人工的に作られたシニアのための街
アメリカ合衆国アリゾナ州マリコパ群(Maricopa County)にあるサンシティ (Sun City) は、1960年にアメリカの不動産会社デル・ウェブ社に開発され、砂漠のど真ん中に人為的に造られた街です。
リタイアメント(退職後)・コミュニティと呼ばれる住宅街で形成され、退職者が住みやすいように様々な工夫が凝らされています。
よって、入居者が年齢を55歳以上という厳しい年齢制限があり、そこに同居する者も19歳以上と決められ、未成年者は住むことができないという指定を長く守り続けています。
ここがシニアの楽園!?
住人の平均年齢は約73歳。American Community Surveyのデータによると、2017年の市内の世帯数は29,217世帯で、1世帯あたりの平均人数は1人。住宅所有者の空室率は2.8%で、家賃の平均値は月額1,022ドルです。
街は7つの円状の街区からなり、どの家からも1マイル(約1.6km)以内で中心にあるセンターに行くことが可能となっています。センターには医療施設、ショッピングモール、銀行、郵便局、娯楽施設などの生活に関するすべてが集まり高齢者にとっても道も分かりやすく便利ですよね。
市民のためのレクリエーションセンターには会員になれば利用できる、ゴルフコース、プール、フィットネスクラス、アートスクールなどもあり、同じ世代の仲間たちと余暇も楽しめるようになっています。
デル・ウェブ社はサンシティに続いて1970年代後半に「Sun City West」、1990年代後半に「Sun City Grand」、1999年に「Sun City Anthem」、そして2006年7月に「Sun City Festival」を建設。こうした高齢者のための町を長年に渡り全米各地に作り高齢者のためのコミュニティのある町を広げました。
さすが広い面積を持ち人口の多いアメリカはスケールが違います。
円形の中心から町が放射状に広がる
グーグルマップで見ると、いくつもの円形状の人工的な形をした道路が見えて、ナスカの地上絵のようで面白いですよね。
しかしながら、住宅、医療、そして娯楽施設などアクティビティを整えて、1ヶ所に高齢者を集めて住まわせるということは、便利な反面、住人たちの高齢化などの問題点も出てきているようです。
同居人も19歳以上とされているサンシティには、とうぜん学校もない訳ですよね。小さな子どもたちの声が町に響かないのは、活気がなくてちょっと寂しい気がします。
日本人には不向き?
サンシティは、膨大な土地があり、車社会、フレンドリーな気質ながらプライバシーを重んじるアメリカ人だからこそ成り立つ「リタイアメント・コミュニティ」という気がします。今の日本に老人のみが住む巨大な街を造っても、入居者が多く集まるかどうかは疑問です。
高齢者も若者も、そして子どももファミリーも、世代を超えて交流しながら多世代が共生できるコミュニティを持つ住まいが、日本には増えて欲しいと思います。
そんな要望に応えるようなシニア向け賃貸も、昨今、増えているのでご紹介します。
こちらの「グランドマスト江古田の杜」は膨大な敷地に、高齢者向け賃貸、学生寮、ファミリー向け賃貸住宅などがあり、コミュニケーションしながら多世代が暮らすことのできる環境が整った高齢者向け住宅です。
1階には食堂・ラウンジがあり、高級レストランの味が楽しめます。
物件詳細ページ:「グランドマスト江古田の杜(360度VR動画付き)」
編集部取材レポート:編集部取材レポート
2014年6月08日の記事に追記
(文:松尾まみ)
■老後は日本に永久帰国(移住)を望む人が増えている理由
■老後も現在の家に住み続けたい人が半数以上|シニアの住まい“理想”と“現実”
■遠距離介護の親をどう支援すべきか? 事前の準備が大切
■一人暮らしをする老親が心配!でも同居が難しい場合どうする?
■都会で増える親の呼び寄せ問題|同居か?近居か?それぞれの事情と成功のポイント