50代は老後をどう捉えているのか?
いよいよ人生100年と言われる時代に突入しました。人生80年で老後の見通しを立てていたシニア世代にとっては、さらに20年先まで老後の計画が必要になり、定年後に不安を抱える方も多いことと思います。
年金受給額の把握度や老後の金銭面の不安、定年退職に向けて行っている対策(定活)など、定年を5年、10年後に控えた50代は定年後をどう捉えているのでしょうか?
そこで参考のために、高齢者の就労支援を行う「マイスター60」が「定年対策 実態調査」のアンケート調査の結果をご紹介します。対象者は妻と同居している全国の50代男性会社員500名、および50代男性会社員を夫に持ち現在同居している女性500名、計1,000名が対象です。
結果から見えてきたことは?
■再就職後、新しい上司が年下だった場合でも70.4%が対応に自信アリと回答
■定年に向けた準備として「仕事関連の勉強(資格以外)」をしている わずか14.8%
■定年退職後、新しいキャリアに取り組んでみたい 51.6%
アンケート概要
85.8%が、老後の暮らしに金銭面で不安あり
自身や配偶者が定年退職した後の暮らしにおいて、金銭面に「とても不安に感じる」人が40.4%、「どちらかというと不安を感じる」と答えた45.4%と合わせてると85.8%の方が不安を感じ、男女別だと女性の方が不安に感じている割合は高く全体の87.4%が不安と回答しました。
現在の仕事に満足していない人ほど、退職後の金銭的不安が強い傾向
続けて男性500名に、現在の仕事に満足しているかどうかを聞いたところ、「とても満足している」は7.4%、「どちらかというと満足している」は50.0%、「どちらかというと満足していない」は31.8%、「全く満足していない」が10.8%という結果となりました。
この結果と定年退職後の金銭的不安に感じるかどうかの結果をクロス集計したところ、現在の業務に満足していない人ほど将来の金銭的不安を強く感じている傾向が分かりました。
人生100年時代はこれまで以上に計画性が重要!?
自身または配偶者が退職した後の家族の老後の家計については、「しっかりと考えている」は8.9%に留まり、「あまり深く考えていない」が44.0%と最も多い結果となりました。
85.8%の方が老後の金銭面での不安を感じている一方、老後の家計については、考えていると回答した方と考えていないと回答した方はほぼ半々に分かれ、将来は不安だけれどあまり真剣には考えられていないという二面性が見て取れます。
将来の年金額を把握している割合は半々
自身または配偶者が年金をいつどれだけもらえるか正しく把握できているか、の質問には「しっかりと考えている」が10.3%、「全く把握していない」が9.7%。最も多かった回答は「一部把握できている(43.0%)」で、「ほとんど把握できていない(37.0%)」と続きました。
「定年後は希望通りの働き方や暮らし方ができないと思う」49.5%
自身もしくは配偶者の定年退職後は希望通りの働き方や暮らし方ができると思うか?には「実現できないと思う」が11.8%で「実現できると思う」と回答した人よりも多く、「どちらかというと実現できないと思う」と回答した37.7%と合わせると、半数の49.5%が実現できないと感じていることが分かりました。
お金は不安な反面、6割が自信のキャリアやスキルに自信あり
自身が勤める会社に定年制度がないと回答した20名を除く男性480名を対象に、定年後に新たな会社へ再就職することになった場合、自身のこれまでのキャリアやスキルに自信があるかの質問には、「とても自信がある」の9.6%と「どちらかというと自信がある」50.8%を合わせて60.4%の方が自信を持っていました。
また、再就職の際に人間関係で問題となる「年下上司への対応」には7割近くが自信があると回答。
50代は自己研鑽よりも資産運用や人脈形成!?
定年に向けて具体的な準備をしているかの質問で、現在取り組んでいると回答した方の割合が最も多かったのは「お金や資産運用の勉強」で、全体の66.9%が資産運用に何かしらの関心がある(あった)ということが分かりました。
一方、「仕事関連の勉強(資格取得以外)」や「資格取得のための勉強」に現在取り組んでいる、と回答した方は、資産運用や人脈形成で回答した方よりも相対的に低く、勉強などの自己研鑽よりもお金や人脈形成を重要視している実態が明らかになりました。
まとめ
この調査から見えてきたのは、定年退職後のお金や暮らしへの不安は大きく感じている反面、自身のキャリアやスキルには自信を持っているという方が比較的多いこと。また定年退職に向けた準備としては、資産運用などを考えている方が多く、仕事関連の勉強をしている方が比較的少ないということです。
人生100年時代と言われる中、実際の再就職の現場では、見えない年齢制限の壁や、資格やスキル不足など現役時代には想定すらしていなかった場面に直面したという方が少なくありません。それまでの経験や役職・立場に甘んじず、自らの資格やスキル、キャリアアップなどで自分を磨き続けることが、定年退職後も生き生きと働くためにはとても重要です。
(グッドライフシニア 編集部)
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