
地震や台風など、日本は自然災害の多い国です。災害が起きるとライフラインが絶たれ、避難所生活を余儀なくされる可能性も…。特に高齢者の場合は、体調などの面で避難所生活の負担が大きいので、日ごろの備えが大切になります。
しかし、備えといっても「何を準備すればよいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。いざという時に困らないよう、日ごろからできる備えや、防災グッズの準備、家族での連携について紹介します。
1. 日ごろから備えておきたいこと
災害はいつ起こるかわかりません。特にシニア世代は、体力や健康の面から避難が難しくなることもあります。だからこそ、「無理なく続けられる日常の備え」を心がけましょう。
健康と薬の備え
- 持病がある場合は、3〜7日分の薬を多めに用意しておく。
- 普段から1〜2回分の薬を持ち歩き、防災袋にも数日分を入れておく。
- 発作や症状が出た時に使うとんぷく薬も準備する。
- 主治医やかかりつけ薬局の連絡先をメモして袋に入れる。
- お薬手帳のコピーを紙で用意(スマホが使えない状況に備える)。
持病の薬は、多くの薬剤師会でも推奨される「ローリングストック」で管理すると安心です。使用期限が近い薬から服用し、新しく処方された(期限の長い)薬を非常用として備蓄する方法です。
こうすることで、期限切れを防ぎ、災害時も服用慣れた薬を確保できます。薬の予備について、かかりつけ薬局に相談しておくことも大切です。診察券や保険証のコピーも薬と併せて入れておくと、避難先で医療を受ける際に役立ちます。
生活用品・衛生用品の備え
- 老眼鏡は予備を1つ用意し、防災袋へ。
- 入れ歯洗浄シート・歯磨きシート・ウェットティッシュ(無香料・ノンアルコール)を入れる。
- マスク、ティッシュもあると安心。
- 簡易トイレやおむつなど、「避難生活であると安心なもの」も入れておく。
老眼鏡は100均でも売られているので、予備に1つ用意しておくと安心です。また、普段から使用している杖、入れ歯、補聴器などの介護用品は、必ず非常持ち出し袋へリストアップし、予備や必要な交換品も備えましょう。補聴器を使っている方は予備の電池も忘れずに。
水が使えない状況でも口腔ケアができるよう、マウスウォッシュや液体歯磨きを加えておくと良いです。口腔内の衛生は誤嚥性肺炎の予防にもつながります。簡易トイレは凝固剤タイプが便利で、特に夜間の移動負担を減らせます。
住まいと環境の備え
- 懐中電灯やスリッパを寝室に常備。
- 家具の転倒防止器具を設置する。
- ブランケットやカイロを備えて、冷え対策も忘れずに。
(冷えは体調悪化の原因になるため、命を守る備えの一つ)
懐中電灯は、手がふさがらないヘッドライトタイプが特におすすめです。また、スリッパはガラスの破片などから足を守るため、底の固いものを選びましょう。
家具は重い家具を固定するだけでなく、寝室から離れた場所に配置換えすることも検討するとより安全です。冷え対策として、アルミ製のエマージェンシーシートや保温性の高い衣類も、体温維持に非常に有効です。
薬や日用品などを“防災専用”に分けて考えず、普段の生活の延長で少しずつ備えるのがポイントです。今日から少しずつ準備を始めれば、もしもの時も落ち着いて行動できます。
2. 避難生活で困らないために

避難所での生活は、体力や持病のあるシニアにとって大きな負担になります。 特に、慣れない環境や人の多さ、音、寒さなどがストレスとなり、体調を崩すことも少なくありません。 少しの準備で快適さが大きく変わるため、事前に何を用意しておくと良いかを知っておきましょう。
食事の備え
避難所で配られる食料は、乾パンやクッキーなどの硬い食品が多く、噛む力が弱い方には食べづらい場合があります。あらかじめ、アルファ米・おかゆタイプの非常食・レトルトのスープなど、柔らかくて食べ慣れたものを備えておくと安心です。
