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ロコモ、サルコペニア、フレイルの違いってなに?予防で大切なこと|まとめ

フレイル

高齢者が気をつけたいロコモ、サルコペニア、フレイル

高齢者にとって、健康寿命を高め生活の質(QOL)を向上するためには、生活機能(歩行や移動、食事や排泄などの身体動作)や心身機能(手足の動きや視覚、聴覚、内臓の働きなど)の低下を発見し早期から予防することが大切です。

近年、「ロコモティブシンドローム」、「サルコペニア」、「フレイル」という言葉を耳にするようになりましたが、それぞれ共通することは、高齢者が要介護状態や寝たきりになりやすい状態にあるということです。

この3つの疾患概念は共通する点が多いため混同されやすいので、その違いや予防するために気をつけたいポイントについて解説していきたいと思います。

 

要介護の大きな要因となる3つの運動器疾患

ロコモティブシンドローム(ロコモ)、サルコペニア、フレイルは、いずれも運動器に深いかかわりのある疾患です。

運動器とは、関節や筋肉、骨など、体の動作のために必要な器官をまとめた総称をいいます。

大きな特徴
・ロコモ:(全年齢)運動器の機能低下による移動能力の低下
・サルコペニア:(高齢者)筋肉量の減少に加え、筋力の減少や歩行速度の低下
・フレイル:(高齢者)心身の活力が低下し、要介護状態になるリスクが高まっている状態

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、要支援・要介護状態になった原因疾患のうち、「骨折・転倒」「関節疾患」「脊髄損傷」といった運動器疾患が占める割合は、およそ25%となっています。

つまり、約4人に1人が、運動器疾患が原因で介護が必要な状態になってしまっているということです。

サルコペニアやロコモ、フレイルを予防することが、介護予防に重要なことがおわかりいただけると思います。
 

運動器に障害が生じるロコモとは?

ロコモ

ロコモとは、骨、筋肉、関節、神経などの運動器の機能低下により、立ったり歩いたりといった移動能力が低下した状態をいいます。

サルコペニアが、筋肉量の減少によって起こるのに対して、ロコモは、骨折などの骨を原因としたものや、変形性膝関節症などの関節を原因としたものなども指します。

つまり、サルコペニアは、ロコモの原因のひとつに含まれるのです。

なお、ロコモの対象は、高齢者だけでなく、若い人も含むのが特徴です。

ロコモの詳しい記事はこちらをご覧ください。
寝たきり・要介護に繋がる「ロコモティブシンドローム」
 

筋肉量が減少してしまうサルコペニアとは?

高齢者サルコペニア
サルコペニアとは、筋肉量の減少に加え、筋力の低下と歩行速度の低下のいずれかもしくは両方にあてはまる状態のことをいいます。痩せていても肥満!?実はサルコペニア肥満の可能性あり

サルコペニアかどうかを調べる方法に「指輪っかテスト」というものが考案されています。

まず親指と人差し指で輪っかを作ります。その指輪っかで、ふくらはぎの一番太い部分を囲ってみます。「囲めない」「ちょうど囲める」「隙間ができる」の順番で、サルコペニアの危険度が高くなります。

また、見た目は普通でも筋肉量が減り、肥満している状態をサルコペニア肥満と呼び、これは隠れ肥満の状態です。

サルコペニアの詳しい記事はこちらをご覧ください。
痩せているのに肥満!?実はサルコペニア肥満の可能性あり
サルコペニアを予防する食事のポイントを管理栄養士が解説

虚弱している状態のフレイルとは?

フレイル
フレイルとは、「虚弱」を意味し、加齢に伴い、心身の活力が低下し、要介護状態になる危険性が高くなった 健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態をいいます。

①体重の減少、②歩行速度の低下、③握力の低下、④疲れやすい、⑤日常生活における活動量の減少のうち、3項目以上あてはまればフレイルとみなされます。

フレイルは、筋肉や運動器だけでなく、高齢者に生じる虚弱を広い角度からとらえた言葉です。

ロコモやサルコペニアの影響を大きく受ける身体的フレイルのほか、精神心理的フレイル(認知症やうつ病など)、社会的フレイル(閉じこもりなど)があります。

フレイルの詳しい記事はこちらをご覧ください。
体力が最近落ちてきた。それ、フレイルかもしれませんよ?

予防で大切なことは運動と食事

高齢者運動

3つとも、適切に対応することで、健康な状態に戻る可能性は十分あるという大切な段階です。共通して言えるのは、食事と運動の見直しが必要なことです。

食事は、筋肉づくりに欠かせないたんぱく質を積極的に取りましょう。肉や魚、卵、大豆、乳製品などに多く含まれています。

運動は、有酸素運動とレジスタンス運動(筋肉に負荷をかける動作を繰り返す運動)を組み合わせることが有効です。

新型コロナウイルスの影響で、運動不足の人が増えています。不安の多い日々ですが、収束後に、元気な自分で行きたい場所に出かけたり、会いたい人に会ったりできるよう、今できることを考えておきましょう。

それによって、今の生活の質(QOL)も高めることができるはずです。

「密」を避けたウォーキング(有酸素運動)や、スクワット(レジスタンス運動)といった家でできる運動など、ご自分の状態に合わせて取り入れていきましょう。

筆者:河田幸奈
会社勤務を経て、高齢者分野を中心に活動するフリーライター。「高齢者ご本人やそのご家族、そして介護職が、自分の人生を大切にできる社会」について考え中。保有資格は社会福祉士。

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