介護は家族や地域の協力が必須
同居する親に介護が必要になったとき、一人の介護者に肉体的にも精神的にも負担が集中してしまうケースが多々あります。
介護を主に担当する介護者が、一人で全ての介護を担当することは、肉体的にも精神的にも負担が大きく、時間的にも限界があります。
かっては、同居の嫁が介護を主に担っていましたが、時代は変わり、核家族や共働きの影響もあり、配偶者や実子の介護が主流となりました。
それにより、「一人で親の介護をする」スタイルから、家族がチームで支えていく「チーム介護」が広がりを見せています。
家庭内でのチーム介護
チーム介護とは、介護に関わる人々が協力し、連携をとりながら介護を行うことを指します。介護者や家族、医師や看護師、ケアマネージャー、介護士など、それぞれが持つ知識や経験を共有し、役割分担を行うことで、より質の高い介護を実現することができます。
家族間の場合、たとえば日常生活の支援、家事、洗濯、病院の付き添い、薬の管理などを家族で分担することで、主たる介護者の負担を軽減することができます。
介護を担う人が無理をし過ぎてしまうと、逆に介護を必要とする人のケアができなくなってしまいます。そのため、家族が協力し主介護者をサポートしながら介護を行う「チーム介護」が求められています。
(株)リクシスがまとめた「ビジネスケアラー最新実態レポート2023年2月号」の中から、介護の担い手に関するレポートを抜粋しました。このレポートによると、介護の担い手が20年前から大きく変化していることが明らかになっています。
介護を担う家族に見られる変化
2001年には要介護者の配偶者(夫もしくは妻)が担う比率が36.4%で、次いで同居する実子の配偶者(お嫁さん)が31.6%と介護を担う主力とされてきました。
しかし、それから20年たった2019年には配偶者(夫もしくは妻)の比率が43.9%、実子が介護する比率も38.2%に上昇しているのに対し、実子の配偶者(「お嫁さん)への介護負担は13.7%まで減少しています。(上のグラフ参照)
この背景として考えられるのは、核家族化が進んだことと、共働き世帯の増加により実子もその配偶者も、企業でキャリアを積んでいることが挙げられています。
同居家族による介護モデルが変化することで、社会には「老老介護」や「実子介護」を支援する仕組み作りが要請されています。
少子高齢化や核家族化が進む日本では、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が増加しています。それぞれの問題点と対策を整理して、万が一に備えるのも障害プランとして大切です。
■増加する「老老介護」「認認介護」の問題点と対策|一人で悩まず周囲に相談を
若者が介護を担う、ヤングケアラー問題
働きながら親の介護を担う「ビジネスケアラー」の中には、20代〜30代の比較的若い世代が存在し、中には中学生や高校生のような、本来なら学業に専念したり、同世代の友人たちとの時間を尊重されるべき未成年の10代が介護への参加を余儀なくされる、「ヤングケアラー」問題も起きています。
若い20代〜40代の家族が、50代〜60代の身内を介護する「若若介護」。この介護の大変さは、長期介護になる可能性による先の見えない不安や、介護によりキャリアが途絶え、収入が激減するといった生活基盤の不安定さなどをはらんでいます。
■家族が50代〜60代の介護をする「若若介護」とは?
高齢者が増えることで配偶者や実子だけでなく、孫世代も、主となる介護者をサポートする「チーム介護」がますます求められていく時代になると予想されます。
しかし介護の負担が増え、ストレスや疲れから家族が機能不全に陥るようなことになると誰も幸せになれません。そうした場合は、家族だけで抱え込まずに、地域の支援機関や専門家に相談することも大切です。
必要なときには人の手を借りて、介護サービスを上手に利用しましょう。これらのサービスを上手に利用することで、介護の負担を軽減することができます。
介護は家族だけでなく、地域全体で支え合うことが求められる社会課題でもあります。
(グッドライフシニア編集部 松尾)
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