「まだまだ働きたい」「年金だけじゃ不安」——そんな声が、60代・70代の方から増えています。実際、65歳以上の4人に1人が働く時代。
でも、「この年齢でどんな仕事があるの?」「体力に自信がなくても大丈夫?」と、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、シニアに多い定番の職種から、未経験OK・短時間勤務ができる仕事、さらに求人の探し方まで、60代・70代が安心して働ける情報をわかりやすくご紹介します。
最新統計で見る!65歳以上に多い仕事ランキング
定年後の仕事探しは、若い頃とは違った視点が必要です。体力や家庭環境、自分の希望する就業に合わせて無理のない方法で探すことが大切です。
では、実際にどのような仕事があるのでしょうか?
実際に多くのシニアがどんな仕事をしているのかを知ることは、自分に合った働き方を見つけるヒントになります。
最新の統計(2023〜2024年の総務省「労働力調査」や厚生労働省の資料)によると、65歳以上の就業者が多く働いている職種には、清掃・警備・ビルメンテナンス、小売・販売(スーパー・コンビニなど)、運輸・配送業(タクシードライバーや配達員)などが上位に挙がっています。
こうした職種は体力的な負担が比較的少なく、未経験でも始めやすいことから、シニアの再就職先として定番となっています。
とはいえ、現在ではシニア世代の働き方も多様化しており、子どもや地域と関わる仕事、在宅でできる仕事など、年齢にとらわれず活躍できる場が広がりつつあります。
2. 65歳から始める!シニアにおすすめの仕事
「定年後は清掃やスーパー、警備のような限られた仕事しかないのでは?」と思われがちですが、実際には65歳以上でも挑戦しやすい職種がたくさんありますよ。
ここでは、未経験OKや柔軟な勤務ができる仕事を中心にご紹介します。
学童スタッフ
放課後の子どもたちの安全を見守りながら、宿題をサポートしたり、おやつの準備や提供、外遊びや室内遊びの見守りなど多岐にわたります。
特別な資格は必要ないことが多く、子育て経験がある方や未経験の方も歓迎されることが多いため、シニア世代や主婦層にも人気のある職種です。子どもたちとふれあいながら、その成長を身近に感じられるやりがいのある仕事です。
学童スタッフの仕事は、住んでいる地域の近くで求人が出ていることも多く、自宅から通いやすい点も大きなメリットです。勤務時間は基本的に「学校が終わったあとの放課後(14時〜18時ごろ)」が中心。朝が早すぎることも、夜遅くまで働く必要もないため、心身への負担が少なく、日常生活と両立しやすい働き方です。
また、将来的に専門性を高めたい方には「放課後児童支援員」の資格取得という道もあります。これは、一定の実務経験を積んだ上で所定の研修を受講することで取得できるもので、教師・看護師・保育士・社会福祉士などの有資格者は、受講要件を満たしやすくなっています。
保育補助
保育園で保育士をサポートする「保育補助」の仕事も、シニア世代に向いているお仕事のひとつです。園児のお世話や遊びの見守り、食事の手伝いなどを担当し、特別な資格は必須ではなく、子どもたちの笑顔に囲まれながら活躍できます。
筆者の娘の幼稚園にいた保育補助のベテラン女性は、「おばあちゃん先生」と親しまれ、絵本の読み聞かせの時間にはいつも笑顔があふれていました。子どもたちの小さな成長を、自分のことのように喜んでくれる温かい存在でした。
小さな子どもたちとのふれあいは心を和ませてくれるだけでなく、ご自身の元気の源にもなります。まるでお孫さんと過ごすような気持ちで働けるので、「子どもと接するのが好き」という方にはぴったりの職種です。
介護の仕事
介護の分野は年齢制限がないので、シニア世代からのスタートも歓迎されています。特に介護補助や訪問介護は、未経験の方でも挑戦しやすく、ライフスタイルに合わせて週に数日、短時間から働くことも可能です。利用者と年齢が近いことから、自然な寄り添いができるのも大きな強みです。
