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「特養・老健・介護医療院」の違いを知って施設選択をスムーズに!

介護施設

「家で暮らし続けることが不安」「介護を続ける自信がない」。そんなときに選択肢のひとつとして考えるのが、施設の利用です。

介護保険で利用できる施設には、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」介護医療院がありますが、希望したとしても誰もが利用できる施設ではありません。

それぞれがどのような施設なのか、3つの施設についてその特徴の傾向や違いを解説します。

 

1.介護保険施設とは?

自治体や社会福祉法人などが運営する介護保険施設」には、特別養護老人ホーム(通称「特養」)、介護老人保健施設(通称「老健」)、介護医療院(介護療養型医療施設)の3種類があります

介護保険施設は、その価格の低さから人気となっています。しかし、1番人気の「特養」は、全国に29万人もの待機者がいるといわれており要介護3以上の人しか入居できません

要介護3というと自力で立ち上がることや歩くことが難しく、認知症の症状が見られる場合があるなど、日常生活に介護が必要な状態です。

また、退院後のリハビリを得意とする「老健」の場合はリハビリテーションを必要とする要介護1以上の人を受け入れており、平均在所日数は1年未満とされています。

そして、最近できたばかりの介護医療院」は、療養病床をもつ病院をいいます。65歳以上もしくは40歳以上で特定疾患などがあり、要介護認定を受けている人が療養する生活施設です。
 
介護保険施設の入所対象者とサービスの傾向

特養 老健 介護医療院
おもな運営主体 社会福祉法人 医療法人 医療法人
入所対象者 要介護3~5(原則) 要介護1~5 要介護1~5
入居一時金 不要
費用の目安 7~13万円 8~14万円 9~15万円
レクリエーションやイベント
認知症
リハビリ
医療
看取り

 
「施設の利用はまだ先」と考える人も、いざそうなったときにあわてないよう、この3つの違いについて理解しておくことが大切です。

それでは、それぞれの違いについて、さらに詳しくご説明していきましょう。
 

特養の特徴とは?

生活の場として長期間滞在が可能

特養は、全国に8,097ある施設(2018年10月時点)のうち、9割以上が社会福祉法人によって運営されており、残りは自治体などに運営されています。

特養は、身体介護や生活援助が提供され、入所すれば基本的に終身利用ことを前提とした施設です

生活の場となるため、日々のレクリエーションや季節のイベントについては、3施設のなかで最も充実しています。

また最近では、入所者の最期を看取る「看取り介護」を行う施設も増えています。

2006年に、特養における「看取り介護加算」という、一定基準以上の看取りを行うことで介護報酬がプラスされるようになったことが背景にあります。

「やっと施設での最期を国が認めてくれた・・・」
当時、看取り介護加算について話してくれた介護関係者の言葉が印象に残っています。

看取りを行う特養に取材に行くと、医療との連携、研修や看取りを行った職員に対する心のケアなど、葛藤や試行錯誤を繰り返しながら、入所者の住み慣れた場所での最期を支えていました。

このように特養は、最期まで介護を受けられる、費用が比較的安いといった理由から非常に人気が高くなっています。

しかし、入所は先着順ではありません。要介護度や頼れる身内が近くにいないといった介護者の状況などからなるポイント制で、緊急性が高いと判断された人から優先されます

また、2015年4月から、対象者が原則、要介護3以上に引き上げられました。要介護3とは、日常生活全般に介助が必要な状態で、認知症の症状もみられるといった状態をいいます。

このため、特養では入所者の重度化が進んでいる状況です。
 

3.老健の特徴とは?

在宅復帰を目指す人には最適

老健は、病院と自宅との橋渡し役としてつくられた、在宅復帰を目指す施設です。

理学療法士や作業療法士などのリハビリの専門職が手厚く配置されており、医学的な管理のもと、充実したリハビリを受けることができます 。

対象となるのは、病状が比較的安定して入院の必要のない、リハビリテーションを必要とする要介護1以上の人となります

入所期間は、原則3ケ月ですが、必要だと認められれば延長できます。平均在所日数は、10か月ほどとなっています。

全国の施設数は、4,335(2018年10月時点)。その7割以上が医療法人によって運営されており、次に多いのが社会福祉法人となっています。

平均在所日数(2016年9月)

特養 1284.5日
老健 299.9日
介護療養型医療施設 491.6日

(厚生労働省「平成29年 介護サービス施設・事業所調査」より)
 

介護医療院の特徴とは?

