意だった料理ができなくなったショックは大きかったようです。私が実家に帰ったときは母の好きな料理を作り置きしていたのですが、自分で作る楽しみには代えられません。レンジで温めるごはんは味気ない、と何度もいっていました」

お母様は、地域のコミュニティセンターで絵手紙と華道のサークルに入っていましたが、ケガをきっかけに休会してしまいました。サークルや近所の方とおしゃべりをしたり、出かけたりすることが一切なくなってしまい、外との関わりが極端に減ってしまったのが気がかりでした。

生活ががらりと変わり、家にこもりがちになり、日課の散歩もあまり行かなくなってしまいました。

「ケガ自体はそれほど大変なものではなかったのですが、人との会話が減ったり、家にひとりでいる時間が長くなったことで、社交的だった母がボケてしまうんじゃないかと心配でした」と田中さん。

自身も介護と家庭で追い詰められ

受験の子どもをサポートしながら、片道1時間かけて週末に実家に帰省して料理を作り置きしたり、日用品の買い出しをするなど母親の世話や通院に付き添っていました。

お父様は5年前に亡くなり、田中さんも一人娘のため、母親のサポートができるのは彼女ひとりだけ。週4日パート勤務をしながら、土曜日に1泊して日曜の夜に戻るという生活を半年も続けるうちに、自身も疲れ果て、体調を崩してしまったといいます。

「ケガが良くなっても、引きこもり状態で毎日のように電話をかけてくるので、私もいま忙しいのよ!と声を荒げてしまうことも。子どもにも母にも十分なサポートができず、内心は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。夜になると布団の中で涙が出たり、ちょっとしたことで主人に強い口調で当たってしまったり、いつまでこの状態が続くのか不安で涙がでてきてしまったり…かなり精神的に追い詰められていたと思います」
 

家庭と介護が両立できる解決策とは?

【体験談】受験と介護が重なった3

「このままでは限界を迎えそう…」そう思っていた矢先、友人から「お母さんを自宅の近くにマンションを借りて呼び寄せるのはどう?」とアドバイスされ、それが解決策へと繋がることに。

自宅から近いシニア向けの賃貸マンションに引っ越すことを提案すると、お母様は意外にもあっさり賛成。安否確認などのサービスがある子と、何かあったときにすぐに駆け付けられる距離である点が、安心感につながったようです。

母親を自宅近くに引っ越させたメリット

実家のマンションは賃貸にして貸すことになりました。駅から徒歩5分、築35年と古めのマンションですが、東京郊外の人気エリアだったため思ったより高い家賃で貸すことができたそうです。現在住むマンションの家賃を支払っても数万円の利益がでるため、年金にプラス、臨時収入が毎月入るのでお母様もお喜びのようです。

「私が実家を行き来していたときは、どうしてもバタバタしてしまい家の中が落ち着かなかったんです。私のイライラが主人や子どもたちにも伝わってしまうんですよね。母が賃貸マンションに引っ越してからは、家で子どものサポートに集中できるようになり、話をゆっくり聞く余裕ができました」。ご家族への負担が減ったのもよかったと話します。

「頻繁に孫に会える楽しみも増え、新しい友達もできて母の生活が充実したのが何よりです」。ご自身の負担も減り、より良い関係を築けるようになったエピソードでした。
 

親の介護と子育てを両立させるコツは無理をしすぎないこと

その後、子どもさんが無事に高校受験を終え、現在は家も近くなったため、食事を届けたり、一緒にランチに行ったりと親子関係もうまくいっているようです。

親の介護と受験のように、大切な時期が重なるケースは少なくありません。どちらも大切にしたいがゆえ、田中さんのように抱え込んでしまう場合もあるでしょう。

自分自身の仕事や家庭の時間を確保しつつ、親世代に寄り添って介護するコツは、決して一人で抱え込んで無理をしすぎないことです。

親の介護と子育ての両立は簡単ではありませんが、自分自身の仕事や家庭の時間を確保しながら、親に寄り添うためには、無理をしすぎず、必要に応じて周囲のサポートを活用することが重要です。

(グッドライフシニア編集部 鶴田)


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