非常食は、普段から利用しているレトルト食品などを多めに購入し、消費したら買い足す「ローリングストック」で管理しましょう。賞味期限切れを防ぎ、避難時も食べ慣れた味で落ち着いて過ごすことができます。
糖尿病・高血圧などの持病がある場合は、減塩・低糖質タイプの非常食を選びましょう。食後に服薬が必要な方は、薬と一緒に薬と一緒に服薬に十分な量の水も非常袋に入れておくと安心です。(飲料水は別に3日~7日分を、1人あたり1日3リットルを目安に備蓄しましょう。)
健康と体温管理
災害時は冷暖房が使えず、体温調節が難しくなることがあります。特にシニア世代は体温調節機能が低下しているため、寒暖差による体調不良を起こしやすい傾向があります。
- ブランケットやひざ掛け
- カイロ、保温性のある靴下
- 扇子や冷感タオル(夏場用)
などを防災袋に入れておくと、季節を問わず快適に過ごせます。
体温管理と合わせて、「脱水症」の予防もとても重要です。高齢者は、もともと喉の渇きが低下しているため、厚生労働省も「のどが渇く前にこまめに水分補給を」と呼びかけています。
また、水分摂取を控えると「エコノミークラス症候群」のリスクが高まります。避難中も定期的に足首を回すなど簡単な運動を取り入れ、予防に努めましょう。
環境の変化に備える
慣れない避難所では、睡眠不足やストレスが続くことがあります。アイマスク・耳栓・タオルなどを持参しておくと、周囲の明かりや音を軽減でき、少しでも落ち着いて休むことができます。
睡眠不足は体調悪化に直結します。避難所では床の硬さも問題になりやすいため、自身で準備できるエアマットや座布団、毛布などを活用し、できるだけ体を休める工夫をしましょう。リラックスできるアロマオイルやホットアイマスクなども、心の安定に役立ちます。
また、持病のある方や認知症の方は、通常の避難所では数日間しか過ごせないといわれています。必要に応じて、配慮のある「福祉避難所」へ早めに移動できるよう、事前に自治体の担当窓口(福祉課など)や、担当のケアマネージャーに登録制度や利用の流れを確認しておくと安心です。
3. 離れて暮らす家族ができる備え
核家族化が進む現在、親世代と離れて暮らす家庭も増えています。災害時を想定し、子どもができるサポートを日ごろから考えておきましょう。
まず大切なのは、親の近隣との関係づくりです。離れて暮らしていると、すぐに駆けつけるのは難しいため、近所の人に顔を覚えてもらうだけでも安心につながります。帰省時には親と一緒にあいさつ回りをしておくのもおすすめです。
また、自治体の防災訓練に一緒に参加し、実際の避難経路や対応手順をシミュレーションしておくと、いざという時に慌てず行動できます。
介護保険を利用している場合は、ケアマネージャーに災害時の対応を確認しておきましょう。必要な支援や避難の流れを共有しておくことで、迅速な行動が取れます。
4. 災害を機に考える“安心できる住まい”
河川や山の近くなど、災害リスクの高い地域では、避難に時間がかかることもあります。特に一人暮らしの高齢者にとって、災害時の不安は大きな問題です。
近年は、災害対策の一環として「近居」や「同居」を選ぶ人も増えています。都市部や子どもの家の近くに引っ越すことで、災害時のサポートを受けやすくなります。
また、鉄筋コンクリート造のマンションは木造住宅に比べて耐震性・耐火性が高く、安全性の面でも安心です。もしもに備えて、安心して暮らせる住まいを検討してみてはいかがでしょうか。
防災は“特別な準備”ではなく、日常の中で少しずつできることから。自分と家族を守るために、今日からできる対策を始めてみましょう。
災害への備えを万全にするには、日常の安全な環境づくりも欠かせません。近居や同居が難しい場合は、耐震性や見守り体制が整ったシニア向け賃貸という選択もあります。
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(グッドライフシニア編集部)
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