「歯の治療を受けたいけれど、通院が難しい…」そんな方のためにあるのが在宅歯科医療です。歯科医師や歯科衛生士が自宅や介護施設に訪問し、診察や治療を行います。
この記事では、在宅歯科医療のサービス内容や費用、利用方法をわかりやすく解説します。
1.通院が難しい人に在宅歯科医療が必要とされる理由
年齢を重ねると歯や口の健康が全身の健康に影響を与えます。 特に、高齢者は口の中の衛生状態が悪化すると、誤嚥性肺炎(食べ物や唾液が気管に入ることで起こる肺炎)や栄養不足のリスクが高まります。
こうした問題を防ぐために、定期的な口腔ケア(お口のケア)が必要です。
在宅歯科医療なら自宅で受けられるので、通院や移動の負担がなく、リラックスした環境で診療を受けられます。
また、早期発見・早期治療ができる歯科医師や歯科衛生士が定期的に訪問することで、口のトラブルを早めに発見し、悪化を防げます。適切な口腔ケアを行うことで、食事をしっかり噛んで楽しめるようになり、健康維持につながります。
◆日々の工夫で誤嚥性肺炎を防ぐ方法が知りたい方はこちらをチェック☞
高齢者に多い誤嚥性肺炎、その原因・症状・予防法を知っておこう!
対象者は、通院が困難な方(寝たきり、歩行困難、認知症など)、介護保険を利用している方(口腔ケアが必要な場合)などです。
2.在宅歯科医療で受けられる治療や費用は?
在宅歯科医療では、以下のようなケアや治療が受けられます。
受けられる主なサービス
- 虫歯・歯周病の治療:自宅でできる範囲の治療を実施
- 入れ歯の作成・調整:合わない入れ歯の調整や、新しい入れ歯の作成
- 口腔ケア(お口の掃除):歯科衛生士が歯や舌の汚れを除去し、清潔な状態を維持
- 嚥下(飲み込み)のリハビリ:誤嚥を防ぐための指導や訓練
◆歯科医が勧める「口腔ケア」の方法についてはこちら☞
【歯科医監修】シニアの虫歯急増!歯の数を減らさない7つのお口ケア
在宅歯科医療の費用
在宅歯科医療は、健康保険や介護保険の適用を受けられるため、自己負担額は通院の場合と同程度か、やや高くなることもあります。費用は以下のように決まります。
健康保険の適用
- 一般的な歯科治療(虫歯・入れ歯・歯周病治療など)
- 通常の歯科診療と同じく、自己負担は1〜3割(年齢や所得により異なる)
- 訪問診療料(歯科医が自宅に来るための費用)
健康保険の適用となり、1回あたり約500~900円(自己負担1割の場合) - 検査費用・治療費用
診療内容に応じて、一般的な歯科医院と同じ基準で計算されます。
介護保険の適用(口腔ケア・リハビリなど)
介護認定を受けている方は、介護保険の適用も可能です。
口腔ケア・摂食嚥下リハビリテーション(飲み込みの訓練など)
介護保険の居宅療養管理指導の対象となり、1回あたり 約350~600円(自己負担1割の場合)。
その他
- 入れ歯の作製や調整:通常の歯科診療と同じく健康保険適用
- 自費診療(ホワイトニングや特殊な入れ歯など):全額自己負担
- 交通費:基本的に無料、遠方の場合は実費負担が必要なことも
3.在宅歯科医療を上手に活用するコツ
定期的な診療を受ける口のトラブルを未然に防ぐため、数か月に一度の診察を心がけましょう。
利用するには?
①かかりつけの歯科医院に相談:訪問歯科を行っているか確認し、予約を取ります。
②自治体の相談窓口を利用:お住まいの地域で在宅歯科医療を提供している機関を紹介してもらえます。
③ケアマネージャーに相談:介護サービスを利用している方は、ケアマネージャーに相談するとスムーズです。
毎日のセルフケアも大切です。歯磨きや入れ歯の手入れをしっかり行うことで、より健康な状態を維持できます。
家族や介護者が歯科医療の情報を共有し、日常のケアをサポートすると効果的です。
自宅での歯科治療が必要な方は、早めに相談してみましょう!
参考: 厚生労働省「在宅歯科医療について」
日本歯科医師会:歯科訪問診療
(グッドライフシニア編集部 松尾)
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