梅雨明けとともに、本格的な猛暑がやってきます。
体のだるさ、食欲不振、寝苦しさなどによる「夏バテ」は誰にでも起こりますが、特に高齢者の方は体温調節機能や水分バランスの変化により、食中毒・脱水症・熱中症といった深刻な健康リスクにさらされやすくなります。
この記事では、高齢者が夏を元気に乗り切るために知っておきたい5大トラブルの予防法と症状のサインをわかりやすくまとめました。
シニア世代ご本人はもちろん、ご家族の健康管理にもお役立てください。
≫1. 細菌が増える季節に!夏の「食中毒」対策
≫2. 室内でも起こる!「脱水症」にご用心
≫3. 命にかかわる「熱中症」初期サインと予防法
≫4. 夏にリスクが高まる「脳卒中」──予兆と予防を知る
≫5. 夏は注意!食欲低下が引き起こす「低栄養」
1. 細菌が増える季節に!夏の「食中毒」対策
気温や湿度が高くなることで食べ物が腐りやすくなるこの時期は、食中毒が発生しやすくなります。高齢者は免疫力が低下しやすいため、特に注意が必要です。
食中毒になる主な原因には、細菌(6割)、ウイルス(3割)、その他化学物質、寄生虫、自然毒などがありますが、感染を防ぐためにはそれぞれの概要を知っておくことが大切です。
「つけない・増やさない・やっつける」を実行して食中毒やウイルス感染を予防していきましょう。食中毒を起こす原因、症状、対策法などについて詳しく解説します。
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■夏の食中毒にご注意!細菌・ウイルス撃退法でしっかり予防
2. 室内でも起こる!「脱水症」にご用心
脱水症状とは、体から水分・塩分などの電解質が失われた状態のことです。脱水症状になると、頭痛・めまい・吐き気をはじめとした、さまざまな症状があらわれます。
また、脱水症状が続くと血液がドロドロの状態となり、脳梗塞・心筋梗塞を引き起こすきっかけにもなり、命にかかわる大変危険なものです。
加齢に伴い、のどの渇きを感じにくくなる高齢者は、脱水症に気づかないまま重症化することもあります。自分では気づきにくい隠れ脱水の症状、脱水症の危険性、水分補給のポイントをまとめました。
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■高齢者のかくれ脱水にご注意!予防と水分補給のポイントとは?
3. 命にかかわる「熱中症」初期サインと予防法
熱中症とは、体温が上がり体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなったりすることにより、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などさまざまな症状を起こす病気のことを指します。
熱中症患者のおよそ半数は65歳以上の高齢者です。加齢により脱水症状に陥りやすく、回復もしにくいと報告されている高齢者の熱中症。
高齢者の熱中症予防には、そのメカニズムを知り、初期症状に気づくことが大切です。また、万が一の際の正しい対処法を理解しておくことも重要です。これらのポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。
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■熱中症とは?シニアに多い初期症状と事例から学ぶ予防・対処法
4. 夏にリスクが高まる「脳卒中」──予兆と予防を知る
夏は汗をかきやすく、体内の水分が不足しがちになります。これによって血液がドロドロになり、脳の血管が詰まりやすくなるため、「脳梗塞」などの脳血管疾患(脳卒中)の発症リスクが高まると言われています。
脳卒中は、ある日突然、麻痺や言語障害などを引き起こし、要介護のきっかけになる代表的な疾患です。とくにシニア世代では、加齢や高血圧・糖尿病・動脈硬化といった生活習慣病の影響もあり、夏場の体調変化には注意が必要です。
脳卒中には大きく分けて2つのタイプがあります。
- 出血性の脳卒中:脳出血・くも膜下出血など、血管が破れて起こるもの
- 虚血性の脳卒中:脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)など、血管が詰まって起こるもの
どちらも突然の頭痛・麻痺・言葉のもつれなどが前兆になることがあり、早期発見・早期治療が命を守るカギとなります。
詳しい症状や予防法については、こちらの記事で解説しています。
☞■脳血管疾患(脳卒中)の症状や原因を知って予防を心がけよう
5. 夏は注意!食欲低下が引き起こす「低栄養」
夏になると、冷たい麺類やあっさりした食事が増え、知らないうちに栄養が偏ってしまうことがあります。食欲が落ちる季節とはいえ、「いつもどおりに食べているから大丈夫」と思っていても、実は必要な栄養素が足りていない“低栄養”の状態になっているシニアは少なくありません。
とくに注意したいのが、「たんぱく質の不足」です。たんぱく質は筋肉や免疫細胞の材料になる栄養素で、これが不足すると筋力が落ちて転倒しやすくなる「サルコペニア」や、身体機能が衰える「フレイル(虚弱)」、さらには誤嚥性肺炎や感染症のリスクも高まります。
夏の食事が心配な方、低栄養を防ぎたい方は、こちらの記事で詳しい対策をチェックしてみましょう。
☞■フレイルやサルコペニア予防|高齢者が意識して食べるべき栄養素
以上、夏に特に気をつけたい食中毒、脱水症、熱中症予防、脳卒中、低栄養についての記事のご紹介でした。
高齢者の夏の健康管理は、命にかかわることもある大切なテーマです。それぞれの病気の症状や予防法を理解しておきましょう。
暑さに負けないためには、適切な水分補給と栄養バランスの取れた食生活、そして睡眠が大切です。
夏の寝苦しい夜は睡眠不足になリがちですが、睡眠は消耗した体力の回復に欠かせません。質の良い睡眠も心がけてくださいね。
(グッドライフシニア編集部 松尾)
■高齢者の水分摂取量の理想と現実!工夫して飲むコツ
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