親と同居すれば、生活費を折半にできる、家事を分担できるなど、たくさんのメリットがあります。
一方、自由な時間が減る、常に他人の目を気にしなければならないなど、デメリットも無視できません。
では、実際に親と離れて暮らす社会人は、同居についてどう考えているのでしょうか?
株式会社AlbaLinkが、親と離れて暮らしている社会人500人を対象に調査を実施し、同居についてのメリット・デメリットを参考に同居について掘り下げてみましょう。
親と同居するメリット1位は?
親と離れて暮らしている社会人500人に「親と同居するメリット」を聞いたところ、1位は半数近くの人が回答した「金銭面で楽になる(247人)」でした。2位「家事を分担できる(134人)」も100票を超えています。
全体としては、「親を助けられる」というよりも、「親に助けてもらえる」と答えた人が多い結果になりました。経済的な余裕があって元気な親なら、助けてもらえることが多そうですね。
一方、高齢だったり、年金のみが収入源だったりする親と同居するなら、「助けてあげられる」というメリットの方が大きくなりそうです。
<1位 金銭面で楽になる>
二世帯での同居は、家賃や水道光熱費を折半できるため、経済的な負担が軽減されます。また、親の持ち家で同居する場合は家賃が不要になり、車の共有なども金銭的なメリットとなります。
・家賃や生活費など、一人よりは断然楽だと思います(40代 女性)
・持ち家なので、家賃や駐車場代を払わなくて済むなど、金銭的なメリットがある(50代 男性)
<2位 家事を分担できる>
共働き世帯や育児中の家庭では、家事の負担が軽減されることが大きなメリットです。疲れているときに親が家事や買い物を手伝ってくれると、仕事や育児との両立がしやすくなります。
・家事を分担できるので、仕事に集中できる(30代 男性)
・母は「掃除」「洗濯」「食事の用意」が完璧なので、やってくれると思います(50代 女性)
<3位 親の見守り・世話ができる>
親が高齢になると健康面での心配が増えます。同居することで、親の様子を日常的に確認でき、緊急時にもすぐ対応できる安心感があります。
・元気にしているか毎日確認できる(30代 女性)
・親の健康状態を確認しやすい(50代 男性)
<4位 育児を助けてもらえる>
共働き世帯では、親が子どもの世話を手伝ってくれることで、仕事と育児の両立がしやすくなります。また、祖父母と日常的に触れ合うことで、子どもの成長にも良い影響を与える可能性があります。
・保育園のお迎えなど、子育てを助けてもらいやすいことです(30代 男性)
・息子が風邪をひいたときでも仕事に行ける(40代 女性)
<5位 安心感がある>
親と同居することで精神的な支えとなり、特に災害時などの緊急事態においても安心できるという声が多くありました。
・帰って来たときに人がいる安心感(30代 女性)
・親も子も安心できる(40代 女性)
<6位 困ったときに助け合える>
体調不良時や急なトラブルの際、お互いにサポートし合えるのも同居の大きなメリットです。
・お互いに体調を崩したときなどに看病できて安心(40代 女性)
・助け合って生活できる(50代 男性)
<7位 家に話し相手がいる>
親との同居は、日常的に会話ができる安心感があります。一人暮らしに比べて気軽に話し相手がいることで、孤独感の解消にもつながります。
・相談にのってもらえる(40代 女性)
・くだらない話でも気軽にできる(50代 男性)
親と同居するデメリット1位は?
親との同居には経済的なメリットや家事のサポートなどの利点がある一方で、「自由がなくなる」「親の干渉が増える」などのデメリットを感じる人も多いようです。
アンケート調査では、「気をつかって自由に過ごせない」(99人)が1位にランクインし、次いで「干渉・管理される」(96人)が挙げられました。
また、「介護の負担」「金銭面の負担」「プライバシーが確保しにくい」といった問題も浮き彫りになっています。親の状況や家族の関係性によって、同居のメリットがデメリットに変わるケースもあるようです。
<1位 気をつかって自由に過ごせない>
同居すると、親に気をつかいながら生活することになり、一人暮らしのような自由さを感じられなくなることが最大のデメリットとして挙げられました。
特に一度独立した人や、配偶者の親と同居する場合は、気疲れが大きくなりやすい傾向があります。
・生活の自由度が下がる。気をつかう。あまりダラダラできない(40代 女性)
・一緒に住むとお互い気をつかうので、気苦労が増える(60代以上 男性)
<2位 干渉・管理される>
親との関係が良好でも、日常的に生活を共にすると、どうしても「口を挟まれる」ことが増えるため、干渉が気になる人が多いようです。
特に、「いつまでも子ども扱いされる」「何かと管理される」といった点を不満に感じる人が目立ちます。
・いつまでも子ども扱いしてくる(30代 女性)
・まだ口は達者なので、いろいろと人の生活に口を出してくる(50代 男性)
<3位 ケンカが増えそう>
同居することで、親子や夫婦の関係に摩擦が生じる可能性が高まります。
昔は気にならなかった親の生活習慣や価値観の違いが、距離が近くなることでストレスに感じることもあるようです。
・何でも言い合える関係だからこそ、子育てや生活について食い違いなどがあると、対立してケンカになってしまう(40代 女性)
