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【1.介護・年金】

高齢者介護施設における感染対策

感染症厚生労働省は、『高齢者介護施設における感染対策マニュアル(改訂版)』を2019年3月に作成し、同4月に発出しています。

今後は「本マニュアルなどに従って、感染症、食中毒の予防やまん延の防止に努めていただきますようお願いします」と、都道府県・指定都市・中核市の介護保険担当課に送付して、高齢者介護施設への周知を要請しています。

この中には、手洗いなどの基本的な感染対策から、嘔吐物、排泄物の処理や血液、体液の処理などの施設の衛生管理まで、さまざまな感染対策の手順や規定を盛り込んだ感染対策マニュアルの内容を示しています。

そして、この感染対策では、老人ホームや介護施設の「入居予定者」ももちろん対象になっています。

入居前には健康診断書などの提出が必須

感染対策マニュアルに、「入所時の健康状態の把握 入所時点での健康状態を確認することが必要です。入所時の健康状態を把握する場合には、入所時の健康診断を行うほか、サービス担当者会議におけ る情報の共有や入所前の主治医(かかりつけ医)から診断書等を提出してもらう等の方法もあります」とあります。

つまり、入居前には、クリニックなどで健康診断を行いその結果を提出、あるいは主治医からの診断書などを提出することを示しています。

そのため、多くの有料老人ホームでは、入居前に、どちらかの提出を条件にしています。

入居前に治療終了が必要なのは疥癬と結核

同マニュアルでは、感染症に関する既往歴や現在の治療内容(経過観察中のものも含む)などについても確認を求めています。

注意が必要な疾患……疥癬、結核など

  • 疥癬は、原則として入所前に治療を済ませる
  • 結核は、排菌が認められず、適切な治療が継続できる状態になるまで、医療機関で治療をする必要がある。
  • このふたつについては、治療をすることを厚生労働省は求めています。

    本サイトでは、疥癬、結核のほかに、HIV、MRSA、肝炎、梅毒についての項目がありますが、これらについては、健康診断で菌やウイルスを持つ状態にあっても、人にうつすような状況にないと判断されている場合は、厚生労働省としては「治療完了まで医療機関で治療する」という方向性にはありません。

    本来的には、こうした状態なら応諾義務において、入居を承諾することになるでしょう。

    入居前に本人の感染症の状態をよく話し合いましょう

    ただし、有料老人ホームによって、衛生状態や医療的ケアの考え方やスキルが異なるため、ホーム側は応諾したとしても、ホームの状況を見極めて、そのホームに入居するかどうかの判断を「入居者側」がすることも、大事な判断でしょう。

    いずれにしても、入居予定者は、感染症やその他、持病なども含めて、その内容をホームとよく話し合い、治療の見込みやケアの方向性をよくすりあわせ、双方が納得のいく形で入居するようにしたいものです。

    尊厳を守り、守秘義務もあることを意識してもらう

    かつては、結核の患者さんに対して偏見がありました。今は医学が進み、きちんと薬を飲めば治る病気です。

    厚生労働省は、以下のように記述しています。
    「結核の既往や薬剤耐性菌の保菌等を理由に、サービス提供を拒否することはできません。(入院加療が必要であると医師が判断する病状の場合を除きます。)(基準省令第4条の2)また、医学的な理由によりサービス提供を拒否する場合は、適切な病院を紹介する等の適切な措置を速やかに講ずることが求められます。(基準省令第4条の3)なお、入所時の健康状態の把握においては、入所者の基本的人権を尊重して実施することが重要です」。

    HIVや肝炎、梅毒などについても同様の偏見を排除する必要があります。

    また、MRSA(ブドウ球菌感染症)についても、院内感染を起こす菌として知られていますが、通常の生活で保菌しているだけでは健康被害はあまりありません。入所者の基本的人権が侵害されることがないよう、ホーム側も配慮が必要です。

    参照:■高齢者介護施設における 感染対策マニュアル 改訂版(2019年3月)厚生労働省平成30年度老人保健健康増進等事業として実施

    新型コロナウイルス感染者の受け入れについて

    新型コロナウイルスに感染した人の入居については、どのように考えたらいいでしょうか。

    これに対しても、厚生労働省は一定の留意点を示しています。

    退院患者の介護施設における適切な受入などについて

    【有症状者の場合】

    (1) 人工呼吸器等による治療を行わなかった場合
    次の①又は②に該当する場合
    ①発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合
    ②発症日から10日間経過以前に症状軽快した場合に、症状軽快後24時間経過した後に核酸増幅法又は抗原定量検査(以下「核酸増幅法等」という。)の検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合

    (2)人工呼吸器等による治療を行った場合
    以下の③又は④に該当する場合
    ③発症日から15日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合
    ④発症日から20日間経過以前に症状軽快した場合に、症状軽快後24時間経過した後に核酸増幅法等の検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合
    ※ただし、③の場合は、発症日から 20日間経過するまでは退院後も適切な感染予防策を講
    じるものとする。

    【無症状病原体保有者の場合】

    以下の⑤又は⑥に該当する場合
    ⑤発症日から10日間経過した場合
    ⑥発症日から6日間経過した後に核酸増幅法等の検査を行い、陰性が 確認され、その検査の検体を採取した 24 時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合

    参照:(令和2年12月25日・令和3年3月5日一部改正)
    https://www.mhlw.go.jp/content/000749806.pdf

    このほか詳しい内容も記されていますので、必要な方は、上記の情報全体を読んでみましょう。

    状況は、今後変わる可能性もありますので、厚生労働省の新しい情報の収集とともに、入居施設の状況や本人の体調も考え合わせて相談をし、入所の時期を決定するとよいでしょう。

    最後に先にも述べましたが、施設によって受け入れの可否の判断は違います。また、本サイトの物件情報ページでは「受け入れ可」としている感染症の場合でも、ご本人の体調や病状によっては入居を断られるケースがあります。

    入居を検討される方は、必ず個別に施設に問い合わせをしましょう。

    (グッドライフシニア編集部)