高齢者に不足しがちな栄養素とは?
毎日の食事は元気と健康の源!栄養バランスのとれた食事は、日々の活力や、病気の予防・改善につながります。
高齢者は運動量が減少し、食欲も低下して食事量が減っていくことが一般的です。そのため、1日3食をきちんと食べていても、気づかないうちに栄養が不足してしまうことがあります。
また、食事の準備が億劫に感じられたり、買い物に行かなくなったりして、自宅に閉じこもりがちになり、食事に関する注意点やトラブルが増えることも考えられます。
特にたんぱく質やビタミンD、カルシウムなどの栄養素は不足しがちです。そのままにしておくと健康上のリスクをもたらす可能性があります。
高齢者に不足しがちな栄養素には以下のものがあります。
タンパク質
タンパク質は筋肉や臓器を作り、維持するための重要な栄養素のひとつです。加齢によって筋肉量が減少していく高齢者にとってタンパク質の不足は、寝たきりの原因でもある「フレイル」や「サルコペニア」を招く恐れがあります。
そのため65歳以上の方では、摂取エネルギー量の15~20%、体重1キロ当たり1グラム以上のたんぱく質を摂ることが推奨されています。
また、たんぱく質は免疫機能の維持や骨密度の維持にも非常に重要な栄養素です。
たんぱく質を多く含む食べ物には、豆類、肉類、魚介類、卵類、ナッツ類、ヨーグルトやチーズなどの乳製品などがあります。
ただし、高齢者は消化器官や吸収能力が低下している場合があるため、食事から十分なたんぱく質を摂取するのが難しい場合があります。その場合は、栄養補助食品やたんぱく質が豊富な食品を取り入れるなど、摂取量を補うようにしましょう。
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カルシウム
骨折や腰痛、寝たきりなどの原因になる骨粗しょう症。骨密度の低下が進む高齢者には、骨粗しょう症のリスクが高まっており、カルシウムは骨を強くするために必要な栄養素です。
牛乳や乳製品、豆腐や納豆、豆乳、魚介類や海藻類などに含まれています。
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ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムと一緒に骨を形成するために必要な栄養素であり、筋肉や免疫系の健康維持にも関与しています。主に魚介類、卵、キノコなどから摂るのがおすすめです。
また、ビタミンDは食品だけでなく、日光を浴びることでも生成されるのがポイント。日光の下での適度な運動や外出も、ビタミンD摂取の有効な手段と言えます。
鉄分
鉄分は、赤血球を作るために必要な栄養素であり、不足すると貧血の原因になります。高齢者は、年齢とともに鉄分の吸収が低下することがあるため、適度な摂取が大切です。
赤身肉、レバー、ひじき、納豆など鉄分を摂取するのにおすすめです。
ビタミンB12
ビタミンB12は神経の機能を正常に保つために必要な栄養素であり、血液の赤色をつくってくれている赤血球の生成にも重要な役割を持っています。ビタミンB12は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。
肉類、卵、乳製品など動物性食品に多く含まれています。
食物繊維
食物繊維は、私たちの消化器官で消化・吸収されずに腸内に届く栄養素です。主に水溶性と不溶性の2つのタイプに分類されます。これらの食物繊維は腸内で水分を吸収し、腸の運動を促進して便を軟らかくし、排便をスムーズにする助けになります。
多くの高齢者にとって便秘は男女共通の悩みでもあります。便秘予防や腸内環境の維持に必要な食物繊維は、野菜、果物、穀物などに多く含まれています。
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高齢者の食事には、特にタンパク質、カルシウム、ビタミンD、鉄分、ビタミンB12、および食物繊維などの栄養素が重要です。これらの栄養素は、高齢者の健康維持や病気の予防に貢献します。
食事の準備や食欲の低下による低栄養のリスクに注意しながら、バランスのとれた食事を心掛けましょう。毎日の食事は元気と健康の源です!
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(グッドライフシニア編集部 松尾)
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