
イチイが取り組む「安心して暮らせる住まい」とは?
シニアの一人暮らしは年々増えています。「このまま一人で暮らして大丈夫かな…」「孤独死って他人事じゃない」──そんな不安の声を耳にする場面が増えてきました。
こうした社会課題に、当サイト「グッドライフシニア」を運営する(株)イチイが本気で向き合っています。
「孤独・孤立をなくし、安心して住み続けられる住まい」をテーマに、シェアハウスや二地域居住、地域との連携によるサポート体制など、多角的な取り組みを進めています。
この記事では、SUUMOの取材でも紹介されたイチイの“シニアの住まいづくり”を、読者の方にわかりやすくまとめました。
シニアが賃貸で入居を断られる背景とは?
高齢者の一人暮らしが増える一方で、賃貸住宅では「入居を断られる」ケースも少なくありません。
その理由は大きく3つあります。
① 孤独死への不安
孤独死が起こると、オーナーの告知義務、特殊清掃、家財の処分など、多くの負担が発生します。
このリスクを恐れて、“高齢者お断り”となることがあるのです。
② 認知症への不安
意思疎通が難しくなる可能性があるため、「何かあった時に対応できる身元保証人がいないと困る」と考えるオーナーが多い現状があります。
③ 保証人の問題
子どもが遠方、そもそも保証人を頼める人がいないなど、連帯保証人を立てられずに入居できないケースも見られます。
こうした課題を受けて動き出した「居住サポート住宅」制度とは?
シニアの入居をめぐる課題が深刻化する中で、国も対策に乗り出しました。
2025年10月からスタートした「居住サポート住宅」制度では、見守り、安否確認、入居後の生活支援、介護・福祉サービスへの橋渡しなどを居住支援法人が継続して行う仕組みが整備されています。
行政と民間が連携し、高齢者が賃貸に入居しやすい環境づくりを推進するのが狙いです。
イチイが運営する「高齢者向けシェアハウス」が満室の理由
イチイは2007年にシニア事業部を設立し、積極的に取り組んできました。
その中でも注目されているのが、高齢者向けシェアハウス「シニアライフ田無」です。
- 60歳以上の女性専用
- 全4室の少人数ハウス
- 共用リビングで交流がしやすい
といった特徴があり、当サイト「グッドライフシニア」からの集客により、常に満室を維持しています。空室が出ないにも関わらず、多くのお問い合わせをいただいています。
ポイントは、“孤独にならない仕掛け”が揃っていることです。
地域交流拠点を併設
シニアライフ田無の地下と1階には、地域交流拠点 「プラスライフ田無 地域センター」 を併設。フリーマーケット、リユースイベント、老後の暮らしセミナーなど、地域の人が気軽に出入りできる場として活用されています。
見守りの仕組みを地域と一体で
イチイは地域支援団体「たぬきち商事」と協力し、顔の見える見守り体制を構築しています。
たぬきち商事の 「屋根のない長屋プロジェクト」 では、買い物代行、通院付き添い、身元保証、事務委任・死後事務委任など、暮らしに必要なサポートを提供。これらを家賃保証や入居契約とセットで提供することで、高齢者の入居への不安を大きく軽減します。
さらに、地域住民が支援者となる「バディ制度」や、助け合い活動に使える地域通貨「happa」により、自然な交流と助け合いが生まれるのも大きな特徴です。
イチイはこの取り組みを自社管理物件全体にも広げ、行政・医療・福祉・商店街など地域の資源と連携しながら、“孤立しない住まいづくり” を推進しています。これは、今後国が本格導入する「居住サポート住宅制度」が目指す方向性とも一致しています。
今後を見据えて不動産会社が「エリアケアマネージャー」になるべき
当社代表の荻野政男は、これからの賃貸住宅に求められる役割として 「エリアケアマネージャー」 の重要性を挙げています。
家族が少なくなり、特に首都圏では高齢単身者が増え続ける現在、住まい方は確実に変化していきます。
40〜50代で一人暮らしを続けてきた人が、そのまま高齢単身者になるケースも珍しくありません。
従来の管理会社の役割は、入居契約、クレーム対応、建物管理、退去手続きなどが中心でした。しかし、入居者の状況が変化する今、これだけでは不十分です。
そこで生まれたのが、「エリアマネジメント」+「ケア」=『エリアケアマネジメント』という考え方です。
不動産会社が地域と入居者、支援団体をつなぐ役割となることで、安心して暮らせる環境を整えることができます。
たとえば、外国人や高齢単身者が暮らす住宅の防災対策では、近隣住民との助け合いが欠かせません。不動産会社が主体となって町内会・地域包括支援センター・福祉担当者と連携することで、より安全な暮らしが生まれます。
イチイでは、こうした視点で高齢者向け住宅の管理を進め、日管協と協力して高齢者が避難し遅れないための「防災マニュアル」づくりにも着手しています。
荻野は、「さまざまな課題に気付き、少しずつ改善を重ねることで、暮らしやすい社会に近づく」と語り、20年後の自分を想像しながら地域での支援活動に関心を向けてほしいと呼びかけています。
(グッドライフシニア編集部 松尾)
