資産1億円以上を持つ世帯が年々増加しているのをご存じですか?その背景には株価の上昇・円安・相続など、さまざまな影響を受け、さらにスーパーパワーファミリーと呼ばれる新たな富裕層も注目されています。
本記事では、最新の富裕層データ・増加の理由・格差の行方について詳しく解説します。
日本の富裕層の現状と増加傾向
野村総合研究所(NRI)が2025年2月に発表した最新調査によると、日本における富裕層(純金融資産1億円以上5億円未満を保有)は約153.5万世帯、超富裕層(5億円以上を保有)は約11.8万世帯に達し、合計165.3万世帯となりました。
これは2021年の148.5万世帯から約11%増加しており、富裕層が拡大していることを示しています。
また、純金融資産総額は約469兆円となり、2021年の364兆円から約29%の増加を記録しました。
日本の富裕層の分布
NRIが2025年発表した2023年の推計は以下の通り。
年 | 富裕層世帯数 | 超富裕層世帯数 | 資産総額 |
---|---|---|---|
2021年 | 148.5万世帯 | 10万世帯 | 364兆円 |
2023年 | 165.3万世帯 | 11.8万世帯 | 469兆円 |
富裕層の増加の要因とは?
NRIの分析によると、富裕層の増加には以下の要因が影響しています。
• 株式市場の上昇:日経平均株価の急騰や企業業績の改善により、投資資産が大幅に増加。
• 円安の進行:外貨建て資産の価値が上昇し、富裕層の金融資産が増大。
• 相続による資産移転:高齢の富裕層からの資産承継が進み、新たな富裕層が増加。
特に、2024年には円安が進み、外貨資産を持つ富裕層の資産価値が大幅に上昇しました。
富裕層の特徴と最新トレンド
NRIは、日本の富裕層に関する新たなトレンドとして、「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」の存在を指摘しています。
• いつの間にか富裕層:企業の持株会やNISA、長期投資を活用し、知らぬ間に資産が増加した層。
• スーパーパワーファミリー:都市部に住み、世帯年収3,000万円以上の大企業共働き世帯。高い消費意欲を持ち、今後も増加が予測される。
この「スーパーパワーファミリー」は、20~30代のうちは住宅ローンや子育て費用がかさむものの、40代以降に昇進や昇給を通じて世帯年収が増加し、金融資産を大きく伸ばしていくのが特徴です。特に50歳前後には、純金融資産1億円以上の「富裕層」に仲間入りするケースが多いとされています。
また、地方においても、世帯年収1,000万円以上の大企業共働き世帯は、生活コストの違いを考慮すると、60歳前後で富裕層となる可能性が高いと分析されています。
「パワーファミリー」との違いは?
NRIでは、世帯年収1,500万円以上の共働き世帯を「パワーファミリー」と定義しており、「スーパーパワーファミリー」はその上位層に位置付けられます。
女性の社会進出やリモートワークの普及によって、こうした層の増加が今後も続くと予測されています。
今後の展望|富裕層はさらに増えるのか?
2023年のデータを見ると、日本の富裕層は引き続き増加傾向にあり、株式市場の上昇や円安が資産形成に大きく寄与していることが分かります。
一方で、一般世帯の資産形成は難しくなっており、投資機会の有無による「資産格差」の拡大が懸念されています。
今後、金融教育の普及や投資機会の拡大が進めば、より多くの世帯が資産形成に参加できる可能性があります。日本の経済格差をどのように是正していくのか、政府や企業の対応が重要になりそうです。
参考:野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
(グッドライフシニア編集部 松尾)