・嫁姑問題が勃発する危険性(50代 男性)
<4位 プライバシーを守れない>
親と生活空間を共有することで、プライベートな時間や空間が確保しにくくなる点もデメリットのひとつです。
特に家が狭い場合や、親が過干渉なタイプの場合は、ストレスを感じやすくなります。
・プライベートの確保が難しい(30代 男性)
・プライベート空間がなくなる(40代 女性)
<同率4位 介護・見守りが負担になりそう>
親が高齢になると、同居することで介護の負担が増える可能性もあります。
「自然と介護を担う立場になりそう」「仕事との両立が難しくなる」など、精神的・肉体的な負担が大きくなる点を懸念する声が多くありました。
・同居すると、介護も自分がやるような雰囲気になる(30代 女性)
・介護が必要になると、負担になる(50代 男性)
<6位 生活リズムが違ってストレス>
親世代と子ども世代では、生活リズムが異なることが多いため、ストレスを感じる要因になります。
「食事の時間」「就寝・起床時間」「掃除や家事のタイミング」などが合わないと、お互いに負担が増えることになります。
・生活のペースが乱される(50代 女性)
・お互いの生活時間帯にズレがある(60代以上 男性)
<7位 金銭面での負担が増える>
「親と同居すると金銭面が楽になる」との意見もある一方で、「親を金銭的に支える必要が出てくる」という考えもあり、負担を感じる人もいました。
特に、親の収入が年金のみの場合や、医療費がかかる場合は、家計への影響が大きくなる可能性があります。
・実家にある程度お金を入れる必要がある(30代 男性)
・親が病気になったり収入が減ったりしたら、援助する必要があること(50代 女性)
<8位 家事の負担が増える>
親が高齢になると、家事の負担が子ども世代にのしかかる可能性があります。
特に「親の分の食事を作らなければならない」「買い物の負担が増える」といった点が懸念されています。
・買い物に付き合わされる(30代 男性)
親との同居を検討したことがある人は52.8%
実際に親との同居を検討したことがあるかという問いには、約半数が「ある」と回答。
年齢や性別別にみても、割合はあまり変わりませんでした。
<親との同居を検討した理由>
・子どもが生まれたタイミングで新築を建てた際、親を呼び寄せようか検討しました(30代 男性)
・母親が他界し、父親一人では何もできないから(40代 男性)
・両親がふたりとも高齢で持病があり、遠距離なので、急を要したときにすぐ駆けつけられないからです(50代 女性)
・家賃を払うのが大変だから、実家に帰りたかった(30代 女性)
自分の都合で同居したいと考えた人は少なく、「親が心配だから」という声が多くなっています。親が高齢になって病気や怪我をしたら、親と同居した方がいいのだろうかと検討する人も多いでしょう。
親にサポートが必要になったら、同居以外に「介護サービスの利用」や「施設への入居」も検討できます。しかし、親が施設への入居を嫌がるので同居を検討したという声もありました。「家族に面倒を見てほしい」あるいは「家族が面倒を見るものだ」と考えている人も多いことが推測できます。
<親との同居を検討したことがない理由>
・勤務地と実家が遠すぎて、考えられない(30代 女性)
・他の兄弟と比較されながら育ったため、親が好きではない(30代 男性)
・親もまだ元気で仕事をしており、同居の必要がないと感じているため(40代 女性)
・妻と子を養うので精一杯ですし、同居すると妻と私の親がケンカをしそうです(40代 男性)
「まだ親が元気なので、検討したことはない」「他の兄弟が近くにいるので、自分は同居しなくていい」といった声が多数。
親と仲が悪いので同居したくないという人もいましたし、仲はいいけど同居はしたくないという人も。仲がよくても、生活スタイルや生活リズムが異なると居心地が悪く感じてしまうこともあります。自身が家族をもっている場合は、配偶者と自身の親の関係や、引越しで配偶者や子どもの生活環境が大きく変わることも心配ですね。
また、実家の立地が悪いので引っ越すと仕事に不便という声も。
一方親を自分が住んでいるところに呼ぶ場合は、「家が狭い」「広い家を探す必要がある」という問題が起こります。
まとめ
親との同居には経済的なメリットやサポートを受けられる利点がある一方で、「自由がなくなる」「親の干渉が増える」などのデメリットもあります。
また、親の健康状態によっては「介護負担」が発生し、同居が精神的・身体的な負担になることも考えられます。そのため、同居を決める際は、「生活リズムの違い」「金銭的負担」「介護の問題」「プライバシーの確保」などをしっかり話し合うことが重要です。
また、完全な同居ではなく「敷地内同居」や「近居(徒歩圏内で別々に住む)」といった選択肢を検討するのも、親子双方にとってストレスの少ない方法かもしれません。
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▪️「同居 vs 近居」どちらが正解?メリット・デメリット&選び方のポイント
※集計結果データ
URL:https://wakearipro.com/advantages-of-living-with-parents/
(グッドライフシニア編集部)