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【貧血予防】鉄不足にならない食事のポイントを管理栄養士が解説

貧血予防食事のポイント1

鉄不足の状態が続くと、貧血が心配です。さまざまな年代で貧血対策が必要ですが、特にシニア世代は要注意。思っている以上にさまざまな影響を与える恐れがあります。

こちらのページでは、鉄が豊富な食べ物、鉄を効率よく摂るための注意点を管理栄養士が解説します。

鉄が不足しやすい食生活にあてはまっていないか確認し、鉄が豊富な食べ物を取り入れてしっかり対策をしましょう!
 

 

1.鉄欠乏性貧血とは?

貧血にはいくつかの種類がありますが、貧血の中でもっとも多い「鉄欠乏性貧血」は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料である鉄が不足して、ヘモグロビン濃度が下がった状態です。

ヘモグロビンは酸素を運搬する働きがあるため、貧血になると酸素供給が不十分になり、さまざまな症状を起こします。

下記の症状の例を知っておきましょう。

貧血の症状の例

・息切れ
・めまい
・動悸
・頭痛
・疲れやすい
・食欲低下
・筋力低下

定期的な健康診断で貧血がないかどうかチェックするとともに、次に紹介する「鉄が不足しやすい食生活」にあてはまっていないかも確認してみましょう。

2.鉄が不足しやすい食生活とは?

鉄が不足しやすい食生活の例は下記のとおりです。

  1. 1日2食である
  2. ご飯、パンなどの主食だけで食事を済ませることがある
  3. 肉や魚をほとんど食べない
  4. 食事量が低下してきている

 
このような食生活が続いてしまうと、鉄を十分に補給できていない可能性があります。また栄養不足から、低栄養の心配もある状態です。

特にシニア世代は貧血に注意!

シニア世代が貧血になると、低栄養やサルコペニアといった状態につながるリスクがあるため、注意が必要です。

これは、貧血の症状に「なんとなく元気が出ない」「疲れやすい」「食欲が低下する」といったものがあるからです。

活動量が減って筋肉量が低下してしまったり、食事量が減って十分に栄養補給しづらくなったり……。そのような状態が長く続くと、低栄養サルコペニアにつながりやすくなり、将来的な寝たきり、要介護状態にもつながりかねません。

シニア世代は消化吸収力の低下から鉄の吸収が低下してしまいやすいため、特に食べ物を工夫することが大切です。

 
次に紹介する食べ物を取り入れてみるのはもちろん、1日3食、できるかぎりバランスのよい食事を心がけるようにしましょう。
 

3.鉄が豊富な食べ物とは?

鉄にはヘム鉄、非ヘム鉄の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

種類 主な食べ物 特徴
ヘム鉄 動物性食品 吸収率が高い
非ヘム鉄 植物性食品 吸収率が低い

 

貧血対策には、吸収のよいヘム鉄を含む食べ物を増やしながら、非ヘム鉄を含む食べ物もあわせて取り入れることが大切です。どのような食べ物に含まれるのか、詳しく見てみましょう。
 

ヘム鉄を含む食べ物

貧血予防食事のポイント2

ヘム鉄は主に動物性の食べ物に含まれています。もっとも含有量が多いのはレバーで、ほかには赤身の肉や魚があります。

種類 100gあたりの鉄分
豚レバー 13.0mg
鶏レバー 9.0mg
牛レバー 4.0mg
牛もも肉(赤身) 2.8mg
まいわし 2.1mg
かつお 1.9mg
鶏卵 1.5mg
さんま 1.4mg
さば 1.2mg

 

非ヘム鉄を含む食べ物

貧血予防食事のポイント3

非ヘム鉄は主に植物性の食べ物に含まれています。大豆製品や色の濃い野菜などは毎日取り入れるようにしたい食べ物です。

種類 100gあたりの鉄分
あさり(水煮缶詰) 30mg
オートミール 3.9mg
納豆 3.3mg
厚揚げ 2.6mg
こまつな 2.8mg
えだまめ(冷凍) 2.5mg
ほうれん草 2.0mg
木綿豆腐 1.5mg

 
※あさりはヘム鉄・非ヘム鉄の両方を含み、中でも非ヘム鉄のほうが多いとされています。
 

4.鉄を効率よく摂るための注意点

鉄をさらに効率的に取り入れたい場合は、下記の点に気をつけてみましょう。

ビタミンCを一緒に摂る

吸収率の低い非ヘム鉄は、ビタミンCを一緒に摂ることで吸収率が高まります

色の濃い野菜は、野菜自体にビタミンCを含むため問題ありませんが、ビタミンCをさほど含まない大豆製品や貝類をとる際は、意識して組み合わせてみましょう。

ビタミンCを含む食べ物の例

ピーマン、ブロッコリー、レモン、オレンジ、じゃがいも、さつまいもなど

緑茶やコーヒーの飲みすぎに注意

緑茶やコーヒーに含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げてしまう恐れがあります。

一般的に飲む量であれば心配は少ないともいわれていますが、緑茶やコーヒーを毎日たくさん飲む習慣がある方は注意しましょう。

鉄の吸収を妨げないためには、食事の前後30分は、緑茶やコーヒーを避けるとよいといわれています。

貧血の原因は、食べ物からの鉄不足以外にも、消化管出血やほかの病気が原因になる場合もあります。貧血が気になる場合や、気になる症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。

参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
 

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広田千尋筆者:広田千尋
管理栄養士。保健センターや病院に勤務し、生活習慣病予防や低栄養予防など、中高年から高齢者の栄養サポートに従事する。現在はフリーランスとして独立し、食や栄養に関するコラム執筆や、身近にある材料でおいしく健康になれるレシピ作成などの活動を行っている。

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