舌の動きとフレイルの関係
フレイルとは、英語で「Frailty(虚弱)」のことを意味し、健康な状態から要介護の状態に移行する中間の段階のことです。加齢によって心身が衰え、軽度の認知障害や社会とのつながりが減少した状態のことをいいます。
今日ご紹介するのは、このフレイルと舌の動きの衰えが関係するというお話です。
岡山大学病院の歯科・予防歯科部門の研究グループが、2 年後に健康のままだった人とフレイルになった人とに、どのような違いがあるか様々なことを分析したところ、2 年後にフレイルになった人はすでに舌の動きが衰えていることが分かりました。
これは60 歳以上の患者を対象にフレイル評価を行い、健康だった人を 2 年間追跡した調査結果です。
また、「タ」の 1 秒間に発音できる回数が少ない人は 2 年後にフレイルになりやすいことを明らかにしました。
どうやら舌の動きが衰えると、コミュニケーション障害や栄養不足を介してフレイルに影響する可能性があるようです。
身体の健康とお口の健康はつながっています!元気な身体で楽しい人生を過ごすためにも、むし歯や歯周病といった病気に注目するばかりでなく、お口の機能の面も大事にしていただきたいです。
話をしたり、食べ物を噛んだり、飲み込んだりするための口腔機能の衰えは、早期の老化サインを知る重要な手掛かりにもなります。
舌の動きは訓練すると維持・改善できるといわれています。舌の動きをスムーズにする体操や、飲み込むパワー(嚥下機能)をつける体操など、適切な口腔ケアを行い、フレイルを予防・改善していきましょう。
口腔体操については、日本医師会「オーラルフレイル対策のための口腔体操」を参考にしてください。
また、フレイルの予防としては、適度な運動や栄養をつけることが大切です。フレイルについての詳しい記事はこちらをご覧ください。
フレイルは「虚弱」や「老衰」を意味するfrailtyに由来し、心身の活力が低下した状態のことを指し、80歳以上では約3人に1人がフレイルになっていると報告されています。
■体力が最近落ちてきた。それ、フレイルかもしれませんよ?
(グッドライフシニア編集部 松尾)
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