介護療養型医療施設の反省点

療養病床とは、入院患者用のベッドの分類のひとつで、医療保険で利用する「医療療養病床」と介護保険で利用する「介護療養病床」に分けられます

医療の必要性が低い人は、介護療養病床で病院での生活をつづけることになります

介護療養型医療施設は、もともとは、「社会的入院」の解消を目指してつくられたものでした。

社会的入院とは、入院の必要のない患者が、退院後の行き先がないために長期間入院しつづけることをいい、社会問題となっていました。

しかし、医療療養病床と介護療養病床とのすみわけがうまくいかず、この試みは成功したとはいえないものでした。

そこで、介護療養病床を引き継ぐかたちで、介護医療院が2018年4月につくられたのです。介護療養型医療施設は、2024年3月末に廃止される予定です。

介護医療院は、長期にわたり療養が必要な要介護1以上の人を対象とした施設です。初めて名前をきいたという人も多いかもしれません。

充実した医療ケアのほか、日常の介護も受けられることに特徴があります。

「入院生活」から抜け出せなかった介護療養型医療施設への反省から、「生活の場」を提供することを意識して生まれた施設だからです。

ただ、介護医療院はまだうまれたばかりの制度であるため、介護療養型医療施設の反省点をしっかり活かせるかは、それぞれの施設の姿勢しだいだともいわれています。

その点を踏まえた施設選びが必要です。

喀痰吸引や経管栄養といった重度者への医療サービスも受けられるため、医療の必要度が高い人にはメリットの大きい施設といえるでしょう。

2019年12月末時点で、介護医療院の開設数は301施設となっています。その7割近くが介護療養病床からの転換となっています。
 

それぞれの気になる費用の違いは?

入居費用

3施設とも、入居一時金はかかりません。1ヶ月にかかる費用は「施設サービス費1~3割負担+居住費+食費+日常生活費」で計算できます。

例えば、特養を自己負担分1割・要介護5の人が多床室を利用した場合の目安は、施設サービス費の1割(約2,5000円)+居住費(約25,200円)+食費(約42,000円)+日常生活費(約10,000円)=約102,200円となります。

医療やリハビリ体制の充実度の違いから、特養よりも老健、老健よりも介護医療院と、若干施設サービス費が高くなっています。

1か月にかかる費用の目安

+ 食費 + 居住費 + 日常生活費

 
施設サービス費の自己負担分

特養 18,889~28,114円
老健 26,188~33,419円
介護医療院 27,303~45,279円

(東京23区で多床室を1割の自己負担で利用した場合)

施設サービス費は、要介護度と個室や4人部屋などの部屋のタイプによって変わります。
居住費は賃貸物件の場合の「家賃」にあたり、日常生活費は理美容代や被服費などのことをいいます。
居住費や食費は、入所者と施設との契約が原則ですが、所得の低い人に対しては、負担を軽くできる制度があります。
 

まとめ

病院からの在宅復帰を目指してリハビリを受けたい人には老健が、医療ニーズの高い人には介護医療院がおすすめといえます。ただし、両方とも要介護1以上が対象となっています。

そして1番人気の特養は、原則要介護3以上が対象で希望者も多いため、数年待ちの人もいる「狭き門」だということは、あらためておわかりいただいたと思います。

これら介護保険施設に入所できるまでの間、また、介護の必要度が低い方の住まいとして、有料老人ホームやサ高住などの民間の施設を利用する人も多くいらっしゃいます。

民間の場合は、介護保健施設のような待ち時間がなく入居できるのが特徴です。

まずは、数ある住まいの特徴の違いを知ることが、ご自分の状態や希望に合った最適な住まい探しへの基本となります。

筆者:河田幸奈
会社勤務を経て、高齢者分野を中心に活動するフリーライター。「高齢者ご本人やそのご家族、そして介護職が、自分の人生を大切にできる社会」について考え中。保有資格は社会福祉士。

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