こちらのページでは、施設サービスで利用できる介護保険施設の特養、老健、療養病床、介護医療院について、それぞれの特徴を詳しくご説明いたします。
≫1,介護保険の施設サービスの種類
≫2,介護中心なら介護老人福祉施設(特養)
≫3,在宅復帰を目指すなら介護老人保健施設(老健)
≫4,高度な医療ケアなら介護療養型医療施設(療養病床)・介護医療院
1,介護保険施設の種類
介護保険サービスで利用できる公的な施設のことを介護保険施設といいますが、大きく分けると3つに分かれています。
1、介護施設としての特別養護老人ホーム(特養)
2、リハビリを中心とした「介護老人保健施設(老健)」
3、長期入院して医療ケアが受けられる「介護療養型医療施設(療養病床)・介護医療院」
いずれの施設も要介護の認定を受けた人が対象です。入居金などの入所時にかかる費用はありません。また、居住費や食費、介護にかかる費用も割安になっています。入居条件は以下の通りです。
介護保険施設の入居条件
介護保険施設 | |
---|---|
特養 | 原則:要介護3~要介護5 ※要介護1、要介護2の方については、特別な事情がある場合のみ入居可能 |
老健 | 要介護1~要介護5 |
療養病床 | 要介護1~要介護5 |
介護医療院 | 要介護1~要介護5 |
2,介護中心なら特別養護老人ホーム(特養)
常に介護が必要な状態で、自宅での介護も難しいという人が入所する施設です。生活の場として日常生活全般の手厚いサポートを受けることができます。
具体的なサービスは、食事・排泄・入浴など日常生活全般の介助、機能訓練、健康管理、看取りなどがあります。
民間施設より費用が安く、「終の棲家」として長期間にわたり利用できるため、人気の高い施設です。待機者も多く、入所までに数年かかることも。
要介護度が高く、常に介護が必要で、在宅での生活も困難な人には特養が適しています。入居条件は基本、65歳以上で要介護3から5の人が対象です。看取りに対応しているところも多く、長期間にわたり安心して生活することができます。
ただし、リハビリや医療ケアは充実しておらず、医師の常駐も義務付けられていません。
サービスの中心は介護をはじめとした生活支援なので、痰吸引や経管栄養などの医療的な対応が必要な場合には、入所できないことがあります。
■特別養護老人ホーム(特養)とは?
3,在宅復帰を目指すなら介護老人保健施設(老健)
日常生活の介護と合わせて、リハビリを中心とした医療ケアも受けることができる施設です。要介護1以上の人が利用でき、福祉系と医療系の中間的な役割を果たします。病状が安定して退院するものの、自宅に戻ることが困難といったケースで活用されます。
あくまでも在宅復帰を目的とした施設なので、入所期間は原則3ヶ月。引き続きケアが必要と判断された場合には、入所期間を延長することもできます。
具体的なサービスには、リハビリ(日常生活動作、身体機能の維持・向上)や、食事・排泄・入浴など日常生活全般の介助、医療処置(診察や投薬)、看取りなどがあります。
病状は安定しているものの、退院して自宅での生活に戻るには不安があるという場合、老健がおすすめです。在宅復帰を目的とした施設なので、日常の介護を受けながら、理学療法士などの専門スタッフによるリハビリ、医師や看護師による医療ケアも受けることができます。
3ヶ月ごとに利用者の状態をチェックし、入所を継続するか否かが判断されますので、長期的な入所を希望する人には向いていません。
4,高度な医療ケアなら介護療養型医療施設(療養病床)・介護医療院
介護療養型医療施設(療養病床)とは、介護度が高い方に対して、医療やリハビリを行う施設です。病状は安定しているものの、長期的な療養が必要といった場合に利用できます。
ただし、医療系の施設なので、病院へ入院するのと同様、利用者は基本的に日常生活をベッドの上で過ごします。レクリエーションなどのサービスも少なく、利用者との交流をしながら生活したい人には向いていないかもしれません。
具体的なサービスとしては、インスリン注射や痰の吸引、経管栄養など。あくまで「療養」を目的としているため、手術など高度な医療行為は対応できません。
条件としては要介護1以上となっていますが、比較的要介護度の高い人が入所し、長期的な利用になるため、新規の入所者は受け入れにくい状況です。また、2024年3月には廃止されることが決まっています。
上記の「介護療養型医療施設」が廃止後に受け皿となるのが、2018年4月に新しく法定化された施設「介護医療院」です。
退院後の長期的な受け入れ先となっていた「介護療養型医療施設」は、医療機関という位置づけのため、特養のような終身利用を前提としていませんでした。
一方で「介護医療院」は、生活の場としての意味合いも強化。相部屋であっても間仕切りなどでプライバシーが配慮され、終身利用前提の入所も可能となります。
福祉系大学卒業後、医療ソーシャルワーカーとして勤務。介護保険や障害年金などの申請手続きの相談、入院費や退院後の生活についての相談、施設入所調整など、支援は多岐に渡る。その傍ら、医療ソーシャルワーカーの経験を活かし、介護・福祉分野のライターとして執筆活動を行っている。