
同居前に確認したい、親世代が抱える本音と課題
「子どもや孫との同居は理想だけど、本当にうまくいく?」──そう考える親世代は少なくありません。にぎやかな生活を想像する一方で、これまでと異なる生活習慣や価値観の違いに戸惑いを覚える方もいるでしょう。
加齢で体力や気力が変化する中、同居は「事前の準備」が成功の鍵を握ります。この記事では、スムーズな同居生活を送るための実践的なヒントを5つご紹介。
大切な家族とストレスなく、笑顔で暮らすために、今からできることを一緒に考えていきましょう。
1. 生活スタイルの違いを理解する
「朝型の親と夜型の子ども、食事時間もバラバラ…」──そんな同居あるあるを解消するには、まずお互いの生活リズムを知ることが第一歩です。
たとえば、起床・就寝時間の違いは大きなポイントです。親が朝型で早く寝る習慣があると、夜遅くまで起きている子世代の生活音が気になることも。食事の時間も平日は別々、週末は一緒になど、食事スタイルを確認しておくとスムーズです。
共有スペースであるリビングでの過ごし方も、親と子では違いが生じがちです。静かに過ごしたい親世代と、孫がにぎやかな子世代では感覚が異なるため、互いの生活スタイルを理解し合うことが大切です。
さらに、趣味や嗜好の違いも忘れずに考慮しましょう。例えば、親世代はテレビの音量を大きめに、子世代はヘッドホンでインターネット動画を楽しむなど、共有スペースでの過ごし方に配慮が必要です。
音楽の好みも異なる場合があるため、お互いの趣味を尊重し、「譲り合い」だけでなく「個々の空間」も尊重する視点も大切です。
そして、意外とトラブルになりやすいのが、掃除や洗濯、入浴の時間帯など、日常の細かい習慣です。同居前にそれぞれの生活習慣を具体的に共有し、「譲れないポイント」や「気持ちよく暮らせるルール」を具体的に決めておくことが、後々の摩擦を減らすことにつながります。
対策: 事前にルールを決め、適度な距離を保つ
2. お金の管理を明確にする
「食費や光熱費、誰がいくら出す?」──同居で最も揉めやすいお金の問題は、最初に「見える化」することがトラブル回避の鍵となります。
家賃・住宅ローン負担や、水道光熱費、インターネット代の折半など、細かい項目まで洗い出しておくことでトラブルを避けられます。可能であれば、共有費用の「共同口座」や「家計簿アプリ」を開設したり家計簿を作成したりして、定期的に支出を見直すのがおすすめです。
固定資産税や火災保険料など、住居に関する費用の分担も忘れずに話し合いましょう。どちらが負担するか、折半するかを明確にしておくことで、後々のトラブルを防げます。
また、食料品や日用品は、親世代と子世代で好みが分かれることはよくあります。「これは共同購入、これは個別負担」といった線引きを明確にしておくと、無駄な出費やストレスを減らせます。
親の医療費や介護保険料については、同居を機に必ず確認してください。親の現在の収入や資産状況、将来的な医療費・介護費用の負担額を具体的に把握しておくことで、いざという時にも冷静に対応できます。
費用に関する取り決めは、口約束ではなく、必ず書面に残しましょう。金額や分担方法を具体的に明記すれば、誤解や認識のズレを防ぎ、安心して同居生活を送れます。
対策: 費用については曖昧にせず、最初に書面でまとめておく
3. 役割分担を決める

「私ばっかり家事をしている…」「介護の負担が重すぎる」──同居で最も不満やストレスの原因になりやすいのが、家事や介護の負担が一方に偏ることです。
たとえば、掃除と洗濯は親世代、料理は子世代というように、親にできること、子世代がやるべきことを整理しておくと負担を軽減できます。お互いの得意分野や生活リズムに応じて決めるとスムーズです。
家事分担は、一度決めたら固定するのではなく、定期的に見直すことが肝心です。親の体調が優れないときや、子世代が忙しいときには、「できる人が、できることを」という柔軟な姿勢で助け合う気持ちを持つことが、円満な同居生活には不可欠です。
また、介護が必要になった場合に備え、誰が中心となって介護を行うか、費用をどう分担するかなどを、親が元気なうちに具体的に話し合っておきましょう。介護サービスを利用するなら、どのサービスを使い、費用がどの程度かかるかも調べておく必要があります。
たとえば月に一度、「家族会議の日」を決めて、気になることや困りごとを率直に話し合う時間を持つだけでも、関係性が大きく変わり、よりスムーズな同居生活を送れます。
対策: 無理なく続けられる分担にすることが大切
4. プライバシーを確保する
たとえ同じ屋根の下に暮らしていても、お互いのプライベートな時間を尊重し、干渉しすぎないように心がけましょう。
親世代と子世代の生活スペースをなるべく分ける間取りにすると、居心地の良い空間に。部屋の配置を決めるときは、音が気にならないかどうかもチェックしましょう。
また、同居していると子育てや家事、仕事などお互いの生活がどうしても気になるもの。つい口を出しすぎてトラブルになってしまうことも少なくありません。
たとえば、訪問客を招く際は事前に伝えたり、郵便物を勝手に開封しないといったルールを決めることで、お互いのプライバシーを守り、快適な同居生活を送れます。
とはいえ、時には意見の衝突や価値観の違いから、お互いにストレスを感じてしまうこともあるかもしれません。そのようなときは、無理に我慢せず、相手に正直かつ冷静に伝えましょう。
家族みんなが気持ちよく暮らせるように、日頃からオープンな対話を心がけ、話し合いを通じてルールを見直したり、改善策を考えたりすることこそが、同居トラブルを防ぎ、より良い関係を築くための秘訣です。
対策: 「ちょうどいい距離感」を保つためのルールを決める
5. もしもの時の対応を決めておく
同居することで安心感が増す反面、病気や介護の負担が突然発生する可能性もあります。
病気や介護の対応については、「どこまで在宅介護で、どこから施設介護にするか」を具体的に事前に話し合っておきましょう。在宅介護を選んだ場合、誰が主な介護者となるか、費用をどう分担するかなどを、現状の体力や経済状況を踏まえて決めておくことが非常に重要です。
介護サービスを利用するなら、希望するサービスや費用をあらかじめ調べておく必要があります。施設介護の場合も、どのような施設を希望し、費用はどの程度かかるかなどを事前に調べておくと安心です。
地域の医療機関や介護サービスも含めて、必要な支援を事前に調べておきましょう。
さらに、親が亡くなった後の住まいについても、「その時」が来る前に考えておくべきです。親名義の家に住んでいる場合、相続手続きは避けて通れない問題です。誰が家を相続するか、相続税はどの程度かかるかといったデリケートな問題も、事前に話し合っておくことで、残された家族の負担を大きく軽減できます。
人生の終盤に向けた準備の一環として、万が一に備えて家族みんなで話し合い、事前に準備を進めておきましょう。
対策: 「元気なうちに話し合う」のがベスト
それでも「同居は少しハードルが高い…」と感じるなら
このように、事前にしっかり話し合い、役割やルールを決めておけば、同居生活もずっとスムーズに。
それでも「どうしても気をつかってしまう」「お互いの負担が大きい」と感じるなら、すぐに会える距離で暮らせる“近居”という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
駅に近く、見守りや生活支援のあるシニア向け賃貸なら、自立した暮らしを続けながらも親世代の孤立を防げ、いざという時に助け合える関係を保てます。
自立と安心の両立ができるシニア向け賃貸なら、お互いに無理なく心地よく過ごすことができます。
(グッドライフシニア 編集部)
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