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自分で求めてつくる時代!高齢者の地域でのつながりづくり

地域コミュニティ

「お元気そうね」「いつもありがとう」「最近どう?」。
ご近所さんと交わすこんな些細な会話でも、「また頑張ろう」と明るい気持ちになれたことがある人も多いのではないでしょうか。

子どもの独立や退職など、これまでの社会から離れる段階を迎える高齢期においては、もっとも身近である地域とのつながりづくりがとても大切になってきます。

そこで今回は、地域における高齢者のつながりづくりの方法、そして高齢者がつながりを持ちながら自分らしく暮らすためのポイントについて考えます。

 

高齢者の孤立を防ぐ地域づくりが進められている

「つながりなんていらない」。そう言う人もいるかもしれません。人間の欲求を5つに分け、それらの欲求が出現する順位を示した「欲求段階説」というものがあります。心理学だけでなく、マーケティングなど様々な分野で活用されているものです。

そこでは、食事や睡眠などの生きていくうえで欠かせない生理的欲求をベースに、2番目に安全と安心の欲求、そして3番目につながりの欲求が位置付けられています。続いて、他者から尊敬されたいといった承認欲求、自分がもつ能力を発揮したいといった自己実現欲求がつづきます。

つまり、人が人とのつながりを求めるのは、安全・安心を求めることの次に位置する、人間として自然な欲求だというわけです。

しかし今、特に高齢者にとっては、つながりをつくるのが難しい時代となっています。核家族化や少子化により、一人暮らしや夫婦だけの高齢者世帯が増えています。昔は家族や親族が媒介となり、自然につくられていた地域でのつながりが希薄になっているのです。つまり、自ら求めて動かないとつながりができない時代になっているというわけです。

こうした状況に対し、行政や民間団体などが、地域の中につながりづくりの場をつくるために奮闘しています。最近では、行政などの支援を受けながら、地域住民が主体となってつながりの場をつくる試みも全国で少しずつ広がっています。

ただ、「場」ができても「人」が集まらなければ、意味がありません。つながりづくりの現場からも「こうした場をつくっても、つながりを自分で求めて動くことの必要に気付いてもらわなければ意味がない」という課題を挙げる声が多く聞かれます。
 

地域のなかに小さなつながりをたくさんつくるということ

ゲートボール地域でつながりをつくる際に、大切なことは「小さなつながりをたくさんもつ」ことだと思います。子育てや障害など、福祉支援の分野でも、近年大切にされている考え方です。

つながり先が一極集中だと、相手に多くを求め、相手からも多くも求められがちになり、お互いに息苦しさを感じやすくなってしまいます。

反対に、たくさんのつながりがあると、ひとつのつながりでうまくいかなくても、ほかに自分の居心地の良いつながりがあるという安心感もあるでしょう。結果的に、それぞれのつながりを気持ちの良い距離感で大切にできます。

したがって、「このグループで頑張らなくては」などと力む必要はありません。気軽に、いろいろな場所でのつながりを持つことが大切なのです。

先ほどお伝えした行政などが提供するつながりづくりの場のほか、ご自身の興味のあるボランティアや趣味の場に参加するのも楽しそうですね。ボランティア探しは、インターネットのほか、市区町村社会福祉協議会のボランティア・市民活動センターを利用する方法もあります。

また、行きつけのお店の店員さんと会話することも大切なつながりのひとつだと思います。

常連客が最近来ないことを心配した銭湯のご主人が行政に相談したことで、部屋で寝込んでいるところを発見されたというエピソードを聞いたことがあります。それぞれ自分に合った方法でチャレンジしてみましょう。
 

元気な高齢者が増えている!ネガティブな高齢者像にとらわれない

シニア向け住宅さらに、高齢者がつながりづくりで大切にしてほしいことに、ネガティブな高齢者像にとらわれないことがあります。

「アクティブシニア」という言葉は、ご存知でしょうか。明確な定義はありませんが、元気で意欲にあふれ、豊かな経験と知恵を持っている高齢者を指す新しい言葉です。こんな言葉が生まれるほど、今の「高齢者」には元気な人も増えていますし、生き方も多様化しています。

実際、少し古いデータですが、1992年と2002年の高齢者の歩行速度を比較した「日本人高齢者における身体機能の断片的・横断的変化に関する研究(鈴木隆雄)」があり、そこでは男女とも10年間で11歳若返っていると報告されています。例えば、今75歳の高齢者は昔の64歳と同じ身体能力を有しているということです。

「少子高齢化」というと、マイナスなイメージが思い浮かぶ人も多いかもしれません。しかし見方を変えれば、高齢者が増えるということは、日本にたくさんの知恵やノウハウが蓄積されるともいえます。

人は、不安だと、ネガティブな情報に影響されやすくなります。従来のネガティブな高齢者のイメージにとらわれて自分からうちにこもらず、さまざまな世代とつながりをつくってほしいと思います。
 

サ高住やシニア向け賃貸でのつながりづくりもおすすめ

介護が必要になって、老人ホームなどの施設に入居するようになった場合、せっかくつくった地域でのつながりが途絶えてしまう可能性があります。

そこで、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やシニア向け賃貸に、元気なうちから住み移ることもひとつの方法です。サ高住やシニア向け賃貸は、「外出が自由」など、老人ホームなどと比べて生活の自由度が高く、これらの住宅に住みながら住民や地域の人たちともつながりづくりをしやすいからです。

自分がつながりを求めて動くということは、そこで出会った人たちに「あなた」という新たなつながりを提供することにもなります。無理をしないで少しずつ、自分らしい地域でのつながりづくりにチャレンジしてみてください。

筆者:河田幸奈
会社勤務を経て、高齢者分野を中心に活動するフリーライター。「高齢者ご本人やそのご家族、そして介護職が、自分の人生を大切にできる社会」について考え中。保有資格は社会福祉士。

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