東京で暮らす子どもが田舎に住む親を自分の近くに呼び寄せる「呼び寄せ」のケースが増えています。その場合、「同居」をするか近くに住んで「近居」をするかを選択しなければなりません。
地方から首都圏への「元気な親の呼び寄せ」と「介護が必要な親の呼び寄せ」。介護が必要な場合には、「在宅介護」にするか「施設介護」にするのか?それぞれの事情と成功のポイントについてお伝えします。
親の呼び寄せ事情
核家族化が進み親だけが暮らす世帯が増加していますが、それに伴い増えているのが地方から首都圏への『親の呼び寄せ』。
親が遠方に住んでいると、いざという時に子どもは駆けつけることができませんが、自分のそばに呼び寄せれば安心して暮らすことができます。
首都圏に住む40代、50代の4割が地方出身者というデータがありますが、その中で、家庭や仕事を持つ子どもが親の住む地元に戻るケースはごくわずか。親に都会に出てきてもらう方が圧倒的に多いのです。
以下の総務省の「住民基本台帳人口移動報告」の東京圏の転入超過数(年齢5歳階級別)をみると、転入超過数は20~24歳が最も多く(7万5103人)、次いで15~19歳(2万6665人)、25~29歳(2万5625人)と、若い世代が圧倒的に多いの対し、0~4歳及び55~74歳の5区分は5年連続の転出超過となっています。
「75~90歳以上の高齢者」を見てみると、5年連続超過状態であることがわかり、体力的に一人暮らしが心配になってきた親を東京に呼び寄せる子世代が多いことがわかります。
参考:総務省 住民基本台帳人口移動報告
介護が必要な親の呼び寄せ
親が70~80歳以上の高齢で既に介護が必要な場合や、要支援状態など近い将来介護が必要になる場合の同居では、デイサービスなどを利用しながら在宅介護をすることになります。
もしくは、家族が通えるところにある「介護付き有料老人ホーム」「特養」「サ高住」に入居する、という方法が考えられます。
■【在宅介護か?施設介護か?】あなたはどちらを選択しますか
「同居」で親を介護する特徴
そばで親の面倒を見ることができ、常にコミュニケーションをとることができますが、必ずしもうまくいくとは限りません。介護は体力や神経を消耗するもの。それが毎日続くことで介護者の大きなストレスとなってしまい、限界がきてしまう可能性も…。
介護する側もされる側も「こんなはずではなかった」という状態に陥ったときに、解決策を見出すのが難しいケースといえるかもしれません。
「介護付き有料老人ホーム」入居の特徴
介護のプロが親の面倒を24時間見てくれるので、介護度が高い高齢者におすすめです。ただし、集団生活が苦手な方にとっては、ストレスを抱えるリスクにつながります。また、入居するまでに時間がかかるケースが比較的多いといえます。
■有料老人ホーム(介護付き・住宅型・健康型)とは?
「特別養護老人ホーム(特養)」入居の特徴
要介護3以上、もしくは認知症を患っている場合は、介護保険を利用して特別養護老人ホーム(特養)の入居申し込みをすることができます。
■特別養護老人ホーム(特養)とは?
しかし、社会福祉法人や地方自治体などにより運営される公的な介護施設で費用が費用負担が少なくすむため希望する人が多く、待機期間が長く1年から数年までかかることがあります。
介護保険を利用できる施設には、特養、老健、介護医療院の以下の3つがあります。それぞれ入居条件が違うため利用を考える場合はご注意ください。
■介護保険が使える「特養・老健・介護医療院」の違いを知って施設選択をスムーズに
「サ高住」入居の特徴
安否確認サービスが必須となっているサ高住は賃貸借契約での入居となるので、誰にも気をつかうことなく生活することができます。
24時間体制ではありませんが掃除や食事サービス、買い物代行などの生活支援サービスを受けることも可能なので、比較的介護度が低い方に向いています。
また、外部の人の出入りに制限がないため、家族が様子を見に行くことも可能。家の近くのサ高住に入居することができれば、お互いが気を使うことなく、ほどよい距離を保ちながら親の面倒をみるという方法が実現します。
食堂があり、必要に応じて予約をすれば食事をすることもできます。
■サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
では、元気な親の呼び寄せに関してはどのように考えたら良いのでしょうか?
■次のページでご紹介します。
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