こちらのページでは介護保険サービスが適用される「地域密着型サービス」について詳しく解説いたします。
地域密着型サービスは、中重度の要介護の高齢者が、できる限り住み慣れた地域で生活を続けていけるよう創設されたサービスです。
≫ 1,地域密着型サービスの種類と特徴
・小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・認知症対応型通所介護
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
≫2,サービス利用の流れ
1,地域密着型サービスの対象者と種類・特徴とは?
地域密着型サービスを受けられるのは、原則としてサービス事業者と同じ市町村に住民票を持っている、65歳以上の高齢者(※)になります。※40~64歳で、特定疾病により要介護認定を受けている人も含まれます。
また、要介護認定の結果によっても、受けられるサービスが異なります。「地域密着型サービス」を受けられるのは、要介護と認定された人。
要支援の場合は、介護予防を目的として一部(地域密着型介護予防サービス)のみ利用することができます。
地域密着型サービスを提供する事業者の指定・監督は市町村が行っており、その地域のニーズや特性に合わせたサービスを提供することを目指しています。
介護保険についての詳しい記事はこちらをご覧ください。
■介護保険制度とは?|その仕組みを分かりやすく解説
小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護
通常、介護サービスを利用するには、訪問・通所・宿泊といったサービスごとに異なる事業者と契約しますが、「小規模多機能型居宅介護」では、その必要がありません。通所をメインとして、宿泊や訪問もセットで利用することができます。「看護小規模多機能型居宅介護」では、主治医の指示で訪問看護も利用可能です。
さらに、小規模なのでスタッフと顔なじみになりやすく、アットホームな安心感も魅力。認知症の人や一人暮らし、老老介護をしている人におすすめです。
要支援1・2の人は、介護予防を目的として利用することができます。
夜間対応型訪問介護
夜間に自宅を訪問し、介護を提供するサービスです。定期巡回や通報による随時訪問、オペレーションセンターを介して調整・対応するオペレーションサービスなどがあります。
夜間の介護は介護者にとって大きい負担となりますが、このサービスを利用することで軽減することができ、要介護度が高い人も自宅で生活することができます。
看護はついていないので、比較的病状の安定した人に適しています。また、要支援の人はこのサービスを利用できません。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
日中も含め定期的に自宅を訪問し、介護と看護を提供するサービスです。24時間態勢の随時対応もあるので、急な体調不良やトラブルがあっても、ホームヘルパーや看護師が駆けつけて対処してくれます。
介護が必要な家族がいても、遠方で暮らしていて対応できないといった場合に、利用するケースが増えています。要支援の人は、このサービスは利用できません。
認知症対応型通所介護
認知症と診断された人だけが利用できる通所介護(デイサービス)です。
特養などの介護保険施設に併設されていたり、民家を利用していたりと、施設にはいくつかのタイプがありますが、いずれも定員12人以下と小規模。アットホームな雰囲気で過ごすことができます。
要支援であっても、認知症と診断されていれば「介護予防認知症対応型通所介護」として、利用することができます。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の人限定の、ケア付き住宅サービスです。
5人以上9人以下を1ユニットとして、家事に参加しながら共同生活を送ります(部屋は個室)。認知症と診断されていても、病状が安定し自立して日常生活が送れるのであれば、利用することができます。
生活費(室料や食費、水道光熱費など)は全額自己負担。介護サービス部分のみ、介護保険が適用されます。また、要支援2の人も「介護予防認知症対応型共同生活介護」として利用できます。
地域密着型特定施設入居者生活介護
「地域密着型特定施設」に入居している人が、介護保険を利用して受けられる介護サービスです。
生活相談や安否確認、食事・入浴などの日常生活上のサポート、リハビリなどが提供されます。
「地域密着型特定施設」とは、「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「養護老人ホーム」「軽費老人ホーム(ケアハウス)」の4つの施設のうち、定員が29人以下と小規模で、都道府県などから「特定施設」と指定された施設です。
このサービスを利用するには要介護1以上の認定が必要で、要支援の人は利用できません。
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
介護老人福祉施設(特養)の定員は30人以上ですが、29人以下の小規模施設は地域住民限定の「地域密着型介護老人福祉施設」と呼ばれます。
こちらのサービスを利用できるのは、基本的に要介護3以上の人です。要支援の人は利用できず、要介護1・2の人もやむを得ない理由がある場合を除き、利用できません。
2,サービス利用の流れ
地域密着型サービスを利用したい場合、下記のような手順で進めましょう。
※お住まいの市区町村による要介護認定を終え、担当となるケアマネジャーが決定していることを前提としています。
- 担当ケアマネジャーに、地域密着型サービスを受けたい旨を相談
- 利用したいサービスの事業者を調べ、空き状況を確認
- 事業者と契約を結ぶ
- ケアプランを作成
- 利用開始
利用するサービスが「(看護)小規模多機能型居宅介護」の場合、「④ケアプランの作成」は事業者のケアマネジャーが担当することになります。
これまで担当していたケアマネジャーから変わってしまうため、注意が必要です。
福祉系大学卒業後、医療ソーシャルワーカーとして勤務。介護保険や障害年金などの申請手続きの相談、入院費や退院後の生活についての相談、施設入所調整など、支援は多岐に渡る。その傍ら、医療ソーシャルワーカーの経験を活かし、介護・福祉分野のライターとして執筆活動を行っている。
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