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認知症予防の食事はなぜ大切?おすすめ食材と避けたい食材

認知症予防の食事

物忘れや判断力の低下などの症状を起こす認知症。シニア世代にとっては身近な病気であるため、予防法が気になる方も多いのではないでしょうか。

認知症を予防するためには、食事の工夫が大切です。バランスのよい食事のほか、予防によいといわれる食材を取り入れてみましょう。合わせて、避けたい食材や食事法も管理栄養士がご紹介します。
   

なぜ食事が大切?認知症と食事の関連

認知症の中でも最も多い「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積して、神経細胞にダメージを与えることが原因と考えられています。

認知症と食事について、まだはっきりとわかっていないことも多いのですが、関連が深いことがわかってきています。

例えば、アルツハイマー型認知症の方は特定の血中ビタミン濃度が低いことや、中年期の生活習慣病や肥満により、将来のアルツハイマー型認知症のリスクが上昇することなどです。

ほかにも、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による「血管性認知症」もあり、脳血管障害の原因となる、生活習慣病予防も対策のひとつとなります。

認知症の予防の基本は「バランスのよい食事」といわれていますが、認知症予防によいのではないかといわれている食材がわかってきているため、いくつか紹介します。
   

認知症予防に役立つ栄養素・成分とおすすめ食材

認知症予防に役立つ栄養素と成分、おすすめの食材を紹介します。
   

DHA・EPAを含む「青魚」

DHAとEPAは、オメガ3系脂肪酸と呼ばれる脂肪酸の一種です。オメガ3系脂肪酸の摂取により、認知機能低下や認知症の予防効果が期待されています。

中でもDHAは脳に多く含まれ、脳の正常な働きをサポートしており、認知症予防が期待できるのではないかと注目されています。

またEPAには、いわゆる「血液サラサラ」作用があり、脳梗塞などの循環器疾患を予防して、間接的に認知症予防につながります。

どちらも体内で十分に作られない「必須脂肪酸」であり、食べ物から摂る必要があるため、積極的な摂取が大切です。

ただし、DHAとEPAの摂取について、認知症予防に関連がみられなかったという報告もあるため、今後のさらなる研究が期待されます。

【DHA・EPAを含む食材】
サバ・サンマ・ブリ・イワシ・サワラ・マグロなど

   

ビタミンEを含む「ナッツ・野菜・果物」

アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβは、活性酸素の産生をうながして、神経細胞を傷つけることがわかっています。そのため、活性酸素の働きを抑える、抗酸化物質の摂取が大切だといわれています。

中でも、高い抗酸化作用を持つビタミンEの長期的な摂取により、認知症のリスクが低下することがわかってきました。

ビタミンEはナッツや色の濃い野菜、果物、オリーブ油に豊富に含まれています。

【ビタミンEを含む食材】
アーモンド・ピーナッツ・パプリカ(赤)・かぼちゃ・ブロッコリー・アボカド・キウイフルーツ・オリーブ油など

   

ビタミンB12・葉酸を含む「野菜・果物」

アルツハイマー型認知症の方は、血中のビタミンB12や葉酸などの濃度が低いことがわかっています。

これらのビタミンの不足は、動脈硬化の危険因子となるホモシステイン濃度を増加させたり、アミロイドβを沈着させたりすることから、認知症のリスクにつながるのではないかと考えられています。

ビタミン補給により確実に予防につながるかどうかはわかっていませんが、偏った食生活により不足しやすい栄養素です。特にビタミンB12は植物性食材にはほとんど含まれないため、意識して摂る必要があります。

【ビタミンB12を含む食材】
しじみ・あさり・サンマ・サバ・牛肉・プロセスチーズ・鶏卵など

【葉酸を含む食材】
枝豆・ブロッコリー・ほうれん草・アボカド・きなこ・納豆・ごまなど

   

ポリフェノール・カフェインを含む「コーヒー・緑茶」

アルツハイマー型認知症の予防に、ポリフェノールやカフェインが役立つのではないかということがわかってきています。中でもコーヒーや緑茶の摂取により、認知機能低下のリスクを下げられるのでは、という報告があります。

カフェインの過剰摂取は睡眠などへの影響があるため勧められませんが、毎日適度に飲む習慣をつけるのもよいでしょう。
   

ポリフェノールが豊富な「赤ワイン」

大量のアルコール摂取は脳を萎縮させてしまいますが、少量から適量の赤ワインの摂取は、認知機能低下予防によいのではないかということがわかってきています。

これはほかの白ワインやビールなどにはみられない効果であり、赤ワインに含まれるポリフェノールの持つ、強い抗酸化作用によるものではないか、といわれています。

ただし、お酒を飲めない人が無理に飲む必要はないとされています。また、飲む際は少量もしくは適量の摂取が大切です。
   

【注意】認知症予防のために避けたい食材とは?

認知症予防に避けたい食材

反対に、下記の食材・食事法は認知症のリスクを高めることがわかっています。

・飽和脂肪酸を多く含むもの(脂の多い肉類、バター、生クリームなど)
・高カロリー食
・低脂肪・低タンパク食

これらを避けるためには、肉より魚や大豆製品を増やしたり、バランスのよい食事を心掛けたりすることが大切です。ひとつの食べ物ばかり偏ってとるのではなく、さまざまな食べ物を取り入れるようにしましょう。

ほかにも、認知症の予防には大豆製品の摂取や、有酸素運動も有効であるといわれています。小さな工夫を積み重ねて、認知症予防の第一歩をスタートさせましょう。
   
参考:一般社団法人 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」
日本認知症学会 日本認知症学会誌Dementia Japan「生活習慣と認知症 : 食事と運動による認知症予防」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

 

広田千尋筆者:広田千尋
管理栄養士。保健センターや病院に勤務し、生活習慣病予防や低栄養予防など、中高年から高齢者の栄養サポートに従事する。現在はフリーランスとして独立し、食や栄養に関するコラム執筆や、身近にある材料でおいしく健康になれるレシピ作成などの活動を行っている。

 

広田千尋のお料理レシピ

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