
貧血は女性に多いイメージがありますが、高齢者にもよく見られる症状です。
「最近疲れやすい」「息切れしやすい」「立ちくらみが増えた」という場合、単なる加齢ではなく貧血が原因かもしれません。
また、高齢者の貧血は食事だけでなく、病気が隠れていることもあるので注意が必要。この記事では、貧血の症状や原因、高齢者が注意したいポイントについて解説します。
貧血とは?
貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、全身へ十分な酸素を運べなくなった状態です。
ヘモグロビンは赤血球に含まれる成分で、肺で取り込んだ酸素を全身へ届ける役割を担っています。そのため貧血になると、体や脳が酸素不足となり、さまざまな不調が現れます。
貧血にはどんな種類がある?
貧血にはいくつかの種類があり、原因によって対策や治療法が異なります。
代表的なものには、鉄不足によって起こる「鉄欠乏性貧血」、ビタミンB12や葉酸の不足による「巨赤芽球性貧血」、出血によって起こる「出血性貧血」、腎臓病などが関係する「腎性貧血」、慢性疾患に伴う貧血などがあります。
なかでも多いのは、鉄不足による「鉄欠乏性貧血」です。
特に高齢者の場合は、食事量の低下による栄養不足だけでなく、胃腸からの出血、腎臓病、慢性炎症、がんなどが関係していることもあるため注意が必要です。
高齢者に多い貧血の症状と原因
貧血になると次のような症状がみられます。
- 疲れやすい
- だるさ・倦怠感
- 息切れ
- 動悸
- めまい
- 立ちくらみ
- 頭痛
- 顔色が悪い
- 集中力の低下
高齢者の場合は、これらの症状を「年齢のせい」と思い込み、貧血に気付かないことも少なくありません。
高齢者の貧血の主な原因は以下のようなものがあります。
鉄分不足
もっともよく知られているのが鉄欠乏性貧血です。
肉や魚、レバーなどに含まれる鉄分が不足すると、ヘモグロビンが十分に作れなくなります。特に食事量が減っている方は注意が必要です。
⇒ 【貧血予防】鉄不足にならない食事のポイントを管理栄養士が解説
低栄養
高齢になると食欲が低下し、たんぱく質やビタミンB12、葉酸などが不足しやすくなります。
栄養不足が続くと赤血球を作る力が低下し、貧血の原因となります。
⇒ ちゃんと食べているから大丈夫?高齢者の低栄養(痩せ)に要注意!
病気による貧血
胃潰瘍や大腸がんなどによる出血、腎臓病、血液疾患などが原因で貧血になることもあります。
特に高齢者では、病気のサインとして貧血が見つかるケースもあります。
貧血を放置するとどうなる?
貧血を放置すると、体に十分な酸素が行き渡らず、日常生活に支障をきたすことがあります。
高齢者では、
- 転倒
- 骨折
- 筋力低下
- フレイル
- 認知機能の低下
などにつながる可能性もあります。
特にめまいや立ちくらみは転倒事故の原因になるため注意が必要です。
⇒ 体力が最近落ちてきた。それ、フレイルかもしれませんよ?
貧血予防に意識したい栄養素
貧血予防には鉄分だけでなく、赤血球を作るための栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
| 栄養素 | 多く含む食品 |
|---|---|
| 鉄 | レバー、赤身肉、かつお、あさり、納豆 |
| たんぱく質 | 肉、魚、卵、大豆製品 |
| 葉酸 | ほうれん草、ブロッコリー、枝豆 |
| ビタミンB12 | 魚介類、肉類、卵、乳製品 |
鉄分の多い食品や効率よく摂るポイントは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
⇒ 【貧血予防】鉄不足にならない食事のポイントを管理栄養士が解説
毎日の食事に取り入れやすい、鉄分を意識したレシピも紹介しています。献立に迷ったときは、こちらも参考にしてみてください。
⇒ 鉄分たっぷり!「貧血予防レシピ」5選|管理栄養士の考案メニューまとめ
こんな場合は医療機関へ相談を
貧血は、疲れやすさや息切れなど日常的な不調として現れることが多く、高齢者では見過ごされがちな症状です。
次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 強い息切れや動悸がある
- 立ちくらみやめまいが続く
- 急に体重が減った
- 便に血が混じる
- 健康診断で貧血を指摘された
高齢者の貧血は、単なる栄養不足ではなく病気が隠れている場合もあります。
気になる症状がある場合は自己判断せず、医療機関に相談しましょう。また、毎日の食事で鉄分やたんぱく質などをしっかり摂ることも大切です。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
MSDマニュアル:「鉄欠乏性貧血」
日本腎臓学会:「腎性貧血」
国立がん研究センター:「大腸がんの症状について」
(グッドライフシニア編集部)
関連記事
■サルコペニアを予防する食事のポイントを管理栄養士が解説
■低血圧は塩分をたくさんとるべき?食事のコツを管理栄養士が解説
■シニアの糖質制限は危険?メリット・デメリットを知り正しく取り組もう
■骨粗しょう症を予防するには?食事や運動のポイントを管理栄養士が解説
■LDL(悪玉)コレステロールは何が「悪」?体への影響を知って動脈硬化を予防しよう