また、これから学びたいという方には「介護職員初任者研修」などの入門講座もおすすめです。通信と通学を組み合わせた無理のないスタイルで学べるスクールも増えており、体力や生活リズムに合わせて学習できる環境が整っています。
家庭教師・シニア向け講師
長年の教員経験をお持ちの方や、得意な分野・趣味・特技がある方には、家庭教師や講師としての活躍の場も広がっています。子どもたちへの学習支援では、知識だけでなく人生の先輩としてのアドバイスも喜ばれます。
また、シニア世代を対象とした講座では、経験談を交えながら教えることで受講者との交流が生まれ、自身の人生経験を共有する楽しさを感じられるはずです。「教える」ことは、自分自身の知識や考えを再確認する良い機会にもなります。
マンション管理人・受付
シニア世代に人気のある仕事のひとつが、マンションの管理人や受付スタッフです。主な勤務先は分譲マンションや賃貸マンションで、建物内の見回りや簡単な清掃、来訪者や業者の対応、共用設備の点検、簡易な書類の作成など、幅広い業務を担います。業務内容は多岐にわたりますが、いずれも自分のペースで取り組めるものが中心で、体力的な負担は比較的少なめです。
午前中のみの勤務や週2〜3日の勤務など、生活スタイルに合わせてシフトを組める職場も多く、定年後の再スタートとして選ばれることも増えています。特別な資格や経験が求められることは少なく、真面目にコツコツ取り組める方であれば未経験でも十分に活躍できます。
勤務先や管理会社によって業務の範囲に差があるため、事前に仕事内容をしっかり確認しておくことも大切です。
「地域の安心を支える存在」として人の役に立てる実感があり、年齢を重ねた今だからこそ活かせる落ち着きや丁寧さが強みとなる仕事ではないでしょうか。
観光ガイド・地域案内ボランティア
長年暮らしてきた地域の魅力を伝える「観光ガイド」や「地域案内ボランティア」としての活動も、やりがいのある仕事のひとつです。その土地ならではの歴史や文化、地元の人しか知らない名所など、暮らしのなかで培った知識を活かして、訪れる人々をもてなすことができます。
先日、筆者が旅先で出会ったシニア観光ガイドの方は、路地裏にひっそりとたたずむ蕎麦屋さんに連れて行ってくれました。創業から変わらないという出汁の香りと店主のおばあちゃんとの温かい会話は、ガイドブックには決して載っていない、その土地の日常に触れる貴重な経験でした。
「この街の魅力を伝えたい」「訪れる人を笑顔にしたい」という温かい気持ちを持つ方にとって、地域活性化に貢献できるこの役割は、きっと大きなやりがいになるでしょう。人との交流を楽しみながら、自分のペースで活動できるのも魅力です。
旅するように働く
最近では、定年後の新しいライフスタイルとして「旅をしながら働く」スタイルが注目を集めています。リゾート地や温泉地の宿泊施設、飲食店などで調理補助や接客の仕事をしながら、滞在先での暮らしも楽しめるという働き方です。
現地までの交通費は自己負担になる場合もありますが、寮や宿泊施設が無料で提供されることが多く、生活費を抑えつつ働ける点が魅力です。旅行が好きな方、いつもと違う環境で新鮮な経験をしたい方にぴったりの仕事といえます。
短時間・未経験OK!身近で始めやすい仕事
シニアに人気の定番職種には、未経験でも始めやすく、体力的な負担も少ない仕事が多数あります。
たとえば、ビルや病院での清掃スタッフは、朝の短時間勤務が多く、体を動かしながら働ける仕事です。黙々と作業に取り組むのが好きな方に向いています。
スーパーやドラッグストアのレジ・品出しは、近所で働けることが多く、扶養内勤務や週2〜3日からでも歓迎されるケースが多くあります。人と接するのが好きな方におすすめです。
商品の仕分け・ピッキングは倉庫内での軽作業で、接客が苦手な方でも始めやすく、シンプルな作業をコツコツ続けたい方に向いています。
また、コールセンターの受電業務も近年シニアの採用が進んでいる職種です。マニュアルに沿った対応が基本で、事務的なやり取りが中心のため、丁寧に話せる方には適しています。
