65歳以上のシニア世代が年々増加ている日本では、高齢者介護のあり方が大きな課題となっています。
介護になる原因の第1位が認知症、第2位が脳血管疾患(脳卒中)、第3位高齢による衰弱となっています。
そこで、健康寿命を高めるためにも「介護が必要となる原因」「要介護・要支援の現実」「元気でいるための予防策」について詳しくご紹介します。
これらの病気を知り、予防策を把握し要介護にならないよう生活を工夫することが大切です。
1.介護が必要となる主な原因
2.要介護者、要支援者、それぞれにおける原因の特徴
3.人ごとではない要介護・要支援の現実
4.要介護の原因となる上位3位と予防策
5.”介護されない未来”のために今からできること
介護が必要となる主な原因
超高齢社会に突入し、平均寿命が伸び続ける日本。人生100年時代がすぐそこまで来ています。元気に、そして安心・安全に100歳まで暮らせる社会が実現すればとても嬉しいことですが、健康の維持ができずに介護が必要となってしまうケースが非常に多いのが現実。
高齢者やそのご家族の不安が大きくなりつつある今、まずは、現状を把握することが大切でしょう。
厚生労働省の資料【平成28年 国民生活基礎調査の概況】に掲載された、介護状況の調査結果を見てみましょう。
調査結果によると、要介護者と要支援者を合わせた総数においては、介護の原因第1位が「認知症」18.0%、第2位「脳血管疾患(脳卒中)」16.6%、 第3位「高齢による衰弱」13.3%となっています。
要介護者、要支援者、それぞれにおける原因の特徴
要介護者の第1位から第3位までの結果は、総数の結果と同じ順位となり、認知症と脳血管疾患(脳卒中)の割合(%)はそれぞれ24.8%、18.4%と総数を上回る結果になりました。いずれも重い介護度になる危険性の高い疾患であるといえます。
詳細を見てみると、要介護1から要介護4までの全てにおいて認知症が第1位となっているのが特に目立ち、要支援者の中に認知症はありません。
認知症の人は身体が元気なので軽度なうちは自立も可能。様子を見守る程度で生活が成り立ちますが、症状が進行してしまうと目を離すことができないほど深刻な状態になることを表しているように見えます。
次に多いのが脳血管疾患(脳卒中)と高齢による衰弱。これらは、要介護者だけでなく要支援者にも見られ、脳血管疾患は、後遺症の程度により支援と介護の重さが分かれることが予想できます。
また、高齢による衰弱は、年を重ねるごとに自身でできることが徐々に少なくなっていき、要支援から要介護へと少しずつ重い状態になっていくことがわかります。
その他の原因としては、要支援に多い骨折・転倒、関節疾患があり、これらについても注意すべきといえるでしょう。
人ごとではない要介護・要支援の現実
平成30年版高齢社会白書(概要版)によると、介護保険制度における要介護、もしくは要支援の認定を受けた人は、平成27(2015)年度末で606.8万人となっており、年々増加しています。
同年の65歳以上の人口は、3384万人。つまり、65歳以上の約18%、約6人に1人が要介護・要支援の状態であるといえます。
この数字は、決して人ごととは言えない数字であり、ある日突然、自身が要介護状態になってもおかしくないことを示しています。
要介護の原因となる上位3位と予防策
要介護の原因となる1位の認知症、2位の脳血管疾患(脳卒中)、3位の高齢による衰弱は、原因や症状、進行度も異なるため介護度の重さも介護が開始される時期もさまざま。
これらの特徴と予防策を把握し、要介護にならないよう生活を工夫しましょう。以下の表を参考にしてください。
疾患 | 第1位 認知症 |
---|---|
発症 時期 |
・40、50代から始まる人も ・おもに65歳以上に多い |
原因 | ・脳の神経細胞の脱落、変性など ・糖尿病や脳血管障害から発症することもある |
進行度 | ・少しずつ進行する |
病状の 特徴 |
・体験したことを部分的ではなく全て忘れてしまう ・自覚症状がない |
日常 生活 |
・徘徊するようになる ・意思疎通ができなくなる ・進行すると支障が大きい |
治療& 注意点 |
・認知症のタイプにより異なり、薬物治療と非薬物療法がある |
予防策 | ・食生活を見直す(塩分を減らしタンパク質を摂る) ・他人との交流をはかる ・運動する ・知的作業を取り入れる |
疾患 | 第2位 脳血管疾患(脳卒中) |
---|---|
発症 時期 |
・基本的に前触れがなく突然起こる |
原因 | ・高血圧、糖尿病 ・脂質異常症 ・喫煙 ・睡眠不足 ・ストレス |
進行度 | ・突然現れることが多い ・急激に進行する |
病状の 特徴 |
・脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があり、それぞれ異なる ・片側の手足や顔面の麻痺、ろれつが回らない、歩けない、頭痛・嘔吐などの症状が出たら救急車で病院に行く |
日常 生活 |
・寝たきり原因の第1位 ・半身麻痺、言語障害など |
治療& 注意点 |
・発症後、3時間から6時間以内に初期治療を受ける ・リハビリ |
予防策 | ・高血圧、糖尿病などの治療 ・不整脈の治療 ・禁煙、アルコールの軽減 ・塩分・脂肪分を減らす ・運動する ・太りすぎない |
疾患 | 第3位 高齢による衰弱 |
---|---|
発症 時期 |
・おもに75歳以上から徐々に始まる |
原因 | ・老化による身体機能の低下 ・疲労感、筋力の低下、体重の減少など ・最近はフレイル(虚弱)とも呼ばれている |
進行度 | ・少しずつ進行する |
病状の 特徴 |
・徐々に歩けなくなり、自分でできることが少なくなる ・進行すると寝たきりになる |
日常 生活 |
・衰弱が進むと、食事、トイレの介助が必要 |
治療& 注意点 |
・身体活動量の減少や食欲の低下に気をつける |
予防策 | ・食事の摂取量が落ちないようにする ・タンパク質、必須アミノ酸を摂るようにし、栄養バランスを考える ・運動をする |
“介護されない未来”のために今からできること
家族に迷惑をかけずにいつまでも健康に過ごしたい…。
誰もが老後の生活について、このように考えていることでしょう。そのためには、病気にならないよう、健康な身体づくりを意識することが大切です。
介護の原因となる認知症、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節痛などいずれの原因にも共通する点は、食生活と運動。
バランスのよい食事を毎日3食きちんと摂り、適度に身体を動かし鍛えることで、病気にならない身体づくりが実現!さらに、脳も鍛えれば認知症予防対策にもなります。
「でも、ひとりでは栄養バランスのよい食事づくりや運動が難しい」という方には、サ高住や高齢者向け賃貸住宅がおすすめです。食事のサービスを受けたり、仲間と一緒に身体を鍛えたりすることもできるので、楽しく健康的に老後を過ごすためのひとつの方法といえるでしょう。
子どもの世話にならずに自由に元気に過ごしていくために、今からできる予防対策をがんばってみませんか?
(文:グッドライフシニア編集部 ライター大野 道代)
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