さらに、在宅ワーク(データ入力・簡単なライティング・ネット販売など)であれば、自分のペースで働くことができ、通勤の必要もありません。パソコンやスマートフォンの操作に慣れていれば、60代以降でも十分に活躍できます。
このように、体力や経験に応じて無理なく続けられる仕事は意外と多くあります。「自分にもできそう」と思える仕事から、少しずつチャレンジしてみるのがおすすめです。
3. 60代・70代シニア向け|定年後の仕事の探し方
①公的機関を活用する
ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークには「生涯現役支援窓口」や「高齢者専門相談員」が設置されており、60歳以上の求職者を対象にした支援があります。
希望する職種や働き方、体力面などに配慮して紹介してもらえるため、はじめての方にも安心です。
シルバー人材センター
各市区町村に設置されている公益的な団体で、軽作業や短時間勤務など、体への負担が少ない仕事を中心に紹介しています。報酬は月数万円程度のことが多いですが、「地域とのつながり」や「社会参加」を求める方にぴったりです。
②求人サイトやアプリで「シニア歓迎」求人を探す
最近では、民間の求人サイトでも「シニア歓迎」「60代以上活躍中」などの絞り込み検索が可能です。スマートフォンやパソコンを使えば、自宅で手軽に探せます。
代表的なサイトには以下があります。
- タウンワーク・バイトル(60代向け特集あり)
- しゅふJOBパート(柔軟な時間帯で働ける仕事が多い)
- マイナビミドルシニア(中高年専門)
シニア向けの案件には、未経験OKや資格不要の仕事も多く掲載されています。会員登録すると、希望に合った求人がメールで届くサービスもあるので活用すると便利です。
③地域のつながりを活かす
近所の人や自治体、通っている施設などからの紹介も、シニアの仕事探しでは有力な手段です。たとえば、以下のようなケースがあります。
- 地域の掲示板や回覧板に出ている求人
- 地元のスーパーやクリニックなどの張り紙求人
- 行きつけの施設(ジム・病院・集会所)からの声かけ
「身近なところで少し働きたい」という方は、まずは地域のつながりから探してみるのもおすすめです。
④自治体やNPOの就業支援イベントに参加する
地方自治体やシニア向け団体では、次のようなイベントを定期開催しています。
- 高齢者向け就職説明会
- セカンドキャリアセミナー
- シニア応援フェア
企業の担当者と直接話せるため、年齢に理解のある企業と出会えるチャンスが期待できます。地元自治体のホームページや広報誌を定期的にチェックしておくことをおすすめします。
まとめ
定年後の働き方は、「年金だけじゃ不安」という理由だけでなく、「社会と関わり続けたい」「まだ誰かの役に立ちたい」という思いから選ぶ方も増えています。
体力や生活リズム、家族との時間など、自分のペースに合わせて働ける選択肢はたくさんあります。
大切なのは、これまでの経験や人柄を活かして、自分らしく働ける場を見つけること。
無理なく、楽しみながら続けられる仕事との出会いが、これからの毎日をもっと豊かにしてくれるはずです。
ぜひ今回の記事を参考に、自分に合った「セカンドキャリア」の一歩を踏み出してみてください。
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■定年後の働き方を見つけよう!60代・70代に人気の職種&仕事探しのヒント
◆参考文献:厚生労働省「職業情報提供サイト」

ホテル、人材業界での勤務を経て、出産を期にWEBライターとして活動を開始。
大手ライフメディアサイト、女性向けグルメニュースサイトなどで食・暮らし関連の
記事を執筆中。両親ともに元気ですが、将来に備えて介護について学んでいます。
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